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殿下と愉快な仲間たち2

前書き

登場人物の名前を訂正します 

第一殿下 アイン ドンナー ノイエクラッセ

主人公(?)は変わらず ディーオイレ ミネルバ

ミネルバ卿の相方 護衛騎士② バリエ ルフト

異世界だから妙な名前ということで…

◎殿下の護衛騎士①相方の騎士② 、共にモブです


 なんで?何やらかしてるんですか?殿下⁈

 

 今の状況、王国一の高級娼館『マグノリアの四阿』の正面入口。

 正面入口に馬を乗り入れると、慌てた娼館警備の黒服共がわらわら湧いて出て殿下を止めようとする、が

 俺はそのうちの1人に無表情で大外刈りをキメ、意識を刈った。

 周りの黒服が止まる

 同僚のバリエが俺を見てる…

 一瞬にやりとするバリエは嬉しそうに尻尾をを振ってる…気がする コイツは格闘技が大好物だ。

 陣形は先頭に第一王子アイン殿下、10歳 左横半歩下がって宰相 左右に俺ら護衛騎士俺①バリエ②。その後ろ一列にメイド、女医、執事と続く。

 ハシビロコウの様な顔で王族の矜持を背負うかのように足音高く歩く殿下 濃紺に金の密な刺繍が入り後ろ裾が膝まであるジャケットの裾を翻す姿は子供とは思えない威厳がある。10歳だけどな!

 さっきまで布人形のようにクタクタに魂抜けてたのに偉いぞ、坊主。 と、心の中でサムズアップしたら後ろの執事と戦闘メイドに睨まれた気がした…ナンモイッテナイヨ?オレ

 とりあえず無表情を維持。

 シャンデリア輝くホールをつっきり、誰の案内もためらいもなく部下を目的地まで引き連れ往く10歳児童と愉快な仲間?たち。

 素手で黒服を薙ぎ払う俺ら。傍で見てたらとんでもない絵面だ 見ろ、周りの女の子や客のオッサンが引いている…

 なんて殿下の教育に悪い

 残業中の相方は無表情にちょい仏頂面が混じるが黒服たちを沈める手は止めない。

 (殿下、父親の女遊びを諌めに来た訳じゃないのか?)自分的、なんでこんな事になってるのか分からず相方に小声で聞いてみた。

 無表情で黒服を回し蹴りで沈める相方。

 あ、今聞いちゃダメなことか

 殿下の父親であるこの国のトップ、ゼクト ゲバルト ノイエクラッセ国王陛下の放蕩、淫蕩ぶりは国内外で有名であった。

 なのに国が大きな問題なく廻っていることがノイエクラッセ王国の最大の謎と言われていた。

 (此処は側妃のテリトリー。あれらより早く到着して現場保存しないと…)ボソリと宰相が呟く。

 現場保存? 浮気の現場か?いやでも国王陛下は殿下の母親である王妃を亡くしてから側妃一人しか妻はいない、から浮気には…

 女遊びの現行を抑えて国王引退の引導を渡し、第一王子への王位譲渡  は、時期早焦だし理由が弱い。

 第一、第一殿下が望まない

 聞かされぬ理由を考えながら、王子一行の足止めを敢行しようとかかってくる黒服を投げ飛ばしつつ愚考する俺。

 廊下の最奥、一段と豪奢な作りの扉を歩いてきた勢いのママ、殿下は扉を開けた。

 支配人は目的地にいた。

 無駄に豪華な天蓋付きのダブルベッドの横で覗き込むような姿勢の白衣の医師、白いローブの治癒魔導士が魂消し飛ぶ位の驚きで振り返る その脇で狼狽える執事服の支配人らしい中年男性。

 ベッドの向こう側の椅子に全裸にシーツらしきものを巻き付け脱力したように俯く若い女、ブロンドの巻き毛で顔はよく見えない 黒服三人が囲んでいる。

 これは子供に見せたらイカンやつ…

 「第一王子のアイン ドンナー ノイエクラッセだ、この場にいるもの全員動くな! そこの支配人、この状況に説明を求める!」

 「だ…第一王子? 第三王子ではなく?」

 我々の登場は不測の事態らしく支配人の目が泳いでいる。

 は? 第三王子は側妃の子供だ、情事の現場で子供と待ち合わせはないだろ?

 ベッドの上、医師たちの影になって見えないが男の素足が見える 頭らしい部位にアッシュブラウンの短い頭髪。

 

 殿下と同じ色。

 

 殿下達のやりとりの間、同行の女医はベッドの横の医師らしい人物を押しのけ、寝ている人物に対して色々手を動かしていたが、一瞬間を置いて向かいで黒服に囲まれた全裸にシーツの女性に目を向け駆け寄る。

 が、黒服が女医の前に立ち塞がり小馬鹿にしたように女医を小突こうとしたのを戦闘メイドが秒で戦闘不能にした。

 やべえよ戦闘メイド様

 あっという間にメイドに姫抱っこでシーツにくるまれた女性と女医は隣室に退場。

 殿下を…殿下も連れてって下さい…何かヤバイニオイがする。

 俺は戦闘メイド目で訴えたが綺麗にスルーされた。

 ドアを閉めると同時に鍵をかける音。

 アイン殿下は無表情にベッドの頭辺りに立って部屋全体を見ていた。


 ただ静かに


 流石にベッドから一番遠い俺でも気がつく ベッドの上の足の持ち主が生きていないこと。

 生きてはいない、この国の国王陛下 アイン殿下の父親 ゼクス ゲバルト ノイエクラッセ ノイエクラッセ王国第三十六代国王

 しかし何の感慨もないようにアイン殿下は父親の国王陛下ではなく部屋全体を観察するように見ていた。

 その眼は生きた俺たちも娼館の人間も父親の死体もひとつひとつをオブジェクトのように視ているのかの様に冷静だった…ぞくりとした。あくまで俺の感想だが…

 宰相がさらに医師を押しのけベッドの死体を検分する。

 「腹上死ですか、過度な飲酒 不健康な美食 不健全な行為…なるようになってしまったとういうことですか」

 つまらなそうに呟く宰相

 あなたの後ろにその方の息子さんがいます。

 「ど…毒殺の疑いが……」女医に邪魔者扱いされ、宰相にどかされた医師が大汗かきながら叫ぶ。

 「何処に?」医師より背の高い宰相が一瞥する 威圧がひどい

 「何かを吐いた跡も皮膚に腫れた跡も爛れもない、心臓か脳の血管が興奮して破れたかなにかの腹上死だろう」

 医師をにらむ(多分本人は睨んだと思ってない)

 「私より長く現場にいたであろうあなたのほうが多くの症例を見て知っているだろう?」

 「……」

 「それとも毒殺にしたほうが都合がいいのか?」

 医師より回復術士のほうが赤くなる

 「そんな簡単に決めていいものか!あの女が毒を盛ったに決まっている!」

 「お前はあの女の素性を知ってなお言うか?」

 素性?

 「決まっている!あの悪女はこの国を恨んで…ぐあぁほ‼ ?」 宰相が回復魔術士のみぞおちにキメてヤツの意識を刈った。

 宰相ぉ!

 何故第一殿下の部下は皆ステゴロ上等なんだ?

 宰相も一応細身の剣を持っている。メイドちゃんも太ももに何やら仕込んでいたのに…あれ?

 護衛騎士の俺らも剣使ってないな…てか俺らが使ったら阿鼻叫喚になるからと…うん、ステゴロ上等!筋肉は裏切らない‼︎ 人間は裏切るけど。

 俺はこの膠着して固まってきた部屋の空気に耐え切れず密に心の中で筋肉礼賛するのであった。

 …しっかりしろ俺!

 部屋の外からバタバタと複数の足音が近づく。

 来るな 9人か、内 護衛が6名、

 俺は陛下の側、バリエは宰相の後ろに付く。

 せっかく閉めたばかりの両開きの扉が破られる勢いで開く。

 「国王陛下に毒を盛って殺した悪女の首を取るのよ!」

 おばさん!何言ってるの? 扉あけっぱなしで叫んでいいセリフじゃないわ!。

 夜会用の派手なドレスを着た側妃が汗だくで息を切らせて立っている。自慢のブロンドが乱れて髪飾りがぶら下がってる。おばさん…

 左右に息ひとつ切らせてないメイド二人、この二人も戦闘メイドか?

 三人を囲むように側妃の護衛騎士9人 流石第三王子は連れて来なかったのかと思ったら いたよ、護衛騎士の一人が背中に負ぶっていた 第三王子殿下、12歳 王子、顔面蒼白で魂抜けてるよ

 勝った ウチの殿下の勝ちだ

 グッと勝利を確認すると、宰相もなんだか鼻高々なオーラが…

 しかし悪女って? 今、隣で女医と戦闘メイドに手当されてる子か? 顔はよく見えなかったが15~6の子供が悪女?…そんなこと言ったらここにいる女の子全員悪女じゃん!色々な事情があってここで働いている女の子たちに何失礼な言っているんだよ!

 というか娼館であんな子供が中年オヤジの相手をさせられてる現実が辛い。

 「現場検証もなしに自分たちの都合のいい状況に仕立てるつもりですか?」宰相の後ろにブリザードが吹き始めたのが視える…怖!

 第一王子と愉快な仲間たちも、娼館の支配人たちも、側妃と血の気の多い仲間たちも、側妃と宰相の掛け合いに戸惑って動けない。図星か

 扉が開いているから外の黒服や高級娼婦の御付きらしい少女たちが中を伺っている 不味くないかこれは? 明日を待たずして噂雀たちのさえずりが王都中に広がるぞ? いっそ暴れて胡麻化しますか?宰相

 と、廊下からパタパタと足音がする。

 昼の顔だけ宰相(仮)と白衣の太った中年男が走ってくる…が、足遅え!

 「現場検証もせず、いきなり国王死亡に毒殺説ですか? 」確かに。パタパタ…

 現場にいち早く到着したのは我々第一王子と愉快な仲間たちだ、第三王子たちは国王陛下の死亡すら確認していない。パタパタバタン!

 側妃の後ろで後から来た二人が転んだ

 息がキレて立ち上がれないようだ。

 数秒、沈黙が部屋を支配する。

 コントか⁈

 「陛下の詳しい死因は王宮医師達に確認させるが、娼館での淫蕩行為による腹上死など不名誉な死因ではなく病死として発表される、その後のことと次第は王太子の決まっていない現在、王弟殿下が執り行う事になるだろう、最初に現場に辿りつけなかった貴方達には王弟殿下の采配に従ってもらおう」

 側妃の形相が恐ろしいことになっているよ

 「この事は他言無用で」

 「は…」

 「他言すれば不敬罪の適用もある」

 「……」

 コクコク頷く支配人顔色が青を通り越して紙のようになっている。

 宰相が脅しをかけている間に側妃とその一向は忌々しげに踵を返して去って行った。

 コケた二人は護衛が回収

 うん、昼の宰相(仮)と側妃派の宮廷医師だから

ちゃんと片付けてってくれ。

 とりあえず今回は「夜」の俺らの勝ちだ

  勝って「国王陛下、娼館で腹上死事件」の後始末をするのか……

  あぁ…

 


「昼」「夜」は王宮内の仕事時間の区分

昼も夜も同じだけ職員が働き、王宮が「不夜城」と呼ばれる理由が次回明らかに!

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