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幕間 滅びた王国で待つもの

灰色、残骸、滅びた栄光。


そこは大陸の者達からも忘れられた、隔てられた、王国だった場所。


崩れ、欠けて、外からの淡く生気のない光が射し込む玉座の間。后の椅子に座る者がいた。その姿は小柄な少年にも見え、凛々しい少女にも見え、閉じていた瞳を薄く開くとその瞳の色は右目は翡翠色、左は紅蓮色。どこか怪しく力強く、儚く憂いてもいる光を灯していた。



「お目覚めですか。ニア・エンプレス」


現れたのは顔が見えないほど白灰色のローブのフードを深く被った腰の曲がった人物が。声はしわがれてはいるが響き、静けさで造られた王座の間に反響する。


「その呼び名はやめろ。僕(私)は僕(私)だ、ちゃんと名がある」


ニア・エンプレスと呼ばれた者は、つまらなそうに、片腕でふてぶてしく肘をつき頬を支え、二色の目で見下しながら吐き出した。その吐き出す声の中に、自分を示す際、一つの口から二つの声が重なり響く。


「これは申し訳ありません。しかし、我らにとってあなたはあのエンプレスに近い存在。その呼び名は変わりませぬ」


「ふーん、で、何の用」


「インヒアレント・エンペラーがとうとうアバンダンシアの地から外界へ。そして我々の計画通り、渇きの呪いを宿しました」


「へー……へーっ! そうなんだそうなんだ! やっと、また、やぁーーーとっ! 会えるんだね! 僕(私)待ちきれないな~! うふふふふふっ!」


無邪気と邪気を重ねた笑い声が滅び廃れ忘却された王国に響き渡る。その響きはこの地に宿る見えない何か達を掻き立てる。黒い靄が僅かに微かに次第に湧きあがる。


「あーあー……早く会いたいな、サーロ」


「それこそが我が王国の宿願です」


后の座に座る者は夢見る少女の顔になる。誰が見ても。形が変わる。


「結婚式、楽しみだね」


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