○○に行こう!
あ〜・・・シリアスに向いてないのかなぁ・・・
梅雨に入り、毎日欝陶しく雨は降る。今日は特に、朝から凄い豪雨となった。
「雨だな・・・」
「・・・雨ですね」
本日の講義は午前中で終了し、暇つぶしに田尻と仲根を含めた三人でぶらぶらしていたら、仲根に村瀬先輩からメールが入り、学食に居るよ!という事なので、現在学食に来ている。
先輩達もヒマらしく、やる事が無いと喚いていた・・・特に美月先輩が。
「さてと、午後からはどうしようか?」
「うぅ〜ん、外は雨だしねぇ」
「・・・・街、行く?」
はいっ!?今最後に喋ったの誰!?
「おっ!沙那が喋った」
「・・・私だって喋る」
黒崎沙那さん。村瀬先輩と同じく美月さんの友達で、外見は他の二人同様に美人だが、未だかつて喋ったところを見た事が無かった程、寡黙。
「街かぁ、久々に・・・行く?」
「うっ・・・あれか・・・?」
「・・・楽しみ」
黒崎先輩の声って、透き通ってて、綺麗だな・・・
しかし、どうして先輩は苦い顔をするんだ?
「あれは、ヤダ!」
「・・・拒否権無し」
「あれって、なんですか?」
あからさまに嫌な顔をしてる先輩を不思議に思う後輩三人(俺・田尻・仲根)。
「ま、付いて来れば分かるよ!」
「電車っすか?」
「・・・バス」
嫌がる美月先輩の手をがっちり押さえ込んだ村瀬先輩と黒崎先輩。半ば連行されかけている美月先輩に同情しながら、俺達は先輩の後に続いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
はっきり言おう・・・先輩は音痴だった。バスに乗り込み着いた先は、市街地の入り口にあるカラオケボックス。皆がそれぞれに歌う中で、何度も脱走を試みた先輩だったが、結局は黒崎先輩に捕まり、個室という名の牢獄へと戻ってきてた。しかし、俺もあまり歌う事は好きではなかったために、少しは同情したのだが、結果論として・・・爆笑!!!
「先輩、下手ですね」
「だから嫌だったんだっ!!」
吐き捨てるように言った先輩の顔は真っ赤に染まってて、ふて腐れて口を尖らせる姿が、年上でありながら可愛いと思った。
カラオケは2時間程度で終わり、俺と先輩はバイトの為、帰ろうとしたのだが・・・
「澪亜」
「?」
「バイト休みだって・・・」
先輩の話では、雨足が強くてお客さんが来ないらしく、今日はマスター一人で営業するそうな。
「これからどうする?」
「どうするったって・・・」
時刻は3時、帰るにはまだ少しばかり早いような気もする。俺が考えていた時、俺と美月先輩を除く四人(一人は無表情)は、ガシッと美月先輩を羽交い締めに。訳のわからない美月先輩をよそに、手の空いている黒崎先輩は、個室にある呼び出しの受話器を手に取った。
「・・・延長で」
「嫌だぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
美月先輩の断末魔が響いた。