誕生…?
この小説は、連載中であっても作者の失踪により途中で終わりを迎える可能性があります。
その点をご留意いただけますと幸いです。
魔界のとある地、とある修道院にて
オギャア オギャア
産声があがる
新たな生命が誕生、それは通常であればめでたい出来事であろう
しかし、
この子は、この子の産声は、決して福音ではない
この地が呪われた、あらゆるものの命を蝕む場所になる、
そのきっかけにすぎないのだから──
------------------------------------------------------------------------------
「アリア!大丈夫だったかい!?」
「えぇ、あなた…」
「旦那様!アリア様も赤ちゃんもご無事ですから!大きな声は慎んでください!」
「す、すまなかった…
それで、我が子は?」
「元気な女の子ですよ。声を張り上げて、それはもうこの部屋に響く声で」
「おぉ…!」
「ごめんなさい、あなた…男の子であれば世継ぎとして紹介できたものを…」
「構わないさ!君と僕の間に産まれた命に、性別の差があるものか!
…時代錯誤とは言われるかもしれないがね」
「…そう、ね…そうよね。私とあなたの間に産まれた、愛しい我が子ですもの。性別などささいな問題だわ」
「さて、名前を決めよう。前から相談はしていたが──」
『──ドコ?』
「…ん?」
「あなた…?」
「旦那様、いかがなさいましたか…?」
「いや、今、何か──
聞こえた気がしたんだが、気のせいだったようだ」
「もしかして、仕事続きだったから疲れているんじゃ?しっかり休めているの?」
「旦那様!アリア様に心労をかけるような真似はお控えください!」
「すまないすまない。子どものような声だったから、もし本当に声だったら気にかけるべきかと思って」
「気味の悪いことを言わないでちょうだい…!」
「そうでございますよ!ここは修道院内、それも関係者以外は立ち入りを禁じている場所です!2階ですから、外の子どもの声ということもありませんでしょう」
「…だからすまないと言っているじゃないか。どうも疲れが取れていないようだ」
「…あなた、この子の名前は…」
「あぁ!そうだったね!この子の名前は
レア、は駄目かな?」
「…レア…レア…私は響きが気に入ったわ」
「さすが旦那様でございます!」
「ありがとう。お世辞でも嬉しいよ」
レア…?
チガウ
チガウ
チ ガ ウ
カタン
「…あら?誰か窓際の花瓶を触ったかしら…?」
「え?いや、僕じゃないよ」
「私でもございませんよ?」
「あら、何か物音が聞こえたのだけれど…」
「じゃあ僕といっしょだ。疲れているんだよ」
「やだ、私まで幻聴が聞こえるだなんて…」
赤ちゃんは、いつしか泣き疲れたのか眠っていた
ここまでお読みくださりありがとうございました。
次回もお会いできることをご期待ください。