第一話 同じ夢
初めまして、夏オレンジという者です。
なろう小説を読んでて、僕も小説を作ってみたいと思い、書かせていただきました。
初投稿なので至らぬ点も多々あるかと思いますが読んでいただけたら嬉しいです。
これからよろしくお願いいたします。
最近、同じような夢を見る。
草木ひとつも生えていない荒野の上に僕は立っていて、手に何かを持っている、それは形は分からないが光り輝いていて、とても強い力を感じる。
そして僕の周りには人影が三つ、僕と並ぶように立っていて、全員が僕と同じようなものを持っていた。
僕の隣に立っている人影たちは男か女かもはっきりとは分からず表情すら読み取れないが、その形は間違いなく人間のそれだった。その人影達からは敵意や悪意などは感じないし、全員が同じ方向を向いている。
夢の中の僕が三人と同じ方向に目を向けると、そこにはとてつもなく大きな影が見えた、"それ"の姿かたちは全く分からなくて、ただとてつもなく大きな影としか表現できないが、"それ"からは僕の隣に立っている人影たちからは感じなかった敵意や悪意が溢れていた、目の前に立っているだけで気を失ってしまいそうになるほどの深く濃い憎悪を感じる。
でも、夢の中の僕達はそんな化け物に対して恐怖など全く感じていなかった。むしろ、むしろ僕達の中からは勇気や希望を強く感じた。
目の前の影を倒さなければならない、そう思った僕は自然とその影に向かって走り出していた。
「――――――!!」
「――――――!!」
「――――――!!」
人影たちが僕に向かって何か叫んでいるように感じたがよく分からなかった、そして僕は手に持ったものを"それ"に向かって振り下ろす――――。
「……また、同じ夢か...。」
目を覚ました僕は思わずそう呟いてしまった。
「今、何時だろう...。」
そう言って僕は体を起こし、ベッドのそばに置いてある時計に目をやると午前6時を指していた。
「結構早めに起きちゃったな、まあいいか。」
二度寝をする気もないので、僕はそのままベッドに腰掛けるような体制になった。
「それにしても、本当に何なんだろうあの夢。」
まだ時間には余裕があったので、少しぼんやりとする眼をこすりながら僕はさっきまで見ていた夢の事を思い出していた。
何もない荒野,光り輝く何かを持って立っている僕,僕と同じようなものを持って僕の隣に立つ三人の人影,そして僕達の前にいる巨大な影。
まるで、アニメや漫画のワンシーンを切り取ったかのような不思議な夢だった。
以前から夢は見ていたのだが、最近ではほぼ毎日のように同じような夢を見ている。
最初の頃は内容もよくわからないような曖昧なものだったのだが夢を見るたびにどんどんと鮮明なものになっている。
「はぁ...やっぱり変だよなぁ...。」
すっかり目が覚めた僕はあの不思議な夢の事が頭から離れないので思わずため息をこぼしてしまった。
人なら誰だって夢くらい見るだろう、原因は様々あるがとにかくそれは何も変な事では無いしむしろ当たり前のことだ。
だが―――。
「なんで同じ夢ばかり見るんだ...。」
そう、僕が変だと思っていることは同じ夢を見続けているという事だ。
人によっては数日くらいだったら同じ夢を見る人もいるかもしれない、だが、僕はあの夢を二年間も見続けている、夢の中の状況は多少違う時があるが、荒野に三つの人影と共にいることや巨大な影と対峙しているという内容は変わらない、これは流石に異常なことだと思わざるを得ない。
「ただの夢...なのかな。」
そう口に出してみたものの、僕はあの不思議な夢がただの夢だとはどうしても思えなかった。
大抵の人なら夢から覚めれば、自分の見ていた夢はただの夢だと思って、それ以降その夢の事など忘れてしまうだろう。というよりそもそも自分が夢を見ていたと覚えている人のほうが少ないかもしれない。
でも、僕はさっきまで見ていた夢の内容をはっきりと覚えているし、それどころか、あんなに現実味の低い夢がまさしく現実のことであると思っている自分がいて、そんな自分に何の違和感も持っていないことに恐怖すら覚える。
「それに、あの人影、前はあんなにはっきりと形は分からなかったよな?。」
そう、今までも三つの影は見えていたが、あんなにはっきりと人型に見えたのは今回が初めてだった。
そして、夢の中の僕はあの三人の人影との間に強い繋がりを感じていた、しかもそれは友人などに感じるようなものではなく、むしろ家族との間に感じるようなものだ。いや、それ以上かもしれない。
ともかく、そんなとてつもなく強い繋がりを感じていたのだ。
だから、余計にあの夢に現実味が出てきて、僕の頭は余計に混乱してしまう。
少なくとも僕はこの五年間、人に対してあんなに強い繋がりを感じたことはない。
「何なんだ本当に...!どうしちゃったんだよ僕は...!」
考えがまとまらず混乱する自分の状況に少し苛立ちを感じるが何の解決にもならないので、すぐに落ち着きを取り戻した。
「まさか、本当に現実の事なのか?いや、ありえない、よな...。」
あの夢が現実だという考えを口にするがすぐに否定する。少なくとも僕はここに来てからあんな荒野は見たことがないし、人と一緒に化け物と戦った覚えだって微塵もない。
「はぁ...やっぱりただの夢だな、きっと相当疲れてるんだな」
そう言って無理やり自分を納得させた、こうでもしないと延々と考えてしまいそうだ。
ふと、もう一度時計を見ると7時になっていた。
「一時間も考えてたのか...登校まではまだ時間はあるけどいい加減起きて、早めに学校行こう、今日は数学のテストがあったはずだし。」
そう言ってベッドから立ち上がったが、一瞬、強いめまいを感じベッドに尻もちをついてしまった。
「あれ、何だ今の...やっぱり疲れてるんだな、僕」
そう呟きつつ僕は苦笑いをこぼした、肉体的にも精神的にも疲れは感じていないがきっと受験やらなんやらで自分でも分からない疲労が溜まっているのだろう。そう思うことにした。
もう一度立ち上がろうとすると、今度はすんなり立つことができた。
あとであの人に良い疲労回復の方法がないか聞こう、などと考えながら僕は時計の横に置いてあるネックレスを手に取り、首にかけた。
このネックレスは中心に美しい水色の宝石があり、それが小さな金属のチェーンで繋がれている非常にシンプルなものだが僕の宝物だ、これだけは絶対に失くしてはいけないと思っているし、僕の命そのものだといっても過言ではない。
大げさだと思うかもしれないがこのネックレスを見るとそう思ってしまうのだ。
それが何故だかは分からないがきっと僕にとって凄く大事なものなのだろうと思う。
そう、僕の失われた記憶にとって...。
「村山さん、もう起きてるかな。」
そう呟きながら僕はドアを開け、部屋を後にした。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。変な日本語だったり、誤字、脱字のオンパレードかと思いますので指摘など頂けたら非常に嬉しいです。
まだまだ謎の多い主人公なので一話はセリフが少なめで読みづらいかもしれませんが、二話以降はセリフをなるべく増やそうと思っていますのでお許しください。
正直、結構行き当たりばったりで書いているので、先の展開とか、はっきりと考えてはないので更新は不定期になってしまうかもしれません、申し訳ございません。
でも、必ず完結させたいと思ってはいるのでお付き合い頂ければと思います。