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大いなる意志のヒの下に  作者: PERNOG
幕間 第一界 攻略後
34/100

選出完了?

 「いやだああ!何で俺が参加しないといけないんだあああ!」


 縛られながらも逃げようと蠢くハイドと呼ばれた物差し男。


 「前回の決起集会の時にも来てたのに、何てざまよ」


 「冷やかしに決まってんだろ!俺自身が行くつもりなんざ1ミリも無え!うぼえっ!」


 ギャーギャー騒ぐ男の鳩尾に番傘を落とし強制的に黙らせる灰鴉。


 「こいつも本当に連れてくのかい?うっとおしいのはあのカブト虫だけで十分よ」


 番傘を肩にトントンと置きながら苦言を呈する。後ろでは門構姉もコクコクと頷き同意を示している。


 「人となりは最悪よ。それはわかってるけど、今回の攻略では速攻攻略は難しいと睨んでるわ。そうなると、如何に守りに優れたあなたでも手が回らなくなりそうなの。そこでそいつの能力が必要ってわけよ」


 『一点紅』もすまなそうにしていることからハイドという男はしょうもない人間なのがわかる。しかしそれらを鑑みても攻略の編成に抜擢されるということはそれだけこの男の能力が有用であることが伺える。


 「前回の攻略で能力を酷使し過ぎた反動で『二つの道』は現在療養中、というのもあって索敵や探知はあなたたちが各々頑張ってもらうしかない。防御に重きをおいた編成にするのもそういう理由ね」


 「ふん。この私がリーダーなのだ。もっと華のある人間を集めてほしいものだ」


 ピカピカ光る男が自分の美しさを語る様子をスルーしながらも女性陣は一定の理解を示した。


 「闇の中の行軍で防御に重きを置くことは理解するよ。だが、些か攻撃、突破には乏しい面子じゃないかい?」


 『大罪』の門構姉弟も『八宝』の灰鴉も荒事には慣れているが攻撃的な能力ではない。


 『勇者戦隊』のカブト虫・・・小唄薫も、今回は灯り替わりなので戦闘には参加させ辛い。


 ハイドには特に期待もしていない。


 今回の編成では『矛』となる人物がいないのだ。


 「他の『八宝』はどいつも小回りが利きにくいし、『六道』には引き続き警備を担当してもらうし・・・」


 「『大罪』はあたしたち姉弟が黄泉帰りを果たしたばかりで、他のメンバーはまだ『第十二界』にいるわ」


 「不安が残るのも無理は無いわ。だけどもあまり多くても足が遅くなるわ。このメンバーで行ってもらうしか・・・」


 「っ!何か来るぞ!」


 話し合いに熱が入りそうになったその時。いち早く異常に気付いた灰鴉が遠くから何かが飛んでくることを確認し、警戒態勢をとる。


 広場にいた面々は各々が武器や拳を構えて飛来する者を見つめる。


 「距離2000・・・1000・・・早いな。もう来るぞ」


 縛られながらも飛んでくるものを見つめていたハイドは距離を伝える。


 だんだんと姿が見えてきた。


 飛んできたものを確認してさらに警戒を高める。


 近づくにつれ匂ってくる強烈な腐敗臭。

 悲鳴にも似た鳴き声も聞こえる。


「・・・!また厄介なのが来たわね。何の用かしら?」


 飛んできたのはドラゴンだった。しかし見るも無残な様相をしている。

 身体中を植物の蔓の様なもので覆われており、隙間からは腐った肉が酷い臭いをまき散らしながら流れ落ちている。骨が見えている箇所もあり、体の内側にも植物の蔓が伸びているらしく、腹部からは赤黒い血に紛れながら内臓がぶら下がっている。


 ドラゴンは痛みと怒りがないまぜになったような鳴き声を発している。

 広場に墜落するようにドラゴンは着地した。腐敗臭が広場を包む。


「やあ、どうもどうも。いやー間に合ってよかった。間一髪」


 ドラゴンの頭に乗っていた人物はひらりと降りると空気を読めないのか、警戒態勢な面子に怯むことなくニコニコと話しかけてきた。


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