ストーカーの足音 3P
アイドル登場!
俺は家中メチャクチャにされた事に、怒りを感じてはいなかった。
ただ、あえて文句を言うなら……
「俺のセリフ、少なすぎ!」
「そこなんだ……」
俺の言葉に夏海さんが、若干戸惑った様に言う。
いや、思い出してみて欲しい。
俺、1話から何回喋った!?
今までの文章も、ほとんど、心の中でのツッコミである。
せっかく、明るい雰囲気を出していたのに(懐かしの第1話)、ほとんど呆然としているだけじゃないか……。
これでは、俺が根暗である事がバレてしまう。
え? どうでもいいって?
……いや、俺にしては重要な……
「まぁ、この話はまた今度にするとして、」
「切り替え、早いなぁ~」
夏海さんにツッコミを貰うが、本当にどうでもいいことなのでスルーする。
「キャン!」
そんなどうでもいい(3回目の「どうでもいい」発言)やり取りをしていると、1匹の犬が俺の足元に寄ってくる。
(噛まれる! いや、おかされる!)
等と、被害妄想な事を、思っていると……
いや、被害妄想以前の問題の気もするが……って、話を逸らさせるな!(逆ギレ?)
……これ以上、俺の心を曝け出すと、話が進まないので、本題へ移ろうと思う。
犬……小型犬見たいな大きさと、見た目をしているが、犬種は、何だ?
その、ワンちゃんは俺の足を匂ったかと思うと……
「キャン♡」
ペロペロと、(あえて、可愛く表記する)俺の足を舐め始めた。
やはり、懐かれたのか……
……ん?
待てよ……?
この犬は俺になついている。
そして、この小説のタイトルは「アイドルになつかれてから」という言葉が入っている。
つまり……
「この犬が、タイトルに出ている「アイドル」だったのか!?」
「いや、そんな訳、無いでしょ……」
だよね。
夏海さんの言葉で冷静になる。
じゃあ、「アイドル」とは、一体誰の事なんだ……?
「作品のタイトルに逃避しているとこ、悪いけど、そろそろ家の片付けを、しよう?」
夏海さんが、正論を口にした。
ごもっともなご指摘、ありがとう。
一応言っておくが、これでも混乱しているという自覚はある。
まぁ、自分が主役のタイトルに発言している時点で、俺は手遅れかもしれないが。
誰か、助けてください。
「まあ、この話はまた今度にするとして、(2回目)」
「そこなんだ!(1回目)」
相変わらす現実逃避として、台詞を使い回す俺に、夏海さんが微妙に違う言葉で(記号が変わっただけだが)ツッコミをくれる。
「ねぇ、君はどう思う……」
俺はそこで気がついた。
さっきの犬が、威嚇していたことに。
そして、犬は吠える、
「ギャン! キャン! (主役は僕だ!)」
どうやら、先程の俺が「主役」というのが、気にくわなかったらしい。
君、雄だったのか。
男(雄)の犬のアイドル……
流行りそうな気が、しないでも無かった。
あれ……鬼は?
出番あるはずじゃ?
「キャン!(つづく♡)」
前回の後書きの答えは「鬼がお休み」です。