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◎不夜城 夜 それ以外の何者にもなれない ①

 ミネルバ卿はお笑いにいるイケメン枠、バリエはアイドルグループの司会進行するタイプ、バルトはスポーツ大会で王子様呼びされるタイプのイケメンです。…動かない、喋らなければ……。

今回、説明長いです(笑)

 国王陛下崩御の報が発せられ一夜明けた。


 王室からの発表は以下。

 

  第32代 ノイエクラッセ王国国王 

  ゼクス ゲルト ノイエクラッセ 崩御

 

  王城の自室にて就寝中に死亡。

 

  朝の支度に来た侍従と侍女によって発見され、王宮医師により死亡が確認された。

  死因は就寝中の心臓発作。

  

  よって王国法に従い王位継承権第一位の殿下に移る

  殿下方はまだ成人前、前々国王陛下は病床で政治には関われないため、殿下が即位するまで摂政として王弟ヌルク バイン オペル殿下が立たれる。

 以後、殿下が成人となる16歳までこの体制での国政が敷かれる。

 

 国葬日程

  王国歴256年オルバ月28日より10日間

  葬送の儀

  3日目各王族方によるお見送り

  4,5日各国大使館より弔問

  6日教会への移動

  7日教会での葬送の儀

  8日納棺

  9日埋葬

  10日国葬終了、式次第、新国王擁立を国民に報告

………

  

 

   「王位継承者の名前がない?」

 発表された宣言を読みながら俺達は眉をひそめた。

 王城内に出仕する職員専用出入口 通称“西口”の検閲官詰め所の少し奥にある職員通達用掲示板にそれは貼ってあった。

 灰色で縁取られた大判模造紙大の紙の中央には王城の紋章が透かし込まれ、文章の最後に典礼院の紋章と筆記したものの名前がある。

 その横に典礼院の紋よりおおきな王家の印 この場合は通達の出所が正規のものであると証明するための印。

 次にこの決定に同意した意の元老院の印と責任者の名前。

 最後に宰相の名前と印。

 今来た職員たちが立ち止まって読んでいる。

 発布は昨日の夕方、日付と時間が記載されている。

 

 「現在の継承権第一位はアイン殿下だよな?」

 俺たちの後ろで張り紙を読んでいた職員の声が聞こえた。

 「玉璽を持っているのはアイン殿下だよな?」

 「微妙な発表だな?」

 多分、ここにいる職員は疑問に思うだろう。

 今出勤して来た職員は夜のノイエクラッセの担当職員。

 

 「やりやがった?」

 こそっとため息がでる。

 

 《王子達は全員未成年で王太子はまだ決定していなかった》

 

 今回のような緊急事態が起きた場合、通例でいえば第一王子のアイン殿下が即位する。


  何の問題もなければ。

  

 しかし元老院は第一王子の即位に難色を示した。

 だから誰が王位継承権第一位の王子とは名前を挙げなかった。


 《王子達の誰に王位継承権があるのか名言してない。》

 

 正妃の長男で玉璽を所持し実際実務をこなしている第一王子は継承位に一番近い。

 

 《第一王子が即位に問題のある人物とするなら、その通例は適用されない。》


 第一王子に問題を作れば王位継承権に物申せる。

 

 年令と後ろ盾なら第三王子…。


 第二王子は弱視で魔道具で視力を補ってるせいで継承争い的に三位、第四王子は虚弱体質で与えられた離宮から出たことないからと第四位、第五王女は未学習幼女ということで兄弟では最下位。


 第一王子の後ろ盾となるはずの王妃の実家は殿下を支援しなかった。

 国王陛下に忖度したのか、第一王子に対する生活、対外的な立場の補強などほぼ放置、宰相家が実質王子の後ろ盾となり生活全面援助している。

 本来なら王妃の産んだ王子達の世話は王妃、しかし王妃が亡くなっているので王妃の代わりの生活面の支援って王妃の実家が負担するものだが…。

 王太子という肩書きが王子の誰にでも首のすげ替えが出来るよう動いている者がいる。

 

 そのために3日も揉めたのか?

 本来なら俺らが娼館に殴り込んだ日から各国に駐在している外務官に極秘で連絡、各国上層部に通達、一般に訃報を発表で今日あたりから国葬が始まるのだが…。

 ……なんだかなあ…。

 第三王子の執務室(?)で暴れた咎により謹慎という名の強制休暇をトラバコにて与えられ、爆睡していた間に世の中、変わった。

 

 翻っていた国旗は半旗になり、夜の明りも三分の一に押さえられ普段の業務も日常必要な最低限に、官吏の制服も侍従の制服もシャツが黒くなり左腕に黒地の喪章をつけている。

 侍女やメイドもトレードマークの白いフリル付きのエプロンや頭のホワイトブリム、カフス、襟が黒になり、侍従と同じ喪章を付けている。

 俺ら騎士団も正規の軍服に黒の短いストールのようなマントを左肩に掛ける。第二騎士団の紋章がでかでか入っている 前世の風呂敷みたいだなと思ったのは内緒。

 出勤して騎士団の控室でいつもの略礼装から着替えたよ(笑)。

 カーテン、ファブリックも黒、城内は深く静かに喪に服している……と、いうのにぃ! 一部の貴族と老害共はやってくれてるようです。

 

 図書館資料室に行く途中の中庭、並列に渡り廊下の並ぶ向こう側を逆方向に派手な一団、黒だが金糸銀糸や煌びやかなレースと派手な刺繍のドレス着用の側妃と側妃の御親戚一行の行列が賑やかに通りすぎる。

 

 と、いうかそのゴリゴリゴスロリみたいなドレスは在りなのか?。

 典礼規範に乗っ取って行動するなら今は略喪服で弔意を表すって期間ではないのか?

 

 俺とバリエ、バルトの《ステゴロ梟チーム(誰がつけやがった?)》はチベットスナギツネの虚無顔でその行列を見送りながら三人揃ってデカいため息をついた。

 仕事始めからなんてこったい面倒事の予感。

 黒の軍服と虚無顔のせいで三割イケメンになった俺らは、とりあえず殿下のおわす資料室に急ぐ。

 

 王宮図書館第二資料室と言う名の第一王子アイン殿下の執務室は荒れていた。

 

 側妃の襲撃後か?

 

 先程すれ違った側妃一行を思い浮かべる。

 警備の護衛騎士達と軽く申し送りの後、各自配置につく。

 が、

 喪中はたしか日常最低限、必要仕事だけで回すと聞いたが、どんなにメンタル削られても決して顔を伏せたりしない宰相が顔を両手で覆ってつっぷしていた。

 アイン殿下も以下同。並んで突っ伏している。

 親子だ…親子のオットセイ?

 

  ナニがあった!

 

 周りを見渡せば皆が目をそらしていく。

 

 え?

 

 目をそらさない奴もいた、見慣れない男女 典礼院の紋章のバッチをつけている。

 

 「護衛騎士殿 ちゃんと軍服を着ていらっしゃる 結構」

 リスっぽい女性が眼鏡の位置を直しながら俺たちの服装を確認していた。

 周りの文官達も略礼装…と、今書類の束を抱えた文官が入ってきたが普通の平服だ。

 「そこの文官!服装が違う!」

 高位貴族っぽい雰囲気の金髪男が文官を指さ…してない。平手でさしている。おっと なんか片方は平手で文官を指し、反対の手は己の顔面スレスレで妙な指の形を取って上半身を捩じってる…そのポーズは前世で言うところのジョ●●立ち!

 異世界でコレを見せつけられるとは!。

 「典礼院の服装チェック…」バルトが首元、胸元を抑えてる…未だボタンの掛け違えとかしてるのかお前は。

 というかバリエも腰の辺りをパンパンチェックしてる…何故?

 と、宰相が顔を上げた。

 「お前ら、子供用の礼服取り扱ってるトコロ知らないか?」

 「子供服…子供用の貴族服は既製品は無いのでは」

 「子供は冠婚葬祭出しませんからね」

 この国では12歳未満は冠婚葬祭に呼ばれない、葬儀でどうしようもなく出席する場合でも普段着の黒に近い濃い色の服で代用できる。

 が。


 「あ…」


 各国の要人が弔問にくる国葬。

 王位継承権を持つ者全員子供……。


 「アイン殿下の喪服がない」


 宰相の半径5メートル以内の大人は固まった。

 

すみません のんびり更新です

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