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一人になりたい高校生  作者: 矛盾の猫
3/5

三話

最後まで読んでいただけるとうれしいです。

「お悩み相談部なんてどうですか?」

入学三日目の放課後、俺のところに来るなり小雪が開口一番に言ってくる。

「お悩み相談部って誰かの悩みを聞く部ということでいいのか?」

「建前はそうです」

「建前?ということは何か別の事をするのか」

「はい。それは・・・ダラダラする事です!」

何言ってんだこいつ。

「・・・えっと、それはつまりやりたい事が結局見つからなかったと」

「・・・まあそういうことですね。そういう猫八はやりたい事は見つかったんですか?」

一応、ゲーム部という案もあるが言わなくていいか。

「いや、俺も思い浮かばなかった」

「それじゃあお悩み相談部で決定ですね」

「決定する前に一つ聞いておきたい事があるんだが」

「何ですか?いまさら、やっぱりお前と一緒に部活をやるのは嫌だ、とか言われるとさすがに泣いてしまいますよ?」

「その件についてはもう諦めてるよ。俺が聞きたいのはどうして建前がお悩み相談なんだって事だ」

「ああ、そのことですか。勿論理由はありますよ。部活を作るときには生徒会の許可が必要なんです。そこで部活の内容がふざけたものだと許可をもらえないんですよ。そこで、お悩み相談ならいけるかもと思って。それに、部活って1か月に1回活動報告書というものを出さないといけないんですが、お悩み相談なら何も活動しなくても生徒に悩みがない事はいいことだって言い張れますから」

「・・・意外とちゃんと考えてんだな」

「い、意外とは失礼ですね」

「まあ俺の聞きたい事は以上だ。それで、やっぱり部活を作るにも条件があるんだろ?」

「そうですね。1つは先ほども言った通り生徒会の許可が必要です。2つ目に部員が五人必要です。三つ目に3か月間、同好会として活動する必要があります。あと他にも顧問とか先生の許可とかが必要なんですが、そこはもう大丈夫です」

「え、なんで大丈夫なんだ?」

「まあ色々と伝手がありまして気にしなくても大丈夫ですよ。というわけであとは部員集めですね。あと三人。一緒に頑張りましょう!」

部員集めとはこれまた面倒くさそうだ。

「部員集めね~。小雪は何か心当たりとかあるのか?」

「わ、私ですか?え、えっとですね~・・・」

「ないのか」

「・・・はい。そ、そういう猫八はどうなんですか!」

「俺?そうだな~・・・そういえば一人心当たりが」

「ま、まさか、お友達ですか?」

「いや、友達というか何というか。まあ今呼ぶよたぶん近くにいるだろうし。いるんだろ、綾野」

俺が呼ぶと俺の背後にいつの間にか人の気配がする。

「え!い、いつのまに」

小雪がまるで、幽霊でも見た、というように驚く。

「こんにちは猫八」

「おう、綾野は相変わらずだな。綾野のことだから今までの話聞いてただろ。どうだ、一緒に部活やらないか?」

「うん。猫八がいいなら私も入りたい」

「だってよ、小雪もいいよな?」

「え、いや待って展開が早すぎてよくわからないんですけど。取り合えず、その人が部活に入ってくれるってことでいいの?」

「そういうことだ。あとこいつの名前は白川綾野だ」

「・・・よろしく」

俺が小雪に綾野を紹介すると綾野は顔を暗くして短く挨拶した。何というか綾野らしい。

「よ、よろしくお願いします」

小雪も苦笑しながらかたい挨拶をする。まあそうなるわな。

「というわけで残る部員はあと2人だな」

「そうですね。取り合えず私たちで同好会を作りましょう。それから部員集めをしていきましょう」

「同好会を作るのは誰でもできるのか?」

「作れることには作れますが、部費とか部室とかが与えられるわけではないので部活を作りたい人以外は作らないと思います」

「なるほど。というか本当によく調べてるな」

「当然です」

小雪が少しどや顔する。

「それじゃあ明日、同好会を作ってあとは部員集めだな」

「そうですね。白川さんもこれでいいかな?」

「別にいい」

今のところこの2人の仲はあまりよくないようだ。会ったばかりだし当然か。

「あ、そういえば私たちまだ連絡先交換してないですよね。交換しませんか?同じ部活をやる予定ですし」

「それもそうだな」

「猫八と交換・・・(グヘヘヘヘ)」

俺達は自分のスマホを取り出して連絡先を交換する。これで俺の交換した連絡先が母さんとこの2人で3人になったな。にしても綾野のあの変な笑い声も相変わらずだな。

「じゃあまた明日会いましょう」

「おう、また明日」

小雪が教室から出ていく。


「綾野は相変わらず俺以外の人とはうまくやれてないのか?」

「私は猫八と話せればそれでいいから」

「ま、お前がそれでいいなら別にいいけど。それじゃ、俺ももう帰るわ。じゃあな」

「うん。じゃあね」

俺は綾野に背を向ける。帰宅中、相変わらず視線を感じたがまあいいか。


 ピコンッ、俺の部屋にスマホの効果音が響く。きっと誰かからメールでも来たのだろう。俺はスマホを手に取り、送信者を確認する。どうやら小雪からのようだ。

「少し聞きたいことがあるのですが聞いてもいいですか?」

聞きたい事?いったいなんだ。

「内容による」

「わかりました。私が聞きたのは、白川さんは、もしかしてアルビノ体質なのか、ということです」

「その質問だったら答えられるな。綾野はアルビノ体質であってるぞ」

「やっぱりそうだったんですね。ありがとうございます。質問に答えてもらって」

「どういたしまして」

小雪とのやり取りが終わる。いや~メールなんてしたのはいつぶりだろうか。たまにこういう事をすると精神的に疲れるのはなぜだろう。

 ピコンッ、再びスマホが鳴る。今度は誰からだ?送信者を確認する。どうやら綾野からのようだ。

「これからよろしくね!」

どうやら挨拶らしい。にしても、こういうやり取りだったら普通にできるのか。

「こちらこそ」

短く返信する。その後、特に何かするわけでもなくいつもどうり眠った。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

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