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大いなる意志のヒの下に  作者: PERNOG
第三章 第四界 『壊滅宇宙 コスモポリタン』
81/100

略奪者の法

 宇宙と名乗っていてもここはひとつの世界。かなりの広さを誇っていても普通に果てがある。その端ギリギリをイカリの支配する船が沿って走っている。


 星をも粉砕する船だが全く損傷しないわけではない。


 集中的に星が降り注ぎ、船体に大きな穴をつくった。乗組員の何人かが外へと吹き飛ばされる。


 だが、即座に錨が射出され飛んでいった乗組員を回収する。

 錨は周りの星にも突き立てられると船に星を引き寄せる。引き寄せた星が船に接触した瞬間、星は消え、船の穴は塞がれていた。


 「ゲッヒャッヒャッ!俺様のモノは塵一つ渡さねぇ!代わりに俺様に全てを寄こせや!」


 イカリの『母との別れ(レイズ・アンカー)』は周りに物がある限り船は修復を続ける。


 (この男の厄介さは聞いていたが、ここまでとは・・・!)


 見張りに立っていた魔術師は瞬く間に修復される船に驚愕した。


 (巨大な隕石、星をも引き寄せる強さに人間を壊さない繊細さも兼ね備えている!・・・団長がたが言っているそこら辺の木っ端強者たち(プレイヤー)とは比べ物にならない練度だ!これが最近まで封印されていた者の動きか!?)


 略奪者としての汚名で有名なキャプテン=イカリ。だがその実態は怖ろしいまでに鍛え上げられた能力を持つ男だった。極端な鍛え方をしているにしてもここまでの能力を見せつけられてはこちらも認めざるを得ない。


 (成程、確かに『第四界』の攻略の上で奴ほど適任はいまい。・・・共に戦いたくは無いがな)


 そしてもう一人の強者たち(プレイヤー)を見やる。船が壊れようとも気にせず座って本を読む男。つまらないなら読むのを止めればいいのに、ずっと眉間に皺を寄せて読み進めている。


 (一挙手一投足見逃してはいないはずだが・・・本当に偵察なんてしているのか?コイツは?)


 見張りとは外からの襲撃だけでなく、信を置けない強者たち(プレイヤー)の行動も含まれている。


 この呑という男の素性は知らないが、歩み寄ろうとしない者に気を許すつもりなど無い。


 「・・・おい、交代だ。部屋で休め」


 いつの間にか時間が経っていたのか騎士が船内から出てきた。軽くうなずきすれ違いざまにボソリと呟く。


 「呑という男も見張っていてくれ。イマイチ動きが読めん」


 返事を待たずに船内へと足を運ぶ魔術師。彼を見送る眼が一つではないことには気づかなかった。

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