殿下と愉快な仲間たち
初めまして 初投稿です
主人公は護衛騎士のミネルバ卿 独身 騎士爵です
時代背景は中世よりちょい現代より、水洗トイレがある
舞台はノイエクラッセ王国 今は平和な国
という所で
初めての小説で色々いたらない所も多々ありますが楽しんでいただけたら嬉しいです
◎ 生まれ変わった モブだった
不夜城といったらアレだろう。
ステゴロの連中が街の覇権争いする奴…?違うか その辺の記憶は曖昧だ。
どちらかというと乙女ゲーだよな この煌びやかさは…知らんけど。
自慢じゃないが戦略シュミレーションや魔獣をひと狩りしにいくゲームはよくやった
よくやったが流石に乙女ゲーは攻略サイトの広告で見かけるくらいの知識しかない。
三日前位だったか 乗馬訓練の後、馬の世話をしていたら…蹴られた。
ブラシをかけようと横に立った時何を思ったか馬がドアを足で開けるかの如く蹴ってきた
馬にしたら戯れかもしれないが人間は飛んだ 飛んで厩舎の壁に突っ込んで頭を5針縫った。
よく頭が潰れなかったもんだ。
その時の痛みで前世を思い出した(何故か胸を押さえて呻いていたのでその場にいた騎士共は 命の危機!と城内で人気の女医を連れてきた…なぜ治癒魔術師を連れて来なかったんだ お前ら)
多分…胸の痛みは前世で死んだときの痛みだったんじゃないかと思う。
思い出したのは後ろから羽交い絞めにしたり防御したり ひと狩りして漫画肉を踊りながら焼いた記憶ばかり 多分30代位で死んだ らしい。
チートな知識なんて思い浮かばないし 魔法も先祖代々の身体強化の魔法しか使えない
しかし、王城勤務の煌びやかな世界に足を踏み入れた時、ラノベで読んだ乙女ゲーネタを思い出し、やべ…俺、乙女ゲーの世界に転生した?と呆然とした。
夕暮れの最後の陽光が細い帯のように空と地平に一瞬の層を作るこの時間
ヴェルサイユ宮殿のような建物の外庭、門に一斉に灯がともる。
不夜城と称されるノイエクラッセ王国の王城の夜の時間が始まる。
俺は昼勤と夜勤の交代で混雑する騎士用門の前でため息をつく
王城は夜も昼と同じだけの騎士や使用人達が働くために交代の時間は混雑する。
これ、乙女ゲーだ なんもわからん
ため息の分だけ列は進む。
「どうした?シケたツラして」
仲のいい衛兵が声をかけてきた むさい不精髭のこいつは乙女ゲーじゃねえ。
「…太陽の光を浴びたい…」
毎日が夜勤、俺が護衛する第一王子殿下は夜型だ
夜陰に乗じて公務をこなしていらっしゃる
昼ではダメなのだ 理不尽。
俯きながら身分証明をかざす 前世のクレジットカードより少し大きめの金属板 名前と所属と王国の紋が彫り込まれている。
「嘆きのゾンビか、お前は」呆れる衛兵。
衛兵の横の壁に窪みがあり、台座に収まった水晶
丸い水晶の上三分の一を斜めに切り取った形状のそこにカードをあてる。
あてたカードの下に黒い影がでる カード自体の空きスペースに文字が浮かぶ。
『第二黒騎士団所属 ディーオイレ ミネルバ』
それが俺の今の身分。因みに独身。年齢は秘密
「昼酒飲んで公園で彼女の膝枕で昼寝したい」
そしたらこの訳の分からない状態から解放されるか?
「ミネバ中央通りの坂上に昼酒飲ませる店があるぞ」
哀れむように首をかしげて俺の顔を覗き込んでくる
30過ぎのおっさんがやったって可愛くないぞ
ちくしょう! 自慢じゃないが彼女いない歴がそのまま年令なのがバレている
「週末に飲みに行くか」
「行……」
「ミネルバ卿! 緊急事態です」
うぉおい!
行くと言いかけた所で俺と交代で昼勤が終わるイノエが走ってきた 同じ黒騎士団の同僚
「宰相、第一王子、近侍とメイド、医師のメイナードが馬で出ます」なんだと?
「卿もお急ぎください! 私は昼勤務が終了しましたので…」
入れ替わりに帰ろうとするヤツの首根っこをつかまえる
「緊急事態ならお前も同行するんだよ!」
ほぼ城から出ない殿下が出るだと?
「えええ~私は昼勤務を勤め上げ…」
俺より小柄なヤツを引きずるように厩舎に向かう
厩舎では宰相が王子をシーツのようなものでくるむように背中にくくりつけ馬上にいた
…何故? というか王子の扱い雑!心なしかぐったりする10歳児 おいおい!
宰相と王子の馬を先頭に俺とノイエが両脇を囲み その後をメイドちゃんとメイナード医師の二人乗り 最後を近侍の兄ちゃん
殿下付きのメイドちゃん、メイド服の下に白の乗馬服のパンツを履いていた。
その太ももにベルトで何かが括り付けられていたのは見ないふりをした 戦闘メイドか!
馬は市街ではあり得ないスピードで坂を上っていく
坂の上は花街
正面奥、全体が煌びやかに輝く灯が配置された貴族御用達高級娼館《マグノリアの四阿》を中心に仰ぎ見るように道の左右に大小の娼館が配置されている。
目的地は花街最奥、《マグノリアの四阿》その前に娼館手前の公園の奥で王子の身なりを整えるために馬を止めた。
木陰のカップルたちが虫のようにわらわら逃げていく ちっ!ナニやってやがる。
宰相は馬を降りるとシーツで背中に縛り付けた第一王子、アイン殿下をメイドと近侍の手伝いで降ろす。
殿下、ぐでんぐでんだよ!10歳の子供なんだから優しくしてあげて!
メイドが水筒から水(だな、あれは)を飲ませて近侍が懐に折りたたんで入れていた(入ったのかよ!マジックバックか?)上着を着せる
と、ぐでんぐでんだった殿下がシャキッと立ち上がる 流石王族、体調悪くてもおくびにもださない。
この子、妙にコワモテで圧があるんだよね
宰相は美形だけど40過ぎのオッサンだし近侍のじいさんは60過ぎの老人 俺ら護衛騎士は並みの中くらいの容姿
美人は殿下付きの戦闘メイドだけ…
…これ、乙女ゲーのビジュアルじゃねえな。
殿下を宰相の前に乗せ、再び騎乗していざ、マグノリアの四阿へ!
いや なんで?
なんででしょう?
すみません 扱い方(ルビの付け方とか)がよくわからないのでゆっくり更新になると思います