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私が私でなくなる錯覚


 あの事故以来、私は娘の事が怖くなりました。理由は解りません。きっと私の後ろめたい気持ちが、そうさせていたのだと思っています。娘は私の事を、どう思っているのだろう。父親を殺した殺人犯だと思っているのだろうか…。アルコール漬けになった駄目な母親だと思っているのだろうか…。そう云った思いの積み重ねだったのでしょう。だからせめて、娘への罪滅ぼしになるのならと、一流の中学校へ進学させる為に、家庭教師を雇いました。でも、ソレは私自身への言い訳だったのです。娘の視線が怖くなっていた私は、娘と過ごす時間を少しでも減らす為に無意識に娘を避けていたのかも知れません。


 そんな時でした。娘が暴行事件に巻き込まれたのです。意識不明の重体だと聞かされた私は、急いで病院へと向かいました。眼の前には、血だらけで眠りにつく娘の姿があったのです。


 また私は…。

 私の所為で大事な人を失うのかと…。

 私は絶望に沈みました。

 ですから私は、この時…。娘の為に…。

 真艫まともな人間になろうと決めたのです。


 ですが…。


 一度でも沈んでしまった心は…。

 這い上がる事が出来なかったのでしょう。


 私は、ますます娘から遠ざかってしまったのだと想います…。娘が嫌いになったとか、厭になったとか、そんな事は微塵も思ってはおりませんでした。今でも娘は、私の唯一の宝物なのです。ですが、鬱屈した魂は浄化する事は無く、尚一層、私を苦しめたのです…。



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