出会いから現在
美月視点です。今回は美月の回想となります。
小学生の頃といえば、男女関係なく接し、みんなが友達。中学生から高校生の頃は、不安定な気持ちを押し止め、男子生徒を意識する事もなかった。
大学進学から一年が経ち、心にゆとりが生まれた頃から、私の視野は広がっていく。そんな折り、涼しい風が吹く楠のベンチで眠る男子学生に出会った。
それが、海棠澪亜との最初の出会い・・・。
あれからもう、一年が過ぎたのだ・・・。
最初は、ただほっとけなくて追いかけ回す毎日・・・出会いから一週間、少しづつ心の中を打ち明ける澪亜に対して、私の気持ちは恋などと気付く筈もなかった。日々表情が明るくなる澪亜と共に過ごすうちに、私の心にも、変化が現れる・・・。
もう少し、側にいたい・・・
澪亜の笑顔をもっと見たい・・・
どうしてそう思うのだろうか・・・。私は己に問い掛ける・・・。そんな想いは募る一方で、私は答えを見つけだす事が出来ない・・・。
この気持ちは何だ?私は澪亜をどう思っている?
どう思っている?・・・そう投げかけたら、答えが返ってきた。
(好き・・・なのか?)
好きって何だ?私は澪亜の事を、どう好きなのか・・・。
(友達として?)
友達として・・・いや、確かに友達としても、澪亜の事は好きだ。だが、何かが違う・・・
(それとも、異性として?)
異性?好き?どう好きなの?LIKE?LOVE?
LOVE・・・愛?愛って何?
新たな問いに、私は悩む日々を過ごす。そしてある時、答えはある一言で解明した。
「恋人ですか?」
恋人・・・なぜか頬は熱くなった。そして慌てて否定した澪亜の言葉に、恋人でもないくせに、心がチクッと痛くなった。
(これが、答え・・・)
私は、澪亜が好きなんだ・・・これが、恋なんだ・・・
そう考えれば、全ての辻妻が合点する。
(好きだから、側に居たい・・・)
(愛してるから、その笑顔をもっと見たい・・・)
LIKEではなく、LOVEなんだ。私は澪亜を愛してる!
心の中を覆っていた霧が、サァーッと晴れるような感覚。自分の気持ちに気付いた時、私は行動を起こし、断られる事を覚悟して、自分の想いを伝えた。
一週間後に返事を聞かせてくれ。自分でそう言った筈なのに、一日一日が長く、毎日が期待と不安・・・。いますぐ、返事をして欲しいと願う、私の心。言葉と心は、完全に矛盾している。
休み明けの前日、アパートの前で眠る澪亜が目に映った時は、心臓が大きく脈打ち、鼓動が速くなるのを感じた。
こんなにも、私の心をぐちゃぐちゃに掻き乱す愛しき人・・・海棠澪亜は今・・・
私の恋人として、私を優しく抱きしめている。
次話で、嘘の代償は完結を迎える事になりました!前半はストーリーの展開が思うようにいかず、私自身、とても苦労しました。しかしながら、更新をする度に伸びるアクセス数が、私をここまで支えてくれました。本当に読者の皆様のおかげだと実感する毎日です!早いうちに、最初話を更新する予定ですので、最後までお見逃しなく!!