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大いなる意志のヒの下に  作者: PERNOG
第二章 第三界 『暗君跋扈 クルーシブル』
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闇の中から

 「そう上手くはいかねえよな・・・やっぱ・・・!」


 目的を決めて歩き出して数分もしないうちに、事態は急変した。


 先を歩き辺りを照らしていた猿が、鋭利な尾のようなものに腹部を貫かれ、悲痛な鳴き声を残しながら闇の中に消えていったのだ。


 メンバーは即座に戦闘態勢を取り、周囲を警戒する。


 「猿がやられた!追加で猿出せ!明るさは確保しろ!ヤク中も前に出過ぎるなよ!勇者さんはそこでステイ!・・・おい灰鴉!普通にやられてんじゃねえか!ちゃんと守ってんのか!?」


 なんだかんだで即座に指示を出すハイドは、同じく守りの要として働いているはずのいけ好かない着流し女の顔を見やる。


 「っ!はー、はー・・・!うるさいねえ!キーキー言うのはあの猿どもだけにしときな!」


 ハイドは灰鴉の様子に目を向くと、灰鴉から視線を外し他のメンバーに指示を出し始めた。


 番傘を持つ腕は力が入り、持ち手は握りすぎて出血をしている。顔は脂汗が浮き真っ青になっていながら、歯を食いしばり口の端から血を流している。


 (攻略を始めてまだ3時間もたってねえ・・・なのにあそこまで消耗してやがる・・・)


 先ほどまで軽口を叩きあっていた相手は高圧的で口も悪い、が決して油断も慢心もしない女だ。能力のことを深くは知らないが「守り」という点から高く評価されているのを前々から聞いてはいた。『一点紅』から今回の攻略に抜擢されている以上、かなりの能力を持っているのだろう。


 (そんな奴の守りを突破だ?襲ってきたヤツがよっぽど強いか。・・・もしくはそこまで手を回せるほどの余裕が無いか、だ)


 「さっきちらと見えたのはサソリのモンスター『デスストーカー』よ。かなり強いわ」


 門構姉は猿が消えていった暗闇を見据えて、先程のモンスターの情報を共有する。


 「あの一瞬でよくわかったな」


 「『大罪』のインガさんが同じ子を使っているからね」


 「『色欲の大罪(トゥーマッチ・リビドー)』のインガ=ロージナか。・・・あいつの弱点とかはわかるか?」


 周りの闇からは猿の悲鳴は消え、代わりに何かが潰されて啜られるような不快な音が聞こえてくる。


 「特別なことは出来ないけど、防御力と隠密性の高いサソリね。生半可な攻撃は通さない甲殻を持ち、鋭い尻尾の針で獲物を突き刺し貪る・・・。動きは遅いけどシンプルに強いから重宝するって言っていたわ」


 仲間がやられて動揺していた猿がまた一匹、暗闇の中へ消えていった。灯りとなる猿が減り、周囲からさらに闇が迫ってきたように感じる。


 「さらに、『デスストーカー』は群れで行動するらしいわ。今見えていないけど多分周りには・・・」


 自身の知っている情報を淡々と喋る門構姉。情報が増えるごとに現状がのっぴきならないものであることが知れる。


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