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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯3 悪魔の血脈、覚醒
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 こうして、なんとか眠りにつく事が出来た旺伝だったが睡眠時間はかなり短い。なんせ残った仕事を朝からするために早起きを余儀なくされたため、ほんの2時間しか眠っていないのだ。これでは効率が悪くなるのは当たり前である。人は誰しも絶対的に必要な睡眠時間が決まっている。その睡眠時間に至らないと、体の調子が悪くなり眩暈がするなど当たり前の事である。それに人が二重に見えたり、吐き気がするのも睡眠不足の特徴だ。今の旺伝もそれに似た感覚に陥っていた。


 しかし。いくら体調が悪くても仕事が減る訳でもない。社会人ともなればこういう理不尽な作業でもやらないといけない。それが人間社会なのだから仕方ない。ただ、旺伝はこんな目に遭いたくないから敢えてフリーターの道を選んだのだ。それだけに、たとえ少しの間でも正社員として雇用されるのは辛い。


 借金の身なので文句など言える筈もなく、旺伝はひたすらパソコンと睨めっこしてキーボードを打つのだった。


 そして。


 仕事が終わったのは昼の12時という呆れた時間帯だった。さすがの旺伝も疲れ果てて爆睡寸前である。ところが、今終わったのは昨日の仕事であるため、今かエアは今日の仕事をしなくてはいけない。あまりの絶望感に発狂寸前の旺伝である。


 と言っても、休憩はしないといけない。この会社では最低3時間の休憩をするという決まりがあるのでお昼休みは自由時間として使える。自由だから仕事も出来るじゃんという考えに至るのが当たり前だが、休憩時間を使ってまで仕事をしようとする気力は、もはや彼に残されていなかった。


 とっとと飯を食って数分でいいから昼寝をしたかった。そのため、フラフラと食堂に向かう旺伝だったが、なんと今日は食堂が休みではないか。さすがに納得できないと思った旺伝はラストラッシュに電話して「なんで食堂が休みやねん!」と似非関西弁を使って問いただした。


 すると、彼は電話口から「研修中のため休業しているのですよ」と言われたではないか。さすがに研修なら文句は言えないので、旺伝は溜め息を吐きながら会社の玄関から外に出た。


 さすがに寝不足の目で明るい太陽を見るのは、刺激的だった。脳まで焼きつくされそうな感覚に陥り、彼は近くの食べ物屋さんに飛び込んだ。会社の近くにあるのに今まで行った事がない食べ物屋さんだったが、四の五の言ってられないぐらい太陽の光がまぶしかったのだ。


「いらっしゃいませ。おひとり様ですか?」


 可愛らしい御嬢さんが話しかけてきた。本来ならばここで女を口説く事も厭わない彼だが、今日の彼は彼であって彼じゃない。寝不足の時は何をするにも自信を失い、行動力も失ってしまうのだ。そのため、旺伝は人差し指を立てて自分が一人だとアピールするだけに止まった。


 すると旺伝は近くの一人席に案内され「ごゆっくりどうぞ」と可愛らしい笑顔お店員さんに見せられた。さっきの太陽より刺激的だなと、思わず生唾を飲み込む旺伝だったが、今は性欲よりも食欲が勝っていたのでそれどころじゃない。しかもその食欲ですら睡眠欲に劣っているのだから、もう自分でも訳が分からない状態だった。


 メニューをパラパラとめくりながら注文を何にするのか吟味する。さすがにこここでウサギと言うのはあまりにもナンセンスだったので、やめておく。ハッキリ言って、今にも座ったまま眠れそうなぐらい眠気が凄いのだが、それに匹敵するぐらい食欲も湧いていた。何を隠そう、彼は朝食も食べずに一心不乱に仕事をしていたため、すっかり脳は糖分不足となり悲鳴を上げている。


「店員さん。生姜焼き定食とブドウジュースをくれ!」


 それにより、旺伝は自分の大好きな食べ物と飲み物を注文する事にした。ブドウジュースは言わずもがなだが、それに匹敵するぐらい彼は生姜焼きが大好物だった。あの濃い味がたまらなく好きであり、今すぐ口に含みたいと思っていた。


 すると店員は笑顔を見せた後、注文の品を繰り返した後「少々お待ちください」と言いながらフリフリと尻を動かしながら奥に消えて行った。


 それと同時に性欲も湧き立つのだった。



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