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第一話


「ご主人、朝だよ。起きて」


 少女の声が聞こえる。

 その声は頭の中によく響き、どこか媚びるようで、だけど、不快ではなく落ち着くような不思議な声だ。


 僕はその声を聞いて少しずつ意識が覚醒していく。


 すると、僕の目の前に繊細で愛らしい少女の顔があった。

 目はどこか現実離れした綺麗な薄赤色、そして、漆黒の髪を腰のあたりまで伸ばしている。

 また、赤黒のゴスロリを身にまとっている。

 その少女は、幼いがどこか妖艶な雰囲気をまとっている。


 お腹のあたりに重さを感じ、どうやら、僕に馬乗りになっているようだ。

 

「おはよう、ご主人」


 その甘く幼い声で彼女は言う。


「おはよう、フィーリヤ」


 僕は特に淀みなく、彼女にそう返す。


「ふふっ」


 フィーリヤは僕の様子に笑って返す。


 最初の方は戸惑ったりしたが、今はもう、なんていうかなれた。

 辞めてっていってもどうせやめないようだし、フィーリヤが起こしてくれるのは純粋に嬉しい。

 目覚ましの音で起きるよりも、フィーリヤの声で起きたほうがいいのは当たり前だろう。


 時計を見ると針は6時半を指していた。

 毎日、この時間に起こしてくれるので、意外と几帳面なのかもしれない。


 そういえば


「フィーリヤは寝ているの?」


 寝ているところを見たことがないなと思ったから聞いてみる。


「別に悪魔は寝なくてもいい」


「じゃあ、寝ないのか」


「寝ないとは言ってない」


 えーと、つまり


「寝なくてもいいけど、フィーリアは寝ている?」


「そう。寝たら疲れが取れる。体は大丈夫でも心は別。それに傷とかも早く回復する。好んでたくさんの睡眠を取る子もいる」


「なるほど。悪魔でも色々いるんだね」


「当たり前。種族が同じでも好みが違うのは人間と同じ」


「そうなんだね」


 僕はそんな会話をした後、部屋を出て階段を下りて一回に向かう。

 そんな僕の後ろをフィーリヤはてくてくと着いてくる。

 その様子はかわいらしいが、どこか様になっているようだ。

 恐らく、その現実離れした容姿と気配がそう感じさせているのだろう。


迦依(かい)、おはよう」


「うん、おはよう、母さん」


 台所で料理をしている母さんの挨拶を返しつつ、トイレに入る。


 さすがに、フィーリヤもここまでは入ってこない。

 ただ、トイレの前で待たれているので、なんか気恥ずかしい。


 まあ、もう慣れたけど。


 その後、洗面所に行って顔を洗う。

 そして、ダイニングの自部の席に着く。


「いただきます」


 手を合わせて、母さんが用意してくれたご飯を食べる。

 フィーリヤは、僕の後ろで僕が食べている様子をじーっと見たり、テレビを見たりしている。

 なんか食べにくいがもう慣れた。

 それに関して、母さんは何も言わない、というか、見えていないらしい。

 フィーリヤ(いわ)く、普通の人には見えないようにしているらしい。それに、フィーリヤの声を聴くことも、触れることもできないらしい。

 逆はできるらしく、そう考えると恐ろしいなと思う。


 僕もテレビを見る。

 あの芸能人がなんだ、あの女優が・・・というように取り留めもない内容が流れていく。

 どうやら、今日の天気は晴れのようだ。


『昨日、××市△△町に住む、女子高生が行方不明に・・・』


 と、かなり気になるニュースが流れてきた。

 なぜかっていうと、僕と同じ市の隣の小中校区だったからだ。

 まあ、家出とかじゃないかなと思うが、


「何かの怪異の仕業かも」


「えっ」


 フィーリヤの言葉に僕は驚いて声が出てしまった。


「うん?あら、物騒なことになっているわね」


 お母さんは、どうやら、僕がこのニュースに驚いたのだと解釈してくれたみたいだ。

 まあ、あながち間違ってはないが。


「悪魔や妖怪、妖精とかが、人間を神隠ししたり、連れ去ったりするのはよくあること。大抵は悪戯(いたずら)。だけど、たまに悪戯で済まされないことをする者もいたりする」


『そうなんだね』


 僕は、フィーリヤに対して念話で言葉を伝える。

 フィーリヤとの契約によって、話さなくても言葉を伝えることができるようになったらしい。

 悪魔との主従契約を行うことによって、距離などの制限があるが、声に出さなくても互いに言葉や感情などを伝えることができる。

 まだ、これは超能力のテレパシーとは全く違うものらしい。


 そんなわけだけど、念話でしゃべるよりは、普通にしゃべったほうがいいので、普通の人に認識されないフィーリヤはそもそも使わない。僕は、周りに他の人がいないときは普通にしゃべっている。

 さっきのは、驚いたので思わず声に出ちゃっただけだ。


「そもそも怪異は、どこにでもいる。精霊なんて、見えないだけでそこら中にいるでしょ?妖怪は特に、人間による発見記録はたくさん残っている」


『なるほど。だったら、学校の七不思議とか、体験談とかも意外と本物が混じっているのかな?』


「そうだと思う」


 そんな会話をしながら、僕はご飯を食べた。


読んでいただきありがとうございます。

フィーリヤの不思議な雰囲気を表そうと思って頑張ってまぐが、難しいですね。

もう何となく伝わればいいかな・・・。

悪魔や妖精、精霊、妖怪などの存在をまとめて表そうと思ったのですがなかなかいいのが思いつかず、怪異になりました。魑魅魍魎っていうのもどうかと悩んだのですが・・・。いい意見あれば教えてください。それといつの間にか変えているかもです。

楽しんでくれたならよかったです(まだ楽しめる段階ではない気もしますが・・・)。

よかったら評価や感想とかもお願いします。

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