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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯4 ぼくらのヒーロー
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 静かだ。クマやイノシシが出没すると山の入り口には書いて合った筈なのだが、その気配はまったくないのだ。それに今は夏が少し過ぎた運動会シーズンなので冬眠の時期には早すぎる。あまりにの静けさに油断して眠りそうになる。最近はあまり寝ておらずここ1週間の平均睡眠時間が2時間30分という凶器の沙汰になっていた。これでは集中力が持続しないのも当たり前であり、思考がネガティブ思想になるのも必然的だ。これでは、やることが多いと思い込み自分は世界一忙しいと錯覚する中年管理職のようだ。実際、忙しいというのはたんなる思い込みに過ぎず効率良く仕事をすれば手持ちの仕事なんざあっという間に終わってしまう。そうじゃないのは己の技量が足りないだけであり、忙しいと愚痴をこぼすよりもとっとと手を動かせと言いたくなるのは誰しも同じであろう。実際、大企業の社長は誰よりも忙しい生活を送っているにも関わらず忙しいという事は一切口にしない。それでも社長よりも比較的に暇な筈の中間管理職の親父は忙しいというのだから不思議である。思うに、彼らは忙しいフリをしているだkで本当に忙しい訳ではないのだ。「俺も疲れた顔で仕事をやっているから、お前達も見習え」と自分勝手な考え方をしているからそんな被害者ぶって仕事をするのだ。勿論、全国の中間管理職全員がこんなクズのような考え方はしていない。それでもこういう輩はどんな職場にも一人はいるから注意が必要である。もしもこういう『自分の忙しさに酔っているナルシスト野郎』を上司にしてしまえば残念だが災難だというしかない。そういう上司とは違って自分は良い働きをして時間を効率良く使って差別化を図ろう。そしたら自分だけ仕事が終わらずに上司の輩も疑問に思うはずだ。『おかしい……同じ仕事量なのになんで俺だけ取り残されるんだ』と。そして中間管理職なりのオツムを回転させてやがて気が付く筈だ。俺は忙しいと思い込んでいただけなのだと。


「……やけに静かだ」


 旺伝は辺りを見回してそう呟いた。川のせせらぎと林のざわめきが疲れた旺伝を癒してくれるので安心して眠くなる。眼を閉じれば今すぐにでも眠れそうな程である。


「ここは都会だとしても、完全に隔離された場所だ。やたら眩しい信号機の光も無いしやかましい雑音も聞こえない。ここにあるのは静寂な自然だけだ」


 聖人は自然のありがたさを知っている。22世紀の世の中はすっかり発展してしまい、人々は便利という言葉に惑わされてしまっている。その行為がどれだけ自分の意志を縛っているとも知らないで現代人は生活をしてしまう。聖人はそれでは駄目だと言うのだった。少なくとも人の起源は木の棒と石しかなかった時代から始まっているので、そこまではとは言わないが自然に触れる必要がある。



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