プロローグ・少年の、懐かしの記憶
彼女と出会ったのは、二年前の四月だった。
学園に入学して間もない僕、笹原光多は、話し相手や友達がいなくて、よく屋上で考え事をしていた。
どうやったら友達が出来るんだろう?どうやったら仲良くなれるのだろう?
そんなことばかり考えていた。
僕の眷属精霊はあまり気にするなと言っていたが、そのほうが無理だった。
いろいろ考えて張り詰めていた僕は、ある日、その彼女と出会った。
彼女の名は 光虎綾。彼女もまた、僕と同じように考え事をしていた。
そうやって何度か顔を合わせ、友達になって、いつの間にか恋人同士になっていた。
今でも、彼女の告白は覚えている。
あの時は本当に嬉しかった。こんな僕を好きになってくれて、嬉しかった。
それから僕たちは、より一層仲が良くなった。
授業中でも先生に怒鳴られるまで喋り通したり、理事長に無理言って寮室を一緒にしてもらったり、そのくらい仲が良かった。そのくらい、お互いがお互いを愛していた。
まあ、今でもそれは変わりないんだけど。
光多は小さく微笑むと、朝食を作ってくれた光虎の頭を撫でた。
「な、ちょ、え!?い、いきなり何してんだ!?」
頬を朱に染め、金髪の髪を揺らし、可愛らしくテンパる光虎。
「ちょっと可愛かったから、撫でてみた。」
悪戯っぽく微笑む光多。
すると光虎はさらに赤くなり、小さくはにかんだ。
やっぱり可愛い。僕は、こういう笑顔が見たかったのかもしれない。
光多は今ある幸せを目の当たりにし、優しく笑顔を作るのだった。
0
「ところで光多。」
朝食を終え、制服に着替える僕に、光虎は語りかけてきた。
「ん?どうしたの?」
光多が光虎に振り向く。
────すると
チュッ
そんな水音とともに、光多の唇に光虎の唇がたおやかに重ねられた。
「朝の仕返し♥」
光虎はそう言うと、悪戯っぽくはにかんだ。
「ありがと」
光多はそう言うと、光虎の頭を再度撫でるのだった。
本当に可愛いやつだ。




