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別れ進む先には

城壁の中は無機質でいて、どことなく暗く圧迫感を覚える石造りの建物が点在していた。それだけだった。木々や畑もあったが、そこには活力はなく、色はあるはずなのにそれを感じさせないほどであった。


この光景に対し、ティアラはやや不安を感じサーロの後ろをついて歩く。サーロはこの城壁の中の人々の暮らしがどうやって成り立っているのかと疑念が湧く。同じく囲まれた一つの集落であったアバンダンシアは恵みに満ちていてそこだけで生活が潤い完結していた。それが日常だったサーロにとっては、今肌に感じるこの無機質な空間は異常であった。ガレアでさえ、いつもの不敵な笑みはなく、口をつぐんでいた。


三人は城壁の中にある、またしても無機質な、しかし新しさも感じる城へと案内される。そこには屋外闘技場を併設しており祭典はそこで行われるという。案内役の甲冑を被り表情の見えない男が言うには、呪いを消し去る祭典との事であった。それだけしか伝えられず、具体的な内容は語られない。


「呪いを消せるっていうの……本当なら、サーロが早く渇きの呪いから解放されて嬉しいんだけど……」


「うん、本当、ならね。でも可能性があるなら、ティアラに涙をこれ以上流させなくていいようになるなら」


「サーロ……」


「ふっ、全くこんな場所でも健気だね。なーに、いざという時にはこの用心棒がいるんだからね」


「はい! 頼もしすぎます!」


「……ではここからまっすぐ行くと祭典が開かれる闘技場があります。そこの少年はこのまま真っ直ぐ。エルフの方は、こちらの階段を上がり観覧席へ。我が主がお待ちです」


「あ、ここで別れるんだね……サーロ、後でね!」


「……うん!」


ティアラの不安を感じつつも、笑顔でサーロを見送る。サーロも、この場所に、これから始まる祭典に疑念を抱きつつもティアラを安心させようと明快に返事をする。ガレアは相変わらず口をつぐんで静かに気を張り詰めている。


「不老の龍人。あなたは特別な呪われた方ですので、祭典の最後に登場していただきたく、控室でお待ちいただきたい」


「拒否権は?」


「ご自由です、が、一つあなたに伝えたいことが、主から」


「この城の主かい? ここは訪れた事無いから私は知らない人物だろうが、そちらは私の事に関心があるようだね」


案内役はガレアの耳元で他の二人に聴こえぬよう、静かに厳かに、ガレアにとって予想外の言の葉を届ける。


「リュシオ様が、お呼びしています」


「……!」


ガレアは一瞬瞳が静かに大きく開く。それはサーロとティアラが初めて見たガレアの動揺する姿であった。しかし、その動揺も一瞬、すぐに瞳を細め、案内人の思惑を見抜こうとする。


「いいだろう、ただ確認を。この少年少女二人の身の安全は、保障してくれるね。破れば、この城壁の中は、更地になるだろうね」


「心得ております、では、それぞれ行くべき場所へ」


「……はい」


「サーロッ! 後でねっ!」


「……リュシオ……か」


三人は三方向に分かれ歩み出す。案内人はその背中を一人一人見送り、最後に控え室がある扉を開けるガレアに強い視線を向ける。私怨と思念と使命の宿った瞳で。




「心得てるさ……貴様が滅ぼしたのだからな……我らの国を……っ! 滅龍ガレアよ……っ!」


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