始まらない青春 3P
変わった回です
「な、何……?」
俺も回りの視線を感じ、身を竦める。
そして、すぐ側にいた男。
いつの間に……
(気配を消してた……?)
なんて事を思う前に、まずは、男の印象を伝えようと思う。
一言で言うと、『めちゃくちゃ強くて、でかい』感じの男だった。
……二言になってしまったが、とにかくでかい。筋肉ムキムキ!
俺が男の筋肉に見惚れていると……
「夏海さま、こちらに」
そう言って夏海と呼ばれた薄い水色の髪をした女の子を俺から遠ざけると……
「やれー!!」
と言う男の声。
すると、教室中の男子全てと、女子複数人が俺にタックルしてきたかと思うと、
「このヤロー!!」
と、叫び声を上げながら、俺を殴り始めた。
ポコポコポコポコ
あえて、幼稚な音で表現しているが、実際はかなり痛い。
夏海と呼ばれた女子が止めようとするが回りの女子に拘束される。
色々な人が俺を、ポコ……そしてボコにしていた。
大柄な男子、スポーツをやっているテニス部らしき女子、隣のクラスの男子や女子、今朝の男や駅員さん。登校時に俺に向かって吼えた犬、ナメクジの着ぐるみを着た男。
実に様々な人に殴られていた。
……一部、おかしな人もいたが(犬に至っては2足歩行していた。最後の人たちは関わらない方が良いと思う)、そのわりに痛みは少ない方だと思う。
……何故なら
「痛ぇ! 何しやがるてめぇ!」
標的を間違えて殴られる男。
「きゃっ!? 誰かお尻触った!?」
痴漢される女子
「私……あなたの事が……」
「俺もだよ……」
余所でやれ!!
「誰か、携帯落としましたかー?」
こんなときでも冷静!!
「ワン! キャン!!」
腕を舐める犬(懐かれた?)
「王子様! どこです王子様!」
ノーコメント
結論を言おう。
彼らには統一性が、無かった。
だから、俺だけじゃなく、間違えて殴られたりする人が出る。
すると、女の子の怒りの声が聞こえた。
だが、聞こえない。
そうか……
鈍感な主人公達って、こんな風に告白の言葉を聞き逃すのか……
いや、絶対色々違う!!
今回はここまで
次回までに俺の怪我が治っています様に!!




