ストーカー・ストーリー EP1
話は少しずつ、進んで行くようです。
「何……これ……?」
「……ごめんなさい……夏海さん」
俺は取り敢えず夏海さんに謝った。
それは、そうだ。
家に帰ってきたら扉が壊されていて、
部屋はぐちゃぐちゃ、砕け散った窓ガラス。
おまけに監禁した男には、逃げられていたら、それはもう、ショックだろう《事件性のある言葉も出てきたが、読者の方は、あえてスルーして欲しい》。
「はぁ、私……貧乏なのに……」
「本当……ですか……?」
夏海さんの言葉に、自信ない口調で尋ねる。
貧乏なら、あんな監禁道具(どんなものかは内緒☆)に、お金使うなよ……
って言うか、どこで買ったんだろう……あんな物……。
そう、俺が縛られた椅子の側には、あんな物やこんな物が、置かれていた。
どんな道具かは知らない。
いや、知っていても、まずいだろうが。
仮にも一応、ラブコメ小説主人公だし。
夏海さんは、ぐるぐる俺を縄で、縛りながら困った様に言う
「明日から生活どうしよ……(涙)」
そう言って俺の足を縛りながら……
「!?」
しまった! また捕まった!!
くそ……やるな、夏海さん……!
俺を2回も、捕らえるなんて……!
恐ろしい女の子だ。
「君、バカなの? それともお人好し?」
「やかましいわ!」
せっかく家を破壊したのを悪いと思って、片付け手伝いにきたのに……
やっぱり、関わらない方が良い!
そう言って目を閉じて、他人の振りをしていると、口にガムテープを貼られた。
……うん、やっぱり俺、バカだわ……
そして、あんたはイカれてる。
くそ、今は夜。
助けを呼ぼうにも口にはガムテープを貼られている。
どうしたもんかと悩んでいると、昼間の光景が蘇ってきた。
(ひぃいいいいいいいい!?)
俺が軽く(深く)パニックに陥ろうとした、そのとき!
バァン!!
玄関のドア(直したて)が思い切り開かれたかと思うと、
「無事ですか!? 聡様!」
そこに居たのは……忘れる筈もない。
今日の朝、俺を救出した犬……ではなく、
白色の上下の服に、薄いピンク色の髪。
忘れる事などない。
入学式の日に駅のホームで出会った女の子だった。
まあ、入学式の日から、数日しか、経っていないんだけどね♪
つづく
聡君は立ち直り、そして切り替えが、凄く早い様です