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83 不甲斐ない姉でごめん

 私が目を覚ましたのは村に帰ってきた2日後だった。

 え?日が飛びすぎているんだけど?普通は翌日に目が覚めない?その間は私はひたすら眠って居るだけだったらしい。ばぁちゃんが疲れているだけだろうから、ゆっくり休ませておけば、そのうち起きると言っていたらしい。流石、ばぁちゃんだ!


 それで、今の私は母さんと父さんの前に座らされて、ダイニングで事情聴取をされております。隣には勿論ジュウロウザがいます。そして、背後にはシンセイが立っております。

 座るように進めても、『吾はココで良い』と言って私の背後に立っている。なんか、背後に立たれると気になるんだけど。


「それでね。モナちゃん。いっぱい聞きたいことがあるけど、まずはリリーちゃんの事を教えてもらえる?」


 母さんがそう切り出してきた。リリーの事か。あれから大騒ぎだったらしい。


 私が気を失って帰ったあと、キールがリリーの様子を見に行ったら、リリーが起き上がって窓の外を見ていたらしい。そして、私に何があったのかと問い詰めて来たそうだ。

 それは病み上がりとは思えないほどの迫力があったとキールが母さんに言ったそうだ。


 キールは病み上がりのリリーに迫られて、私の様子を見に来たらしいが、肝心の私が眠っているので、すごすごと帰っていったキールの背中は喜びで溢れていたと母さんは言っていた。その間もリリーが回復したと村中でお祭り騒ぎのようになっていたらしい。

 リリーの奇跡的な回復。母さんはそれを聞いてきているのだ。


「治癒スキルをもらったから使ってみた。で、その結果、私も倒れた以上!」


「モナちゃん説明がなさすぎるわ。やり直しよ」


 母さんからダメ出しをされてしまった。隣のジュウロウザは笑っているのか肩が揺れている。


「えーっと。冬の女神の神殿に行って、お祈りをしたら治癒スキルをもらったの。それをリリーに使ったら私のスタミナゲージがすごい勢いで減っていって、気分が悪くなって倒れた。以上!」


 私の言葉に母さんと父さんが顔を見合わせる。どうしたのだろう?


「モナちゃん。冬の女神の神殿ってなに?」


「シュエーレン連峰の中腹あたりにある冬の女神を祀った神殿」


 私の言葉に若干顔色を悪くさせながら、母さんが次の質問をしてきた。


「そ、そうなのね。それで、その···シンセイとおっしゃるご老人はどこで出会って守護者になったの?」


「シンセイさんは元々夏国の先王の守護者だったらしくて、今の夏王に言われて人探しをしていたところに会って、シンセイさんの取られた武器がダンジョンの中にあるのがわかっていたから、それを取りに行ったら守護者になった」


 私が話している途中から両親の顔色がだんだん青くなってきた。どうしたのだろう?


「も、モナちゃん!先の夏王ってあの領土を倍以上に拡張したあの夏王?」


「そうだけど?」


「その守護者ってあのリューゲン(龍玄)!?」


 リューゲンって誰?私はシンセイの話をしているのだけど?

 私が首を傾げていると、シンセイの声が背後から聞こえた。


「姫、龍玄は吾の(あざな)である」


 ああ、リュウゲンという(あざな)ね。シンセイって有名人なんだ。


「そ、そうなのね」


 母さんは顔色が悪いまま立ち上がって、隣にいる父さんに向かって言った。


「わ、私じゃ手に負えないから、相談してくるわ!」


 そう言ってダイニングから続く玄関扉を開けて家を出て行った。どこに相談に行くのだろう。父さんも同じことを思ったのか首を傾げている。


「お話し終わった?」


 ソフィーが薬を作っている作業部屋からぴょこリと顔を見せた。母さんが出ていったことで、終わったと思ったのだろう。


「母さんは相談に外に行ったけど、どうかしたの?」


「えっとね」


 ソフィーはタッタッタと私のところに来てニコリと笑って言った。


「おねぇちゃん、おかえりなさい」


 おお!そう言えば帰ってきた時は寝ていたし、今日、昼過ぎに目覚めて軽く食事を取ったあと直ぐに、母さんから事情聴取を受けることになったのだ。だから、ソフィーと言葉を交わすのは帰ってきて初めてとなる。

 だから、私はソフィーの頭を撫でながら言う。


「ただいま。ソフィーが作った傷薬のおかげでとても助かったよ。ありがとう」


 アレーネさんの傷を治すのにとても助かった。そう言うとソフィーは嬉しそうに笑った。うんうん。ソフィーの笑顔が一番だ。


 ジュウロウザから聞いたけど、帰ってきてから目覚めない私をすごく心配していたらしい。不甲斐ない姉でごめんね。


「あのね、おねぇちゃん。あまり無理をしないでね。ばぁちゃんも母さんも父さんもすごく心配してたんだからね」


「うん。ごめんね」


「おねぇちゃん。すぐに謝るよね!そうじゃなくて!」


 そうじゃない?ここは不甲斐なくて悪かったって謝るところだよね。


「ばぁちゃんがいつも言っているよね。頑張らない。行動するときは近くの人に言う。疲れたら休む!ばぁちゃんとの約束忘れちゃってるでしょ」


 あ、うん。言われた言葉もばぁちゃんとの約束も覚えているけど、覚えているけど····約束は守るためにあるのもわかっているけど···私しか知らないことや、できる事があるならそこは頑張らないといけないと思うよ。

 ばぁちゃんに何回も怒られたけどね。



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