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大いなる意志のヒの下に  作者: PERNOG
第二章 第三界 『暗君跋扈 クルーシブル』
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『聖光龍』の性質

 考えるハイドと灰鴉の二人。

 視線を外さぬ様に上を確認すると、山は着実に迫ってきている。いくら時間を長く取れるとはいえ、その時間いっぱいを思考のみにあてることは出来ない。立案したことを実行する時間も必要とすると、もうあまり猶予は無い。


 「・・・そうだ!思い出したよ!何で今まで忘れていたのか・・・!闇じゃあ『聖光龍』を決して殺せない理由があったよ!」


 思い出したかのように叫ぶ灰鴉。


 「『聖光龍』は『暗黒食』!闇を呼吸の様に取り込み、闇を食むことが出来る唯一のモンスター!だから『敵』に直接やられたんだよ!」


 「そういう大事な情報は普通忘れねぇだろう!・・・いや、それはもういい。まさか卵の状態でも・・・周りの闇を食って育っているってのか」


 新たな情報を得て再び卵を見てみると、確かに光ってはいるが相変わらず光は弱い。にもかかわらず明らかに、『闇の方から避けている』ことがわかった。


 「卵の状態だから自分から闇を食いに行けない。闇はこれ以上卵を育たせないように卵の周りだけ穴を空けたように避けている・・・なら、俺らがやることは」


 「ああ、『この卵に闇を食わせること』だね」


 灰鴉は調子を確かめる様に首と肩を回し、カラカラと笑う。目的が無かった先ほどと違い、明確にやるべきことが決まったおかげでやる気に満ち溢れている。


 「おあつらえ向きに闇を誘う『餌』ならいる」


 一行を指差しながらハイドは能力を解除した。


――――


 上から降ってくる山を見据えてニヤリと笑う。絶望の体現とも思われた闇が、今ではちっとも怖くない。


 卵を手の中で弄びながら、もう片方の手で山との距離を測る。


 「2000ちょっとか・・・かなり持ちこたえてくれたなぁ。感謝するぜ」


 血まみれで満身創痍の歯車は二人が戻ってきたことを確認すると、攻撃を止める。 どうみても重傷だが、クスリのお陰か痛覚が麻痺しているようで表情は変わっていない。


 「考えつきましたか。状況を打破する一手は」


 「いや、考えつかなかった」


 その返事にピクリと眉を動かす歯車。ニヤニヤ笑いながらハイドは告げる。


 「状況の打破は思いつかなかったが、この世界の攻略することが出来る策は思いついたぜ」


 目を軽く見開く歯車。側によって来ていた門構姉も驚いているようで口に手を当てている。


 「さあ、反撃開始だ」


 ハイドは思い切り振りかぶると山に向かって弱弱しく光る卵を放り投げた。

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