長き初恋の終わり
玲奈視点です。なんかグタグダ・・・
「相模さんっ!?」
「来ないでっ!!」
わかってたよ・・・。海棠くんに好きな人がいる事くらい。その人が、海棠くんの笑顔を取り戻したんだよね・・・
「・・・どうして、私じゃないのかなぁ・・・」
「相模さん?」
「海棠くんが笑顔になったのは、その人のおかげなんだよね・・・」
「・・・・・・うん」
私の方が、海棠くんとは付き合いが長いはずなのに・・・
「私じゃ、海棠くんを笑顔に出来なかったのに・・・」
私の方が、海棠くんの事を誰よりも好きなのに・・・・・・
「・・・私じゃ、駄目・・・?」
「・・・ごめんね」
そんなに、辛そうな顔しないでよ・・・。
「・・・そっかぁ」
もう、海棠くんの心に、相模玲奈はいないんだね・・・。
「そっか・・・・ごめん、変な事言って・・・・・・」
「相模さん、好きになってくれて、ありがとう・・・でも、気持ちには応えられない・・・」
不思議と、涙は出なかった。恋に敗れた悲しみはほとんどない・・・寧ろ心は、スッキリしている。
「フラれちゃったなぁ・・・アハハッ!!」
「相模さん・・・」
「気にしないで・・・なんかスッキリした!!私は大丈夫だから」
「強いね・・・相模さんは」
安堵とは違う、遠い声・・・喧騒無き町の中、彼の発した言葉は優しく鼓膜を揺らす。
「今度、その人を紹介してよ。海棠くんが好きになった人、見てみたいから・・・」
「・・・うん、わかった。約束するよ」
振り返った私に、海棠くんは優しい笑顔を浮かべた。フラれちゃった今、私が興味あるのは、海棠くんの心を明るく照らす、美月さんという人。
「絶対だよ」
「うん、わかってる」
彼を支えるその人は、きっと素敵な人なんだろうなぁ・・・
「じゃあ、帰ろうか・・・」
「そうだね・・・」
お互い交わす言葉無く、私たちは帰った。私は叔母の家ヘ。海棠くんは、実家へと・・・。
家の前まで送ってくれた海棠くん。その姿が闇に溶けるまで、私はその後ろ姿を見つめていた。
終わったんだ・・・これで・・・。
五年という月日を駆け抜けた私の初恋は、実る事無く終わりを迎えた・・・