とけゆく つらら 【春の詩企画】
ぽたり ぽたりと しずくが落ちる
冷たく尖った氷は とけて
ぽつり ぽつりと 濡らした軒先
やがては消える 日差しの中に
いつまでも 尖ったままではいられない
その温もりに触れ
やがて とけゆく
ぽたり ぽたりと こぼれる涙
ぽつり ぽつりと シミをつけても
暖かな風が 乾かしてゆく
強すぎる日差しならば 急に
尖った氷は 尖ったままで落ちてゆく
だから ゆっくり 少しずつ
今はまだ 急がずに
ぽたり ぽたりと 春を知らせて
ぽつり ぽつりと 別れを告げて
時は巡りて またいつか
尖った氷は 出来上がる
それでも巡る 時の流れに
身を委ねながら 春を待つ
泣き濡れて 凍えた心に 温かな
風が吹いたら とけゆくつらら
本作は「春の詩企画」参加作品です。
企画の概要については下記URLをご覧ください。
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1423845/blogkey/2230859/(志茂塚ゆり活動報告)