飛行癖
掲載日:2018/01/26
体が軽くなって僕は浮かび上がる
空と雲が眩しいほどに光る
段々と空気が冷たくなって
生きてることが明確になる
より高く
今日、僕は空を飛んだ
全てを置き去りにして
これ以上はないと思う
何もないという、幸福
何かが通り過ぎて僕は首を動かす
太陽が眩しくて目をそらす
ふいに宇宙の広さに気付いて
生きてることが曖昧になる
より遠く
今日、僕は空を飛んだ
全てを置き去りにして
これ以上はないと思う
何もないという、幸福
泣きそうなほど痛む心
消えそうなほど萎む命
もう何も考えなくていいんだ
今日、僕は空を飛んだ
全てを置き去りにして
これ以上はないと思う
何もないという、幸福
何もないという、世界
何もないという、自由
空と地面が曖昧になって、自分の体が曖昧になって、
輪郭が薄れてやがて、溶けたからだが霧散する。
その瞬間が一番満たされている。




