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第一王子のロイヤルサバイブ 乙女ゲーは情報過多  作者: まるいのあっと


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23/26

◎不夜城 夜明け 第二王子も王宮内生存戦略《サバイバル》②

お読みいただきありがとうございます

ようやく起承転結の承辺りまで辿り着きました

お楽しみいただければ幸いです。



 ◎第六天使降臨! 兄上の敵は殲滅対象①(笑)。

 

 初めて美味しいものの夢を見た気がする。

 丸い陶器の器にライスを入れて、その上に甘辛い汁で野菜と卵と一緒に煮たらしいサクサクしっとりの衣のついた厚切り肉を乗せたもの。

 器に蓋がしてあり、開けるとふわりと美味しそうな匂いが立ち上る。

 

 が、食べ方が分からない。

 箸の使い方が分からない。

 何も出来ないと怒られると思ったら、その人は苦笑いでフォークとスプーンを添えて頭をなでてくれた。

 

 顔は思い出せない。

 一緒に食べた相手が誰だったか覚えていない。

 撫でられた掌てのひらの暖かさ、大きさ。

 その食べ物の美味しい匂いだけが鮮明で…。

 

 目が覚めた。

 と、普段は無いぬくもりの気配に横を見ると弟が寝ていた。

 

 ツヴァイ レーゲン ノイエクラッセ

 ノイエクラッセの名を持つ、王妃の第二子。

 四年前に南の辺境に行った私のたった一人の兄弟。

 今は昔のようなミルクの(かおり)ではなく南国の花の(かおり)がする。

 

 3歳まで一緒だった弟。

 夢の続きのような気がして頬に触れてみる。

 あたたかい。

 最後に弟に触れたのは4年前、弟の安全を確保するため騎士団統括局副長の進めで南の辺境伯に預けた。

 

 それ以来の再開。

 

 ぱっと弟の眼が開く。

 銀色の光彩に金が散る、私とは種類の違う〈魔眼〉。

 鑑定の最上級と精神作用系の能力の為、普段は両目に魔力封じの布を巻いて魔眼を封じている。

 にこりと笑う頬は最後に別れた時よりふっくらして血色がよく、金が混じるプラチナブロンドはそこだけ思い出と同じくるくるとしたくせ毛。

 

 さわったら消えるのだろうか。

 

 「おはようございます 兄上! お久しぶりです」

 ハグをして欲しい時のポーズ、寝転がりながらも両手を広げる。

 こんなところは別れた時と同じと、抱き起こすようにハグする。

 

 消えない、柔らかな抱擁。

 ギュッとしながらふふふと耳もとで微笑む弟。

 最後に抱きしめた時より弟の方が大きくなっていた。

 

 「ちゃんとご飯食べてますか? 仕事忙しいとか言ってご飯抜いてませんか? 」

 「食べているよ? 」

 弟に心配されては兄失格と苦笑する。

 朝は侍従が作っているものを頂くが昼、夜は宰相家から奥様の愛妻弁当+私の食事が配達されてくる。

 宰相家のご飯は美味しいと告げると微妙な顔をする弟。

 

 私の食事は王宮内では用意されない。

 

 「ツヴァイは食べてる? 南での生活はどう? 」

 「南はご飯がとても美味しいです! 兄上にも非常食にもおいしい保存のきくお土産を沢山持ってきました」

 

 「…籠城しても拉致られても大丈夫なように…」

 

 ヒヤリと天使のような子供の口から常在戦場のような台詞が出て、周囲の大人は凍りつく、今まで天使の戯れのような情景だったのに。

 

 済まない、私の情緒教育の不足だろうが自分の情緒も怪しいので許して欲しい。

 

 「籠城戦は滅多にないと思うし、多分拉致られたら非常食取り上げられるよ? 」

 この空気を何とかしようと普通に対応する、が。

 「そんな心配は要りません」

 ミネルバ卿がふんすかしている。

 「籠城戦になっても食料や退路は秘密ですが確保されています」

 「拉致など私共がさせません」

 凄い鼻息荒いけど…いい年の大人が7歳児童に対抗しないで!

 弟はハシビロコウのように無表情になっていたが、ミネルバ卿の説明を聞いて鼻であしらうような顔してる。

 ああ…申し訳ない、荒んだ環境で人のココロの裏を読むことを覚えてしまったのか。

 

 …南の辺境伯家、荒んでる?

 

 宰相、離れた方が安全だってシュヴェールトヴァール辺境伯家に預けたのに。

 まじまじと弟を見つめるとちょっと赤くなって首をかしげてる。

 かわいいけど。

 「小分けにして分散して隠し持ってください、非常食じゃなくておやつでも美味しいです」

 日持ちのするおやつなら焼き菓子かなと思ったら魔物肉のジャーキーやナッツ類、それは酒の肴の乾き物では…と、ツッコミかけるミネルバ卿の口を物理で封じる。

 「兄上、栄養足りてないから一杯食べてください」

 気を取り直してニコニコ天使の笑顔の仮面を被って兄をギュッとする弟。

 私的には小さいと言われているようで微妙。

 抱きしめた弟より小さい自分が微妙…泣いてないぞ。

 

 「南の兄様は日持ちのする食糧をお土産にすると言ったら干した果物を沢山くれました、食糧不足でビタミン不足になったら壊血病になっちゃいます」

 辺境伯を兄様と慕っているなら荒んだ関係ではないようだ、多分居酒屋のツマミのような土産を不憫に思い子供の好きそうな干果物を入れてくれたのだろう。

 「海運業では大事だね、ビタミン」

 手紙では辺境伯家の持ち船に乗せてもらったと書いてあった、シュヴェールトヴァール家は兄が辺境伯家を継いで妹4人、学園入学前から在学中まで仲はいいらしいので兄に可愛いがって貰えるようなら大丈夫だろう。

 「姉様達は隠し持てるキレイな短剣や魔弓をくれました」

 武闘派……? 。

 

 「暗器? 」

 すぐ横にいたバリエの呟き。

 顔が苦虫をかみつぶしている。

 

 ツッコミはいらない!

 弟には平和で優しい世界に生きて欲しいのに、何? 暗雲立ち込めるようなことを。

 

 「南の姉様達はたくさん食べて大きく強くなれるように()()()()訓練してくれます」

 

 訓練…?

 護身術?

 戦闘訓練…?

 

 ふと、周りを見渡すと部屋にいた全員に注視されていた。

 というか、全員固まっている? ……。

 

 大丈夫、護身術は私も習っている、が、武の才は微妙…。

 天を見上げる。

 ふと気が付いた 寝室の天井ではない。

 

 もう布は広げられていないが子供サイズのトルソーが1基、黒い服がかかっている。

 もうカタチになったのか 早い。

 護衛騎士3人、宰相、南の辺境伯、とその護衛3人。

 戦闘メイドと侍従、魔装工兵のアイル、バリエの弟妹と私、ツヴァイ。

 私の部屋で一番広い部屋で総勢15人。

 

 ここは私の私室でも一番広い部屋。

 

 一度にこんなに人間を見たのは4年ぶり位か…これが賑やか…? 。

 いつも静かで何もない薄暗い部屋が明るく別の部屋のようだ。

 

 服の生地選びをしようとしていた所までは覚えている。

 見回すそここそに徹夜明けの修羅場のような乱雑さが昼の陽中に露にされている。

 ここでそのまま服作りをしていたのか。

 が、それよりいつもと違う光源がちょっと目新しい風景に見えてつい呟く。

 「私はここで寝ていたのか? 」

 眩しい。

 「昼の部屋はこんな感じなんだ」

 

 抱きすくめた弟の眼がまんまるに見開いている。

 「昼間起きている時はないんですか? 」

 「夜、仕事する()此処()にいるから」

 

 それが私の存在証明。


 弟も固まる。

 

 えっと……? 。

 

 別のソファで南の辺境伯も固まっている。

 辺境伯の前で話していた宰相も…。

 が、私の目線に気が付くと二人して目をそらした。

 

 「兄上、()()襲われたそうですね。」

 ちらりと寝室の方を見る天使、瞳からハイライトが消えている。

 ツヴァイ?

 私をギュッとする腕に力が籠る。

 ちょっとキュッとなる、力強くないか? 。

 「護身術も暗器の使用方法も女の子のフリをしての潜入捜査も得意です!」

 ぎゆっが加算される、苦しい、くるしいから!

 身体強化?

 シュヴェールトヴァール卿…可愛い弟に何を。

 

 「僕が兄上の側にいてお守りします! 南の辺境伯家で鍛えました あんな脳筋護衛騎士などに任せておけません」

 ぐいぐい来る弟。

 私が寝ている間に何が……。

 

 宰相もミネルバ卿も不自然に私から目をそらす。

 何故か目の下に隈を作った双子と小エビ嬢はキラキラした瞳で私とツヴァイを拝んでいる。

 尊い。

 推せる。

 などと、小声でつぶやいている…?

 

 何を?

 

 「宰相も護衛騎士達も頑張ってくれているよ? 」

 だから締めないで、内臓出ちゃう。

 不服そうにぶーたれた顔をするツヴァイ、そんな顔も可愛い。

 けど!

 ぎゅうぎゅう。

 かわいいけど、どうやっても抱きついたまま離してくれない。

 ぎゅうぎゅうきゅ!

 ギブギブ! ツヴァイの腕を軽く叩いてみるが力を緩めてくれない。

 シゴデキ(仕事出来る)侍女、中身出る前に助けて!

 きゅ~~~!

 

 「横から失礼します、ツヴァイ殿下」

 ライラー女史が間に割って入ってきた 神!

 「アイン殿下の朝の身支度をいたしますので此方に引き渡しを要求します」

 「……」

 

 私は人質?

 

 はっとしたツヴァイは渋々引き渡し要求を飲んでハグという名の拘束解除する。

 ほっとしながらソファを降りようとすると、待ち構えていたようにてててとアイルが寄ってきた。

 「殿下、急ぎ報告したい件がございます、今よろしいでしょうか?」

 にゃっかり礼をとるアイル。

 にゃん()

 釣られてしまった。

 ちらりとツヴァイを見るアイン、また敵愾心丸出しのツヴァイがピッタリと張り付いてくる。

 待って! ツヴァイまた締めないで! ギブ、ギブ!

 

 こういうのをヤンデレと言うとミネルバ卿が教えてくれた…が…。

 ツヴァイ、ヤンデレ? ツンデレもヤンデレも意味がわからない。

 瞳のハイライトが消えていたのはきっと私の見間違え。

 

 ちょっと酸欠でクラクラして思考がまとまらない。

 「殿下、モテモテですね?」

 にやりとミネルバ卿が揶揄う。

 おま…。

 「不敬」

 くだらないこと聴かれて酸欠で倒れそうです。

 私と張り付くツヴァイを見比べたアイルは書類の束を押し付けてきた。

 「(くだん)の報告書と顛末書です確認お願いしますにゃ」

 いや、面白がっている。

 またハイライトのなくなった目をしたツヴァイが腕に力を籠め始めた。

 助けて! 

 いつも何かあったら頼ってくださいと口癖のように言ってくる護衛騎士共が全員眼をそらせる。

 

 「護衛騎士なのに全員兄上に対して不敬」

 本気の不敬だ。

 ツヴァイ、私が寝ている間に何があった。


この国には辺境伯家と呼ばれる家が3家あります

北と南、そして東の辺境伯家。

東の辺境伯領は上下水道、水洗トイレの普及率が90%、識字率が95%、王都より水洗トイレが普及しているのが自慢です(笑)

前世の記憶を思い出したミネルバ卿が前世チートが使えないと頭抱えた位何でもアリです。

ライスボールという名のカツ丼やあんパンや味噌、醤油もあります。

転移者のご先祖様がやらかしてます。

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