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吸血鬼事件概要


 【吸血鬼事件】


 十年程前、都内で複数の変死体が発見された。その遺体はれもが血液を大量に失っており、首筋には、生物の噛み跡が付いていたのである。


 何故、吸血鬼事件と呼ばれていたのか。


 被害者は全員、若い女性・・である事。首筋に二つの穴が空いていた事。遺体に残されていた血液と事件現場に残されていた血液の量に極端な差がある事。犯行時間が真夜中である事。等の類似点が多々あったからだった。


 現行犯で逮捕されたのは…。黒澤鏡花くろさわきょうか。都内在住の女性である。


 逮捕された時、身につけていたモノで、彼女が、どの様に被害者の血を抜き取っていたのかが判明したのだが、抜かれた血液の行方だけは判明しなかった…。


 その後の裁判で、彼女は無罪となった。犯行当時の彼女が心神喪失状態であった事。その後の証言。医師からの判定。通院履歴。が決め手となったとの事だ。稀なケースである。


 裁判の後、暫くして…。彼女は措置入院先で自ら命を絶った。真相は霧の様に拡散してしまったのだと、誰もが思った。


 しかし、その約二年後。真相は突如として明かされる事になったのだった…。

 

 黒澤鏡花くろさわきょうかの娘。


 黒澤聖くろさわひじりの証言によって…。

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