騎士たちの飛躍
「インベーダーゲーム・・・?また古いゲームを・・・。正直に言うと、埃どころか錆だらけのゲームを持ち出すなんてナンセンスだ」
呑は迫りくる光線を見据えると、一つ、パン!と手を叩いた。
直後に凄まじい轟音と共に大爆発が起こり、迫りくる光線をかき消した。
騎士たちは呆然とその様子を見ていた。圧倒的な火力を持って、星の発露ともいえる光線をかき消した今の状況を半分パニックした頭で受け入れられないでいた。
「ボーっとしているんじゃない。正直に言うと、こっからが本番だ。気ぃ引き締めろ」
『寄星虫』の光線を凌いだ呑は全く嬉しくなさそうに前を睨みつけていた。それもそのはずで、『寄星虫』は再びエネルギーをチャージして発射の準備を進めていた。
「インベーダーゲームって言うぐらいだ。あっちの弾数は無限と考えるべきだ。正直に言うと、あっちが遊びの段階で決め切らないと、こっちがガス欠になるな」
騎士たちを見やって、顎でしゃくる。「お前らの出番だ」と言わんばかりの態度。しかし、騎士たちは足が震えてしまっているのかすぐには動けない。呑はそんな彼らを見て何も言わずにすぐに視線を戻した。「元から期待してない」と。その行動が騎士たちに火を点けた。
「っ!やってやろうじゃない!行くわよ!女王陛下に成果を!強者たち(プレイヤー)に威を!」
「「「「「「「「「「「「女王陛下に成果を!強者たち(プレイヤー)に威を!」」」」」」」」」」」」
手にした指輪を掲げて吠える騎士たち。指輪が光を放ち、辺りを照らす。
騎士たちが走り出すと何を思ったか船から飛び降りた。視界から消えた彼らは即座に舞い戻ってきた。その身に鋼鉄の鎧を纏って。
「ゲッヒャ!なんだそれ!?いいなぁ!見たことないなぁ!欲しいなぁ!」
興奮したイカリが未知の物を目の当たりにして下品に舌なめずりをしながら品定めをしていた。役にも立たない騎士たちが何故船に乗ってきたのか疑問を感じていたがこれで得心がいった。彼らには翼があったのだ。
奮起させた呑は宇宙を翔けまわる彼らを見て、また煩わしそうに眉を顰めた。
(やる気にさせたのは良いが、発破をかけ過ぎたか・・・。正直に言うと、あまり
動き回られるといざという時に巻き込んでしまうだろうが・・・はしゃぎ過ぎだ)
「あんなものがあるのは『第一界』ぐらいか~?・・・クッソ!俺が閉じ込められている間に面白いもん持ってかれるとはなぁ!」
宇宙を飛び回るものを今すぐに錨で巻き取って自分の物にしたいが、そんな余裕は無いので欲望を無理やり抑え込む。
「特殊兵装部隊『十三使徒』!翔けて参る!」
謎のペストマスクから叩きつけられた暴威と絶望を打ち払い成果を掴むべく、特別な兵装を身にまとった部隊が宇宙を飛んだ。