次なる攻略に向けて
イワンという歩く変態型災害が発生したことで中断していた会議はどうにか空気を取り戻し、話し合いが進んだ結果、『第三界』を攻略することに決定した。
「私たちはまた他の界からの侵略に備えて警備の強化にあたる」
「おぬしら強者たち(プレイヤー)に攻略を任せることになるのは心苦しいが・・・こちらは民も守らねばならぬでな」
騎士団長と魔術師団長は『一点紅』に頭を下げる。彼らにとって強者たち(プレイヤー)など気に食わない存在であるだろう。しかしプライドでどうにかなるものでないと理解している。
二人とも間違いなく強いことには変わりはないが、それでもプレイヤーに比べると何歩か劣る。そのことをキチンと理解している。守るもののために戦っている彼らはプライドで目が曇りはしない。
「わかりました。『第三界』に行くメンバーの編成はお任せください。また引き続き『六道』には警備にはあたってもらいますので」
『一点紅』はパンパンと手を鳴らす。
すると後ろでドロンという音とともに煙が噴き出した。
煙が晴れると腰に何本もの巻物を刺している忍者の恰好をした女性が一人膝をついていた。
「お側に」
「『第三界』の攻略に漕ぎ出すわ。このことを強者たち(プレイヤー)に通達しなさい・・・善悪関係なくね」
少し煙たそうに手を振りながら指示する。
「御意」
女忍者はまたドロンという音と煙に包まれその場から姿を消した。
「それじゃあ『第三界』。『光明聖態 クルーシブル』改め『暗君跋扈 クルーシブル』の攻略作戦。準備開始よ」
『一点紅』の号令の下、各々が動き始めた。
闇が支配する世界の攻略に希望の光は指すのだろうか。
――― ちくしょう!色々用意していたのに!・・・『第二界』攻略おめでとう。次の攻略はもっと楽しませてくれよ・・・ ―――
ひっそりと流れたアナウンスに多くの人が困惑と喜びを表す中、イワンのことを知っている人物は微妙な表情を浮かべていた。