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衝撃

 祐一郎君が歌い出した。

 …やばすぎるだろ…

 何がやばいって、歌がめっちゃうますぎる。

 しかもなんなんだ…この透き通るような、

 それでいて癒される甘い吐息のような声。

 

 選曲によっては、泣くぞコレ。

 なんなんだ。

 感情がこもっているというか、聴き入って

 しまう感じ…

 

 

 はっ‼︎

 セイラちゃん…

 泣いてる…

 うん、、わかるわぁ…。

 しみる…

 

 二番に入ろうという頃

 ピッ

 祐一郎君が曲を消した。

「どうした?なんで消したの⁇」

 セイラちゃんも、もっと聴きたかったよう

 な顔だ。

「あの、オレデブなんで息が一番までしかも

 たないんっす。」

 汗を拭きながら祐一郎君は、恥ずかしそう

 に話した。

「なんだよそれー‼︎ってか歌うますぎ‼︎」

「よく言われます。本当は、歌手になりたか

 ったんすけど、息がどうにも無理なんで…

 夢あきらめたんっす」

 苦笑いする祐一郎にオレは言ってやった。

「諦めんなよ。一緒に頑張ろうぜ。夢叶えろ

 よ」

「えっ…でも、デブだし…どうせ…」

「ダイエットするんだろ?どうせとか言って、

 諦めんなよ。まず挑戦しようぜ!」

「はい…ならやれるだけ頑張ってみます‼︎家

 の空気全部吸うんじゃねぇぞってねーちゃ

 んに言われてももう泣きません‼︎」

 え…⁉︎

 別に泣かなくても…

 でも、その気持ち少しわかるわー。

 

 それから祐一郎君にオレなりのダイエット

 方法を伝授した。

 でも、祐一郎君はオレと少し違うダイエッ

 ト方法。

 歌も歌う事を重視して、腹筋を特に力を入

 れて。

 

 ダイエットを始めて数ヶ月が経った。

 見た目は劇的に変わったわけじゃないけど、

 以前よりは少し締まってきたように思う。

 今日は、久しぶりに三人でカラオケ。

 なんと祐一郎君、二番まで歌い切ることが

 できた。

 しかも歌唱力また上がったな。

「二番まで歌い切るなんて夢のようっす。オ

 レやる気しかないっす‼︎」

「おぉ、そうか!その調子で頑張ろう」

「うっす」

「私も応援してる。頑張って」

「うす!」

 その言葉通り祐一郎君は、とにかく頑張っ

 ている。

 

「おー、琢也ー。」

「あ、田川さん」

 クラスが別々になって久しぶりの田川さん。

「うちの弟が本当に世話になってるみたいで

 ありがとね」

「あぁ、祐一郎君すごい頑張ってるよ」

「うん。正直びっくりしてる。すぐダイエッ

 トなんて投げ出すと思ってたからさ。よっ

 ぽど彼女欲しいんだな。」

「うーん、それはどうかわからないけど頑張

 ってる限りずっと応援するつもりだから、

 田川さんも応援してあげてね」

「うん。サンキューね」

「おう」

 

 祐一郎君のダイエットは、半年以上続いて

 いる。

 だいぶカラダが絞れてきた。

 今日は、オレとセイラちゃんにお礼がした

 いと言ってカラオケに祐一郎君が誘ってく

 れた。

 みんなで楽しく歌い最後に祐一郎君がアカ

 ペラで自分で作ったという歌を披露してく

 れた。

 スンゲー…

 作曲もできんのかーい‼︎

 で、この曲がいずれ凄いことになろうとは

 三人はまだ予想もしていなかった。

 

 オレたちは、三年生になり進路どうしよう

 なんて迷いだす時期。

 セイラちゃんは、大学に行く。

 オレは…

「ねぇ、准君。進路どうするの?」

「うん…そうだなー。大学行く予定だけど」

「そっかぁ、なら二人とも受験か」

「うん。勉強頑張んないとな」

「だねっ」

 明るい笑顔のセイラちゃん。

 大学は、大学なんだけどオレの行きたい大

 学は、ものすごく遠いのだ…。

 なぜならオレの行きたい大学は、日本じゃ

 ないのだから。

 

 どうしたもんか…

 やっとの思いでセイラちゃんと交際できた

 のだから、ここは留学を諦めて日本の大学

 に行くべきか…。

 うん。日本に残ろう。せっかくセイラちゃ

 んと交際することができたのだから。

 

 意思も固まり日本の大学を検討中…

 あ、セイラちゃんはどこの大学だか聞いて

 いなかった。

「セイラちゃーん」

「どうしたの?准君」

「オレ、セイラちゃんがどこの大学行くのか

 聞いてなかったと思って。」

「大学ね、ここからすぐの所の〇〇大学だよ。

 准君は?」

「あー、オレはまだ…」

「おう、琢也。留学の申請もうしたのか?」

「あ…先生…」

 タイミング悪く先生…

 しかも留学の申請って…

「えっ、准君留学するの?」

「あー、それは前の話で今は日本の大学に行

 こうかなーってね。」

「なんだ、あんなに行きたがってたのに。ま、

 自分の人生だ。後悔しないようにな」

 先生…

 先生は、言うだけ言って立ち去った。

「准君…もしかして留学辞めたのって私のせ

 い?私がずっと一緒にいようねなんて言っ

 たから?」

「うーん…まあ、勉強なんて日本でもできる

 し、やっぱりセイラちゃんといたいっての

 もあるかな」

「准君、留学しなよ。」

「えっ、でも」

「離れていても気持ちが繋がってれば大丈夫

 だよ!お願い。准君が祐一郎君の応援して

 るのすごくカッコよかった。だから私も准

 君の応援したい。それに私達ずっと両思い

 だったんだからそれくらいじゃびくともし

 ないはずじゃん?」

「うん…わかった。そうだよな。離れてても

 お互いずっと好きだったんだもんな。なら

 向こうで頑張るよ。じゃあ、その間祐一郎

 君がリバウンドしないようによろしくな」

 クスッ

「うん。わかった‼︎」

 

 

 こうしてオレは留学を決めた。

 

 

 続く。

 

 

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