ダメ男
「付き合ってください。」
帰りのホームでうつむきながら一文字、一文字確かめるようにして話す彼女。夕日の差す、家路を急ぐ人が行き交う、ホーム。しかし、そこだけは時間がゆっくりと流れていた。いや、とまっていた。
最近、いつもと、違うとは思ってたんだ。いつも、二人で遊ぼなんて絶対言わなかったのに、突然そんな事言ってきたし。最近、メールも多かったし。学校でもやたら話し掛けてくるし。
けど、いざ、そう言われると、なんて言ったらいいかわからなくて…。普段はがり勉キャラで、恋愛なんて、俺には無関係だから、なんか気障な返事もできないし、彼女は、ほしかったけど、一生できないと思ってた。
「とりあえず、ちょっと待ってください。」
カッコ悪いなぁ、俺。
帰りの電車で彼女いそうなやつにメールしてみる…。
けど、結局、最終的に決めるのは、俺ってことだけわかって、また悩む。
悩んでいるうちに、彼女の事を考えていた。俺に話し掛けるときはいつも、顔を真っ赤にして緊張しながらうれしそうに一生懸命話す彼女を。
これって、好きって事なのかなぁ。気付けば駅を下りて、彼女にメールを送っていた。
「会いたい。」
そして反対ホームに滑り込んできた、電車に飛び乗った。
こんなダメ男でも、好きって言ってくれる人がいるんだ。それに、俺もあいつが好きだ。
今なら、あいつ好みの、あいつが最高って思える男になれる気がする。