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奪還開始

滅びた王都エリュシオンの中央から、這い出て湧き上がる数多の呪現獣。それらは城門に集まるガレア達を捉え、蠢き寄ってくる。


「さて、作戦通りいこうか。この呪現獣の大半は私を狙うだろう。だから単騎上空から引き付けて対処しよう。そのままサーロを一人で奪還できれば御の字だが、本当の意味でサーロを奪還するには、ティアラ、キミでないとね」


「はい……!」


滲んだ涙を拭い、決意を固めるティアラ。その様子を見て安堵の表情を浮かべる。そして、ガレアも鋭い眼光で元老が儀式を行う玉座の間のある建物を遠く見やる。


「で、大半は龍人様が引き付けてくれるが、地上からサーロのとこ行くにゃぁ、いくらこのウルバル様と言えど、ティアラを護り連れてけねぇ、そこで、よ」


「森のみんなー! ありがとねー! お礼のアップルパイは食べきれないほどご馳走するからねー!」


ウルバル達の後方には、多様な由来の獣人達が大勢控えていた。皆翡翠色の紋様をその身に宿している。


「よくここまでの獣人を説得できたね。頼りになるよ」


「あんたの言った通りなら、サーロとアニムスとやらの結婚式ちゅう名の儀式がされちまえば、王都以外は荒れ果てるんだろ? そんなん、俺達の獣の理性も本能もさせちゃならねぇて感じてんだ。ここにいる全員がな」


獣人達は皆闘志を目に宿しながら、静かに頷く。その獣人達も、サーロとティアラに短い時間ながら触れた者達。


「そして、私、いや、私達の歌声で呪現獣の思念を響き揺さぶらせて、その動きを鈍らせるわ。亡者達の為のレクイエムでね」


歌姫ミシトの首には黄昏色に仄光る、フィーリエの真心宿る紋様が。その紋様にそっと触れる、ミシトの内で何かを伝え合うように。


「そしてみんなにとっては大胆不敵な奪還劇に見合うカンターレを!」


そして、ティアラはのっそりと、もじゃもじゃもふもふした手に抱えられる。グリマは背中にティアラを乗せる。その隣には、翡翠色のまじないを宿したレイピアを握るアイシャ。


「さあ、行きましょう」


「ティアラは私がサーロの元に絶対連れていくからねぇ〜!」


「はい……!」


ガレアは、それらの音を聴き入る。とても、頼もしく、快く、熱く想い滾るその響きに、自然と笑みが零れる。そして、翼を具現化し、宙高く浮かび上がる。ガレアは、血が湧く感覚を久方ぶりに覚えた。その高揚から、意気揚々、声を通らせ宣言する。


「さぁ! 行くよ! 未来の、いや、今日を笑顔で終われるために!」


王都エリュシオンの城門の上に、赤き滅龍が現れた。


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