開示
【吸血鬼事件】以降、都内では不可解な殺人事件が、二年に渡り連続として発生した。その最中、黒澤鏡花の娘である黒澤聖が殺人の現行犯で逮捕された。黒澤聖、当時17歳。
黒澤聖の自白により、全ての猟奇的な殺人事件の全容が明かされていく事になる。
コレから紡がれるのは…。
後に【Creator事件】と呼ばれる犯行の一つ。
【吸血鬼事件】の真相だ。
「幾つか誤解している様だから…。」
黒澤聖は囁く様に云い。そもそも、あの人は若い女性だけを刺殺していた訳じゃないわ。そうそう。何人だったんだっけ?あの人が殺したって報道された人の数…。と続けた。
「女子中学生が六人だよ。」
精神科医である岸田孝三は、冷静に答える。
「ソレが既に間違ってるのよ。彼女が刺殺したのは十人。女子中学生六人と仲睦まじい夫婦二組。それと…。」
ソコで聖は言葉を止めた。
「それと…。とは?」
「そうねぇ…。それ以外に、あの人は夫を殺してるでしょ?だから、あの人が殺した人数は合わせて十一人。」
「君がそう思ってるだけだよ。君の父親が亡くなったのは…。不慮の事故なんだ。彼女の所為ではないんだよ。」
優しく諭す様に岸田は云う。
「だから…。ソレが違うの。あの人は、自らの夫を自らの意志で殺したのよ。無理心中ってやつね…。結局、死んだのはパパだけ。あの人も、あたしも生きていたから…。」
黒澤聖は表情を変える事なく、そう云った。
「だから君が、そう思い込んでるだけなんだよ。」
「まぁ。どうでも良いのだけれども…。そうねぇ…。」
そう云うと黒澤聖は…。もしも、あたしが人の心が読めて、その人を操れるって云ったら、貴方は信じる?と云った。
「それは…。」
岸田は言葉を詰まらせる。
「信じるのも信じないのも、貴方に任せるわ…。」
黒澤聖は、少女の様に微笑んだ。




