これって・・・デート!?
美月視点です。
さて、どうしたものか・・・
現在朝の8時。軽くシャワーを浴びて、部屋中に広げた、服・ふく・フク。何故にこんなに悩んでいるのか・・・それは
「どれも色気が無い・・・」
そう、昼過ぎに澪亜とどこかヘ行こうと約束したのはいいが、私の持っている洋服のほとんどはジーンズとかTシャツ。友達としてどこかヘ行くには全然差し支え無いのだが、せっかく澪亜と二人で出かけるのだから、少しはオシャレをしてみたい。
「うーむ・・・」
新しい服を買うにも、時間が無い。かといって、Tシャツ・ジャケット・ジーンズでは、普段の服装だから、インパクトが・・・
コンコン・・・
「ん?はーい!」
誰かが扉をノックしてる。
「・・・・・・おはよ」
「救世主!」
「???」
扉を開けると、相変わらず何を考えてるかわからないポーカーフェイスの黒崎沙那がいた。
「・・・美月、大胆」
「んあ?・・・あっ!」
シャワーを浴びて、洋服選びの最中だった為、私は今、下着姿で扉を開けた事になる。相手が沙那でよかった。
「ま、とりあえず上がれ!」
「・・・お邪魔します」
いや、しかしナイスタイミングで来てくれたものだ。
「・・・・・・どうしたの?」
「いや、実はな・・・」
人ん家で勝手に冷蔵庫を漁る沙那を座らせ、今日の予定を説明する。
「・・・デート?」
「あ、いや、その・・・・・・」
「・・・雰囲気、明るい・・・澪亜の、おかげ」
何てこった、バレバレか??
「・・・ちょっと待ってて、服、持って来る」
「え?」
「・・・澪亜、惚れる服・・・持って来る」
そういって、沙那は一度家に帰り、私はしばし、待ちぼうけを喰らった。
◇◇◇◇◇◇◇
しばらくして、パンパンに膨れ上がったボストンバッグを抱えて、沙那が戻ってきた。
「・・・服、持ってきた・・・」
「サ、サンキュ・・・」
あまりの量に、思わず声が上擦る。それを見て、ほんの僅かに沙那の口元が緩んだ。
「お前、楽しんでないか?」
「・・・楽しい・・・美月、女の子らしくする」
「・・・そんなに魅力無いか?」
「・・・美月・・・女の子だけど、女の子らしく、無い・・・」
グサッ!
「・・・どちらか、と、いえば・・・男の子」
グサグサッ!!
「・・・色気、無し・・・」
グサグサグサッ!!!
「・・・他には」
「もういい・・・」
おもいっきり、心をショベルカーでえぐられた気分だ・・・なんか、すっごく心が痛い。
「・・・美月、可愛くする・・・澪亜、惚れる・・・」
「・・・よろしく」
若干不安が残ったものの、今は沙那だけが頼り。とりあえず、沙那に勧められるままに、色々と服を着合わせてみた。