表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大いなる意志のヒの下に  作者: PERNOG
第一章 第一界 『崩壊都市 ムー』
19/100

黒の浄化

 「・・・『第一界』の攻略が今回の主目的。『核』だけ破壊しろって命令じゃないよなぁ?」


 黒狼は痛む体を奮い立たせて、一匹のゴキブリを生み出した。黒々として、触角が導火線のようなバレーボールぐらいの大きさの丸々としたゴキブリ。


 『こ、黒狼・・・何をするつもり・・・?』


 「 (ファイア) 」


 誰でも使える魔術を使い、黒狼は生み出したゴキブリに火を点けた。


 「・・・お前らも把握していたと思うが、今までの道中で俺は『種』を仕込んでいた。それらの主目的は物量による妨害。・・・それで済めば御の字だったんだが・・・・」


 シュウウと導火線がだんだんと短くなっていく。黒狼はずっとかけていた透明化を解いた。ここ中枢がある部屋の中でも数百、否数千にも及ぶ球形のゴキブリが出現した。


 「俺は盗人だ。こんな真似はしたくは無かったが・・・俺は今をやり過ごすために、攻略を成功させる・・・泥臭く、いや煙臭くなろうがな」


 機械兵たちが異常を感知し、ゴキブリを攻撃しようとしたが滑って転んだ。いつの間にか床一面に油が撒かれていた。


 「可燃性の高い油を垂れ流す『油田虫(オイルローチ)』。そして火を点けると爆発する『黒爆球(ゴキボム)』の大盤振る舞い・・・!ここだけじゃなく『第一界』全体に配置させてもらっている・・・!」


 異常の大元である黒狼の排除を優先した機械兵たちや罠が、その存在を消そうと集中砲火を開始しようとした。が、今度は『第一界』側の反応が遅れた。


 「残念、もう遅い。・・・っは!ざまあみろ。ここを踏破したのは清廉なる騎士様でも偉大なる魔術師でもねえ・・・この俺!盗人の黒狼大蛇だ!」


 黒狼の目の前でゴキブリが爆ぜた。


 「『黒の浄化(ブラック・ボンバー)』。食らいやがれ」


 瞬間『第一界』全体は爆発と炎に満たされ、一切合切何もかもが吹き飛ばされた。



―――ピンポーン―――


 爆発で視界がいっぱいになっている『二つの道』、疲労困憊ながらも行く末を見守っていた『一点紅』にも、今回の攻略には参加していない他の強者たち(プレイヤー)にも頭の中にチャイムが鳴り響いた。


―――『第一界』の攻略おめでとう!君たちの次なる歩みを楽しみにしておくよ―――


 何者からの祝福と激励の言葉。衰退し続けると思っていた攻略に一筋の光明が見えた気がした。まだ一つ目。されど一つ目。


 攻略・・・世界の終わりを阻む歩みはやっと一歩踏み出したばかりだ。




――― 『嫉妬の(アンリーチブル)』 黒狼 大蛇  死亡 ―――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ