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大いなる意志のヒの下に  作者: PERNOG
第三章 第四界 『壊滅宇宙 コスモポリタン』
95/100

散華

 「・・・やはり、能力の起点となっていたあの男も星の性質を帯びてしまっていたか。正直に言うと、一瞬のうちに消えてなくなってくれてスッキリしたよ」


 『寄星虫』に船もろともに食べられて、絶賛消化中にも関わらず一切の焦りを見せない呑。


 イカリは攻略前から自身は死んでも直ぐに復活できると高を括っていたが、存在そのものを『寄星虫』に吸収されてしまったがため『第十二界』に送られずに『寄星虫』の一部となってしまった。


 呑は船やイカリと違って人のままなので即座に吸収されることは無かったがじわじわと体が溶けてなくなっているのを感じる。


 「さて、悠長にしているわけにもいかんな。正直に言うと、さっさと最後の仕事を熟すか」


 呑は合図を送った。何拍か置いた後、『寄星虫』の内部で今までとは比べも名にならない威力の大爆発が起こった。


――――――――

 場面は戻り、呑とサンクスとの話し合いのシーンにまで遡る。


 『・・・ト、イウ訳ダ。正直ニ言ウト、コノ船モロトモ食ワレルノハ決定シテイル』


 呑から説明を受けたサンクスは目の前の爆弾を操る呑という男の先見に恐ろしさを感じていた。イカリの能力の弊害や『寄星虫』の特性を見抜き、船の全損が免れないと知り、尚且つそれを織り込み済みであるという。


 『食ワレルコトガ決マッテイルナラ、ソレヲ利用スルマデ。正直ニ言ウト、俺達ハ囮兼特攻役ニナル』


 サンクスに何かを放る。反射的に受け取ったサンクスは手の中の物を見て首を傾げる。


 「何だこれは・・・?スイッチ・・・?」


 『オット押スナヨ?正直ニ言ウト、ソレハ俺本体ノ爆破すいっちダ』


 咄嗟にスイッチを爆弾の方へ投げ返す。爆弾は器用にスイッチを受け取ると即座に放り返す。慌てながらも取り落とさない様にしっかりと受け取る。


 『俺ノ能力『純情な衝動(ヒューズ・ボックス)』ハ導火線ガ着イタ爆弾ヲ作リ出ス。爆弾ノ威力ハ導火線ノ長サニ比例スル。正直ニ言ウト、ソノ導火線ハ『第四界』に来テカラズット伸バシ続ケテイル』


 『俺ノ奥ノ手、『特攻爆撃(モロトモ・ドカン)』。俺自身ヲ爆弾ニスル。正直ニ言ウト、他人ニすいっちヲ押シテモラワナイトイケナイ欠陥技ダガネ』


 会ってそう時間も経っていない相手に自分の命を平然と渡す呑。


 攻略に参加した身として成果を上げるために、粉骨砕身の気持ちで挑んだサンクスも覚悟を持っていた。だが、呑の様に己の命も消費する駒の一つとして勘定が出来るだろうか?という疑問によって己の覚悟が揺らぐような気持ちになってしまった。


 そんなサンクスに変わらず不快な電子音声は告げる。


 『ショゲ返ルナヨ。オ前タチニハすいっちヲ押ス以外ニモ仕事ガアル。正直ニ言ウト、最後ノ詰メダ。ヌカルナヨ』


 感傷にも後悔にも浸らせてもらえず、淡々と計画を伝えられる。サンクスも出来るだけ早めに気持ちを切り替え、攻略を熟し成果を上げることのみを考えた。


――――――――



―――― 『界賊』 キャプテン=イカリ 死亡 ――――

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