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決別の群青
――行ってしまうのか、サーロ。
――はい、もう、過去を忘れて、置き去りにしてはいけません。
――君に掛けたまじないは、もうキミの過去の記憶と使命を抑えることは出来ない。つまり、過酷な運命に向き合わなければならない。
――でも、僕が、本来の僕になれば、ここにいる人達は助けられます。
――その優しい心は、変わらずだな。サーロよ、我が愛しい愛弟子よ。
――クラーク先生。今まで僕の中で、護ってくれてありがとうございます。アバンダンシアでの日々は、とても、とても幸せでした。
それは、サーロの心の中。渇いた泉を見下ろしながら、サーロは心に刻まれていたクラークの思念宿るまじないと話していた。クラークはぼやけた光る思念体でサーロの側で語りかける。
――それでは、僕は戻ります。ここに居る皆を助ける為に。向き合わなければならない過去から逃げないためにも。
――そうか、キミには、ただ、笑顔で未来を見ていて欲しかった。
クラークの思念体が、サーロの心の中から消える。そして、サーロの内から鮮明に、忘れていた、ぼやけていた記憶が蘇る。サーロは静かに瞳をとじ、そして開く。その瞳は、深淵を思わせ、全てを受け入れてしまいそうな群青色。
「ティアラ……いままでありがとう」




