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01:一枚のビラ





 デニスとクレマチスの件については、アレックスの予想通り、組織犯罪課が受け持つことになった。

 「姫」とされていたアンドロイドたちは全部回収され、メモリーの解析が進められることになる。

 アレックスは二日で退院を許され、無事に戻ってきた。




 そして、数日後。デッカード部隊には新たな人材がやってくることとなった。


「ビリー・ジェファーソンです。これからどうぞ、よろしくお願いします!」


 アフリカ系の血をひく二十代の青年は、ハキハキと自己紹介を終える。彼が新しい庶務係であった。


「ビリーは警察学校を三位の成績で卒業した実力者だ。我々デッカード部隊の名に恥じない働きをしてくれるだろう」


 ボスがそう言うと、ビリーは謙遜するかのように小さく首を振る。


「慣れない内は色々とご迷惑をおかけするかもしれませんが……」

「大丈夫だって!お兄さんが優しく教えてあげるから」

「お、お兄さん?」


 アレックスは意地悪い笑みを浮かべながらビリーの肩を叩く。


「そいつ、男なんだよ」


 ノアがアレックスを指して含み笑いをする。今日のアレックスは、髪型こそショートヘアーのままだが、ばっちりとメイクを決めている。

 ボスがわざとらしく咳払いをする。


「さあ、仕事に戻れ。ビリーとは面談をしたいから、着いて来い」

「はい!」


 ボスとビリーが去って行き、残されたデッカード部隊の面々は、仕事ではなく世間話を始める。


「今日もアレ、やってたわね」

「アレって何だよ?」

「アンドロイド人権団体の演説よ。ビラ配ってたじゃない」

「ああ、これですか?」


 サムが取り出したビラには、「アンドロイドに愛情と権利を!」という見出しが書かれている。


「サムお前、よくビラなんかもらってくるよな」

「渡してきたのが優しそうなお婆さんだったので、つい」

「よく見せてくれ」


 マシューがそう言い、サムからビラを受け取る。


「アンドロイドには心がある。アンドロイドの気持ちになって考えて欲しい。よって人権を認め、瞳の色や識別番号の表示を取りやめるべき、か」

「全く、困った連中だよな」


 今度はノアがビラを取り上げる。


「彼らを真の人間として取り扱うべきだ、だと。こういう奴らが、違法改造するんだよ」

「まっ、人権主義者との折衝については第四捜査室の担当だから、私たちには関係ないけどね」


 アレックスの言葉に皆は頷くが、サムだけは浮かない顔をしている。


「アンドロイドに人権があるとしたら、自殺する自由も与えられているのでしょうか?」


 彼はまだ、レティ――アリスのことを引きずっているらしい。そんな相方を諭すようにノアは言う。


「バカ、俺たち人間にだって、自殺する自由なんか与えられていないだろ?」

「それもそうですね。変なことを言って申し訳ありません」


 そうこうしていると、ビリーが戻ってくる。


「ただいま戻りました」

「あっ、丁度良かった。コーヒーの淹れ方、教えようかと思ってたのよ」


 アレックスはビリーの手を取り、いそいそと給湯室へ向かって行く。そんな彼らを見て、マシューは言う。


「ソフィアが居たときも、ああだったな」

「ああ……」

「ええ、そうでしたね」


 しんみりとしたムードを振り払うかのように、捜査官たちは仕事を始めることにする。


「コーヒーをお持ちしました」


 ビリーはマグカップをそれぞれの机に配って行く。それから、ボスに言いつけられた仕事があるのだろう、早速自分の席のパソコンを立ち上げる。

 しばらくは、事務作業に打ち込んでいた彼らだったが、ノアがいきなり立ち上がり、ビリーの机に向かう。


「はい、何でしょうか」

「お前さあ、今夜開いてる?歓迎会しようぜ」

「それはいいですね」


 サムが賛同する。アレックスとマシューもだ。


「ありがとうございます!もちろん大丈夫です!」

「でもノア、歓迎会となると、ボスもお呼びした方が良くありませんか?」

「そうだな。ボス抜きだと、後でバレたときに大変だ」


 マシューに何か言いかけるノアだったが、サムの鋭い視線に気づいたのか、躊躇する。


「じゃあ、ボスが戻ってきたら俺から言うよ。それでいいだろ?」


 それからボスの予定も空いていることを確認し、ノアは店の予約を取るのであった。


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