表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

◎不夜城 夜 それ以外の何者にもなれない②

大変申し訳ありません 似た感じのタイトルの作品があったので改題します。乙女ゲー設定は王宮の地下を彷徨ってる感じです。

 ♪ある宵のノイエクラッセ城~オットセイ親子がドナドナされて行くよぉ~♪

 

 っと、私 第一王子の護衛騎士をしておりますディーオイレ ミネルバです。

 これから第一王子の私室に儀礼用の服の確認にいく道中の護衛中っす。

 何故か宰相が背を丸めトボトボ引っ立てられて行きます…オットセイのような後ろ姿が哀愁漂っていますねぇ。

 

 宰相は凹んでいた。

 世話を焼いている殿下の衣装を用意できていなかったのが原因だが、そこまで落ち込むことないんじゃないないかと周りは考えている。


「ウチの母親も急な冠婚葬祭で兄上の衣装揃えられなくて…サイズの合ってない服とか借り物で出席したとき凹んでたな」

 平民のボンボン出身のバリエがぼそっと呟いた。

 うん、オカンあるある。


 …って、オカンか! 宰相、オカン属性か。

 

 宰相を先頭にリス女子改め小エビ女子に荷物のように抱えられたアイン殿下、シュタッヘルシュヴァイン卿、俺ら護衛騎士チーム3人 とぼとぼ廊下を進んでいく。

 

 く…飼育員に抱えられたオットセイの子供のようなアイン殿下が可愛い。

 でも殿下を担ぐの、俺か宰相の仕事なんすけど…。

 力強くフンスフンス歩く小エビ女子、心なし嬉しそうなので声かけずらい。

 うん 力あるな! 

 

 小エビ女子ことパウリーナ()ガルネーレ(エビ!)嬢は儀典院の衣装係をしているそうな、ガルネーレ家は海老で有名な海の領地を持つ伯爵家 海老…伊勢海老、甘海老、ロブスター…じゅるり…。

 

 「正式な喪服が必要なんだよ! サイズの合わない装束など最低だ!、国王の国葬に王位継承者が借り物の喪服なんて論外だ!」

 

 ポーズにバリエーションがあるらしい、小エビ女官の上司。 名前を確認したらパウル・ヨハン・シュタッヘルシュヴァイン シュタッヘルシュヴァイン家次男、高位貴族だった!…長いな名前。

 

 儀典院の2人の今更な身元確認をしながら歩いているんだが。

 「身体のラインに無理のない衣装、動いたり長いこと座ってつく皺でさえ計算し尽くした威厳を醸し出すためのオートクチュール! 魅せるための正式な喪服が既製服とかあり得ん! ウチの王族ナメてんのかワレ! 」

 この国の宰相相手にすごい語ってる。

 ワレって何処のヤンキーのセリフだ。

 

 それなりの美形の儀典院副長はオットセイな宰相閣下の後ろで鍔を飛ばしている。

 儀典院の宝石、服飾関係の部署の副官、婚約者なし。

 バリエが会話から聞き出している。高位貴族の場合、儀典院から来ましたー! どなたですか? ワレ!ワシを知らんのかー なんて間抜けな問いただしたら激高して大暴れするか左遷される。

 

 いや? 俺ら護衛なんだから身元確認は必須じゃないかと思うけど。

 

 バリエはこういう手合いからの聞きだし役が上手い。鉄砲玉はバルト、後方支援はバリエ、指揮は俺。役回りで回せる人員配置だ。

 しかしシュタッヘルシュヴァイン卿、何かにつけてキメポーズをとるのは何故?。

 ●タンド使い…?

 

 などと話を聞きながら回廊を歩いていくと、アイン殿下の私室到着。

 あの日一緒に娼館に行った侍従と戦闘メイドが部屋で待っていた。

 王子様の部屋とは思えない質素な室内、衣装部屋なんてあったか…あっ。…ヤバイわ、衣裳部屋。

 

「衣裳部屋とは…?」

 本来、衣裳がずらり…だから衣装部屋のはずが椅子と丸テーブルがある普通の小部屋になってた。

 一応衝立の向こうにチラッとハンガー引っ掛ける棒に何種類かの衣装、シャツ、靴、小物類の引き出し…余り入ったコトなかったが少な!衣装少なっ!こないだ飲み行ったバリエの部屋はこのくらいの広さにこれが汚部屋か!っう位衣装が積んであった。

 小刻みに揺れている女子。

 小エビ女子が怒りで震えてる。侍従と俺ら汗だく。戦闘メイドは顔色変わらない。

 強いな! 戦闘メイド!

 小エビ女子がさーっと衣装をナナメに漁る。

 濃い緑とか紺色の地味な服ばかり 準喪服は要らないんじゃないか?

 あ、儀礼用の服は何着かあるけど…ぱっと見て殿下のサイズに合ってない。

 パウリーナ嬢の眼鏡の奥が光った!くいっと眼鏡の位置を直すと徐にハンガーの服をチェックしていく。

 「他の王子方は大丈夫ですか?」

 パウリ―ナ嬢がチェックしている間にシュタッヘルシュヴァイン卿殿下付きの侍従に語りかける。

 笑顔怖い!

 侍従、汗だく。宰相オットセイ。

 

 「ツヴァイ殿下はアイン殿下のお下がりをサイズに合わせて調整中です。」

 と、侍従。

 本来王族の子息は不測の事態に備えて各種式典用の衣装は揃えておくもの。

 10歳以下だったから油断したな。

 しかし、王族、とりわけ王位継承権の高い子息には品質維持費の他にも式典出席用の装束予算もある…ハズなんだが…中古のお直し?。

 微妙な顔の女子とシュタッヘルシュヴァイン卿。

 

 「フユン王女のは元々もしもの時用に用意していた喪服で大丈夫だと聞きました」

 小エビ女子、そっちは先に確認してたのか。

 「第二側妃が揃えてくれていたそうです。」

 第二側妃は三番目の奥様、7歳の第四王子と、何故か第一側妃の5歳の王女の子育てをしている大人しい女性。

 「第五王女は第三王子の妹では? 男子(自分の息子)のみ大事なのですかな?…」

 側妃の身勝手な行動に小エビ女子怒です。

 侍従ため息、その側妃の身勝手な嫌がらせで第一王子に予算が回ってこない。

 「第四王子は母上の第二側妃がサイズが変わるたびに用意していたそうで大丈夫です」 第二側妃の管轄の子供たちには品質維持費が出てるのか。

 なんか理不尽。

 第二側妃は自分の息子のフィアデル殿下と第三王子の妹のフユン殿下の面倒をマメに見ていたようだ、が 王妃の息子のアイン殿下、ツヴァイ殿下の保護に手を出すことは出来なかった。

 品質維持費に関して宰相は何もしなかったのか?

 凹んでる宰相様がこっち見てる。

 「そちらは交渉中だった」

 ため息ばかりだ、幸せ逃げるぞ。

 「第三王子派の大臣たちを巻き込んでな、なんだかんだ言いながら第一王子の予算を削ろうとしてくる。」

 「この国の宰相だからと持ち上げられているが、子供の服も用意できていないとは…。」

 「宰相のお子様の礼服とかで小さくて着れないものとかないのでしょうか?」

 小エビ女子が宰相に聞いてくる。

 宰相家には3人の子供がいる、実子ではなく才能がある子供を養子にして育てているらしい。

 15歳と12歳の男の子と8歳の女の子らしいが。

 「今、家のものに調べさせている…」

 「王城の専属針子を招集して…」。


 「急ぎで王宮の裁縫士、お針子に連絡、招集して作らせようとしたら側妃から横槍が入った」

 宰相の代わりに王子が顔を上げた 何故かキメ顔で椅子の暈増しのふっかふかクッションに埋もれている。

 なんだってぇ!

 「曰く一国の妃の喪服が威厳のないものではいけないので裁縫士、お針子は自分の喪服と第三王子の喪服にかかりきりになるので、こちらに回す余裕はないそうだ」

 周りの大人は皆チベットスナギツネ顔です。スン…。

 こちらは継承権第一位の王子なんすけど?。

 国の業務しておるんですが?え? 

 わかりやすく側妃の嫌がらせ。第一王子に貧相な恰好をさせれば自分の息子が次の国王になれると思っているのか。


  ノイエクラッセの不思議。

 

 各国で囁かれるこの国の噂、この国の昼と夜の事情は周辺国に周知されている、公然の秘密というやつだ。

 前国王が倒れる前、国王に何かあったときにと宰相と国王で計画書だけを用意していたらしいが本当に実行されるとは計画を立てた前国王も思わなかっただろう。

  しかしなあ…。

  

 単純に第三王子以外が貧相な恰好をしていれば恥をかくだけではない。

 対面が保てないような国など侮られるだけである。

 

  そんなこともわからない側妃とその周囲の貴族共は。

  

 側妃は王妃が亡くなってからジワジワと王子達の生活を絞めていった。

 王族に支給される品質維持費、服飾関係の費用、身の回りの文房具、必要な小物…最後は王子達の食費にまで口を出し、こそげ落とすように自分の衣装代に転用させていたらしい。

 

 自分と自分の子供だけが王族であるかのように振る舞い、侍従、侍女達も追随して王妃の生んだ第一、第二王子達を貶めた。

 己の子供のことなど歯牙にもかけなかった国王陛下は、子供が出来て会いに来るどころか気に掛けることもしなかった。

 

 宰相が第一王子と接触してその首に玉璽を下げさせるまで。

 

 国王陛下は自分に子供がいたことを覚えていたのだろうか。

 王の役目 国を、国民の生活を守るため次の時代に血を残す。

 王太子を育て教育し国家の安定を図る…。

 そんな当たり前のことすら考えていたのだろうか。

 

 「城下の服飾関係の店は使えないのか? この際王室御用達でなくても構わない。」

 儀典院の●タンド使い(笑)シュタッヘルシュヴァイン卿が唸っている。

 

 「ちょっとよろしいでしょうか?」

 殿下の衣裳部屋を出て全員ががっくりしている所で扉前で控えていたバルトがこそっと手を挙げた。

 「何かね?」

 「あーウチの実家、王都を中心に手広く商売してる商家なんですが…」

 バルト君、平民出身、されど学園の騎士科を卒業する実力があって王城の騎士の試験に合格、貴族の推薦があれば平民出身でも一代限りの騎士爵位が与えられ騎士になれる。

 

 「私の妹達が半年前位から子供服専用の服飾ブランドを立ち上げまして…」

 はい?

 その場にいた全員が食いついた!

 「御用達でなくても良いなら妹達の…」

 シュタッヘルシュヴァイン卿、ワイバーンのような勢いでバリエの胸倉を掴んで締め上げる。

 ちょっと! ウチのモンに何してんですか!

 「シュタッヘルシュヴァイン卿!」

 俺とバルトの二人がかりで止めに入るが、ちょっつ強いなこのお貴族様!

 「デザインはシンプルでも素材は高級品が必要!」

 鬼気迫ってる! 何者? シュタッヘルシュヴァイン卿。

 

 バリエ頑張れ! 俺らが左右から羽交い絞めにしても止まらない。

 

 「き…生地は親父の商会が取り扱っている…妹達も仕事が早い針子ですから、でも王族御用達ではないので細かい約束事が分からない…の…で」

 「生地と針子がいるならわたくしが指導に参ります! そうと決まれば殿下のサイズを測りましょう!」

 鼻息荒く(淑女の鼻息じゃないよ)どこかかからメジャーを取り出した。

 アイン殿下がびくぅと怯えている、俺、守った方がいいのでしょうか殿下? でもシュタッヘルシュヴァイン卿羽交い絞めにしてないとバリエが縊り殺されそうなんです。

 

 「先ずは上着とベストをお脱ぎください。あ、靴も脱いでズボンを…」

 殿下も非常事態!

 止めに入る隙も与えず小エビ女子、手際よく殿下のみぐるみはいでいく 楽しそう?

 

 逃げて殿下ぁ!

 

 小エビ女子、目が輝いている。

 服のサイズを確認するのにそんなに脱がす必要あるか? おい。

 ちょっと待て! 女子! こんなとこで殿下をスッポンポポンにするなぁ!

 シ…シャツは残してもいいんじゃないか?。

 殿下、ぁ! 抵抗しないと、抵抗して!

 アイン殿下、ぬいぐるみみたいに大人しく、ぐでんぐでんと身ぐるみはがされていく。


 嗚呼…!

 

 というか無の境地でシャツを剥がされている。

 ここでハシビロコウ属性出したらダメだよ!

 無の境地でずんずん脱がされていく殿下。

 

 抵抗しようよ!10歳児!

 

 あ、かぼちゃパンツ…。


 殿下、とうとうパンイチにされた。

 

 あれ?儀典院の二人、かぼちゃぱんつにしょっぱい顔してる。


 「殿下、10歳になってもまだかぼちゃぱんつだったんすかぁ」

 

 ちょ…バリエ! そこで突っ込んだら不敬罪!

 と、殿下の方を見ると、殿下、バリエのセリフ聞いて自分のかぼちゃぱんつ抑えてイヤンなポーズ。

 ヒザから崩れ落ちた。

 殿下ぁ! 何! そのポーズ!

 

 気が付くと宰相以外、部屋にいた人間全てヒザから崩れ落ちていた。

 

 魔性のかぼちゃぱんつ。

サークルの相方に登場人物がブレブレ迷走してると指摘され、キャラ設定絵描いて貰ったのですがバリエが作者の想像のナナメ上行くアイドル顔で尚キャラ設定が迷走しました(笑)相方の許可が出たらイラスト載せたいと愚考いたしております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ