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呪われ人達のコロシアム

「見えてきたね。あの森の中の城壁に囲まれた土地に、呪われた者達が今集っているという噂だ」


ガレアは今回はサーロとティアラを先導しながら歩みを進めている。ミシトが手配してくれた客船から降りた地で、数刻ほど歩きそれは見えてきた。広大な石造りの城壁に囲まれたその場所は、外から中を窺うことが出来ない。その物々しさにティアラはやや不安を覚える。サーロはというと、そんなティアラを気にしながらも、頭の片隅には、何か、思い出さなければという意識が離れない。


「ミシトさんの都市での話では、呪われた人々が求める何かがあると……僕の様な、呪いを受けた人々が」


「そうともいえるが、キミみたいとは言えないね。正直な話、呪いを宿す者にはその多くは呆れる上にろくでもないことが多いものだよ」


ガレアはやれやれといった具合で手ぶりをし息を吐いた。ティアラは、そんなガレアを見ながらふと口から疑問の言葉がこぼれた。


「ガレアさんはそう言えばどうして呪われたんですか?」


言ってから、踏み込みすぎた質問をしたと、アワアワ落ち着かなくなるティアラ。サーロはその様子を見て、あ、いつものティアラだと感じ安堵する。ガレアは、その質問に対しては含みはあるが穏やかな笑みを見せて答えようとしない。ガレアは話を逸らすかのように話題を出す。


「そういえば、ミシト、都市の歌姫にも私の龍宝をプレゼントできてよかったよ。あれはむしろキミたちの結婚式披露宴に大物ゲストの予約をしたみたいになったかな?」


「たし……かに……快く受け取ってもらえてぜひ行きたいとも言ってくれましたが……」


「よくよく考えるとものすごい方なんですよね……出演料とか払うとなったら……でも! 払ってでも私は来てほしいです……!」


拳を力強く握りしめ、やや損得勘定を頭の中で巡らせながらもそんな事抜きでまた歌姫の声を聴きたい!という強い意志がティアラから見て取れる。先程のガレアへの質問は頭から抜けてしまったようであった。逆に、サーロはそんなティアラを微笑みながら見守りつつも、先を歩くガレアに視線を向け、自身と同じく呪われた者の経緯が気がかりになる。


「さあ、もう少し歩けば噂の地に着くさ、ふたりとも行くよ」




「これより先は、呪われた者しか現在立ち入れられません。あなた方には呪いの紋様は刻まれていますか? ご確認でき次第立ち入りを認めます」


「ふむ、私とこの少年には紋様はある。確認してもらって構わない、が、一人くらい同伴者を連れてもいいかな?」


「現在、立ち入りを主より許されているのは、呪われた者のみです。それ以外の者は巻き込め……ん?」


厳格に立ち入りを拒もうと呪われていないティアラに目を向ける門番。何かに気づいたらしくやや動揺が見え、もう一人の門番に耳打ちをした。すると奥の控室から通信機器を使い誰かと会話している。とても丁寧でいて怯えた口調で。ガレアとサーロは、その挙動に、やや不信感を募らせる。ティアラは、そもそも二人とここで別れなければならないのかとドキドキしている。


「確認が取れました。特例としてそちらの方も同伴してよいとの事です。ただ、呪われた者達による祭典の際は、こちらの用意した観覧席に来ていただきます」


「は、はいっ! 一緒に入れるってことだよね! よかった…… ありがとうございます!」


「うん。ひとまず、安心だね。呪われた者達による祭典……か」


「そして、そちらは不老の龍人様ですね」


「ほうご存じなのか」


「ええ、呪いに詳しい者の界隈では有名ですから。あなたにも呪われし者達の祭典の際には特別待遇させていただきます」


「私はそんな待遇要らないが、断れば?」


「この度の皆様の入場をご遠慮いただきます」


「ふむ、事を荒らげるのも得策ではないか。いいだろう」


「では紋様の確認をします……はい、確認しました。ではどうそ中へ」


黒鉄の重厚な城門が鈍い音を響かせながら開く。そして三人は門を通過し城壁の中へ。


三人が通り終えると、その黒鉄の城門は一部の隙もなく閉鎖される。響くその音はこれから起きる祭典の始まりの鐘でもあった。門番は通信機器でまた誰かと話す。そこから狡猾な響きをした声が漏れ出している。


「不老の龍人に、クウェンチエルフの乙女か……奴の言っていた通りだ。さぁ役者は揃った。祭典の準備を急げ……クククククッ!」


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