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大いなる意志のヒの下に  作者: PERNOG
第三章 第四界 『壊滅宇宙 コスモポリタン』
92/100

『純情な衝動』

 『寄星虫』の光線は今や出鱈目にばら撒かれている。そのすべてが押し寄せる『十三使徒』の見た目をした何かに当たり消し飛ばすが、空いたところに即座に新しい物が出現し、一行に数を減らさない。


 「『純情な衝動(ヒューズ・ボックス)』。『大盤振る舞い(カーペット・ボミング)』モードだ。どっちが先に根を上げるかな。正直に言うと、こっちはもう一杯一杯だが」


 先ほどの光線で『十三使徒』が消し飛ばされる前にイカリが全員を回収し、油断を誘うため代わりにデコイを消し飛ばさせた。今、『第四界』をひしめいているものも全て呑が能力で作り出したデコイである。偽物はよく見ると後ろから紐のようなものが伸びている。


 呑の『純情な衝動(ヒューズ・ボックス)』は導火線付きの爆弾を作り出す能力である。作り出す爆弾の形状はかなり精巧に変化させることも可能であり、爆弾としての威力を削ぎ落し囮として攪乱や目くらましとしても使うことが出来る。


 デコイの軍勢は『寄星虫』を追い詰める様にその輪を狭めていった。


――――――――

 新たな状況に攻略組が勢いづく一方で、ペストマスクは面白くない状況に辟易としていた。


 『あ~もう!鬱陶しい!・・・君の力もすごいけど、まるごと薙ぎ払っちゃえば良いからね!』


 『寄星虫』の触手を数百本束ねてエネルギーを集約させると、今までの何百倍も太い光線が照射された。


 ごっそりといなくなるデコイ達。しかし瞬く間に新しいものが補充される。ペストマスクの男はその復活の流れの偏りを見逃さなかった。


 (あの子の能力で出来たものは紐みたいなものを通して動かされているのが見えたからね。補充されるときは近い場所からされるはず)


 周りに広がるデコイ達を追えば目がいくつあっても足りないが動かしているのは一人。元を絶ってしまえばそれで終わり。


 『大元は見つけた!今度こそ終わりだね!』


 ある程度辺りをつけたあとは簡単。明らかにそこから伸びる紐の数が多い船を発見し光線を照射する。


 船が消滅すると、近くに浮いていたデコイ達もそのまま消えてなくなる。


 ペストマスクの下で思わずほくそ笑んでゲームの終わりの余韻に浸ろうとしたが、瞬く間にデコイが出現し元の様に包囲されてしまった。


――――――――

 「着眼点は悪くない。正直に言うと、賢いと思い込んだ馬鹿にはこの手がよく通じる」


 ペストマスクが薙ぎ払った方角とは全く別な場所で呑は吐き捨てる。

 確かに、自分の能力は導火線を繋いでいないと爆弾の操作は出来ない。しかし、繋がっていれば良いので、一つだけ自分と繋がる爆弾を作っておいて、そこからさらに大量の導火線を伸ばすことで複数の爆弾の操作を行うことが出来る。


 「まあ、これだと爆発させると連鎖して全て爆発してしまう。正直に言うと、ただのコケ脅しにしかならん」


 今はそのコケ脅しが存分に威力を発揮しているので場面と使いようによってどうにでもなるもんだなと思う呑。


 (ここまでは想定に近い動きだ。そろそろ大詰めだな。正直に言うと、最後のひと押しが必要だな)


 呑は互いに決定打の無い物量戦に痺れを切らしてくるその時まで能力の展開を続け、ひたすら待つ。勝利の天秤は浮足立った方から軽くなっていくことを信じて、機を見極める。


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