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絶対血戦区域  作者: 千路文也
1st ♯3 悪魔の血脈、覚醒
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 彼らを乗せたステルスヘリはようやく級帝曇叡神殿に辿り着いた。ここは足若丸魔法学校の理事長が住んでいる場所としても有名であり、優れた幻術魔法の使い手が数多く存在するのだ。そんな場所に鍛冶屋がいるというのも驚きだが、それよりも旺伝は速く帰りたくてたまらなかった。現時点では剣よりも眠気が勝っており、布団に入れば一瞬で寝てしまうのはほぼ間違いないだろう。それぐらいお疲れ果てているのだ。


 まだ火曜日という事もあり、これで二連勤目だ。休日までは果てしなく遠い。それに恐怖の12時間労働で徹夜の可能性だってある。と言っても徹夜の恐怖は去ったので問題は無いが、それでも仕事の量が減る事なんてありえない。


 こうして、旺伝は借金返済のために身を粉にして働くのだった。



 ***************



「はあ……さすがにヘリでじっとしているだけは疲れる」


 乗り物に揺られてる間、何も出来ないというのは精神的負担が大きい。特に旺伝のような会社に仕事を残している人物は相当な不安に駆られる。ありもしない未来を予測して、怯える。


「そうですね。もう疲労困憊ですよ」


 どうやら、ラストラッシュも同じ意見のようだ。ずっとヘリの中に押し込められているのは疲れるだけだと。


「さっさと剣を頂戴して、今日は帰ろうぜ」


「そうですね。私も同じ事を考えておりました」


 ラストラッシュはそうだと言うのだ。同じ事を考えていたと。


「会社員は辛い」


 そう言いながら、二人は土気色の顔で門まで進んで行った。すると、門には二人と同世代ぐらいの若い人間がいた。こんな真夜中までお仕事ご苦労様と言いたいぐらいだ。


「そこの者。級帝曇叡神殿へ何のようだ」


 彼はやたらと長い槍をこちらに向けて、警戒していた。武器を向けられたとしても殺意は向けられていないので、旺伝とラストラッシュは顔色一つ変えずに無愛想な顔でこう言った。


「俺達は剣を貰いに来ただけだ」


「敵意はありませんよ」


 二人は大欠伸をかましながら、口を揃えてそう言った。敵意は無いのだと。しかし門番の少年はそれだけでは不十分だと言うのか、さらに槍の矛先を接近させてきた。もはや目と歯の先まで近づいているので、さすがの旺伝も目が覚めてしまった。


「怪しい二人組め。嘘をついている可能性がある!」


 目を光らせて、少年はそう言っていた。これには旺伝も我慢の限界になり、思わず槍の矛先を右手で掴んでしまった。そして掴んだまま強く握って、少しづづ槍を下へ落としていく。


「嘘なんてつくかよ。こんなに疲れてるのに」


「玖雅さんの言う通りですよ。私達は嘘などついていません」


 二人は一方的に否定していた。嘘などついていないのだと。


「ううむ……そこまで言うなら通してやってもいい」


「よし。それじゃ早くどけ


 旺伝が槍から手を放した時だ。目の前の少年は不敵な笑みを浮かべていた。しすて、直にこういうのだった。」


「しかしだ! 認めるのは俺に勝って体」


 少年はそう叫ぶと槍を両手でぐるんぐるんと回し、威嚇のポーズをとっていた。どうやら彼を倒さないとこの先に進むことはいけないらしい。






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