3 このステータスを見よ!
私は迷っていた。このまま近くの谷底にクラッシャーを捨ててこようか、しかし、人としてそれは駄目ではないのだろうか。
「モナねぇちゃん!」
ルードに呼びかけられてハッとする。この子がいる前で捨ててくるのは駄目だと思わされた。
仕方がない助けよう。そして、クラッシャー効力が発揮される前に出ていってもらおう。
「ルード。森の外に置いてある荷車をできる限り近くまで運んできて、私はけが人を運んで荷車が入れるところまで行くから」
「分かった」
そう言ってルードは走って森の外に向かっていった。この森は浅瀬は村人の手が入っていおり、なんとか荷車が通れる隙間もあるけど、今いるところは木々が密集し、荷車が通れる隙間はない。
私はけが人の腕を持ち上げ肩で支え、引きずる。・・・重い。流石に意識のない成人男性は重い。
しかし、ここでクラッシャーを発揮されたらたまらないので、必死で足を進める。こっちは命が掛かっているのだ。カス具合を舐めんなよ。
その私のカス具合を提示してみるとこんな感じだ。
モナ
16歳
職種:村人
Lv.20
HP 30
MP 11
STR 5
VIT 3
AGI 13
DEX 9
INT 30
MND 10
LUK ∞
スキル
真眼
称号
異界からの転生者
ラッキーガール
こんなステータスだ。レベル20でこのカス具合だ。
因みに11歳のルードはこんな感じだ。
ルード
11歳
職種:レンジャー
Lv.9
HP 125
MP 40
STR 103
VIT 50
AGI 309
DEX 295
INT 113
MND 94
LUK 115
私の半分のレベルでこのステータスだ。私の味噌っ滓具合が分かると言うもの。
それも私は村人に対し、既にレンジャーという職業を得ている。もう10年は薬草採取をしているのだから、何かしらの職業を得てもいいのではないのだろうか。
因みに私の次のレベルアップに必要な経験値は493002だ。レベル21になるには約50万の経験値が必要なのだ。このクソゲー具合が分かってくれるだろうか。リアンを扱き使いここまでレベルを上げたが、流石に50万の経験値が必要となった時に諦めた。流石にこれ以上は無理だと。
「モナねぇちゃん!全然進んでないよ!」
ルードが戻って来てくれた。そんな事を言いながら怪我人の反対側の腕の下に肩を通し、手伝ってくれる。
「ルード。私のカスステータス具合を知っているでしょ」
「わかってるって、そのために僕が付いてきているんだから」
ルードはリアンと違って素直に手伝ってくれる。本当にリアンと違っていい子だ。
「ありがとう。ソフィーにルードが沢山手伝ってくれたと褒めておくよ」
「べ、別にソフィーは関係ないじゃないか」
耳まで真っ赤になって関係無いと言っているが、ソフィーの事が大好きなのが丸わかりだ。ソフィーもルードの事が好きなようなので、傍から見ても二人は微笑ましいぐらいにお似合いだ。
ルードがこうやって私を手伝ってくれているのもきっとソフィーと接点を作ろうとしているのだろう。姉という私を使って。
可愛らしい二人のためなら大いに利用されてあげよう。
周囲に明るい光が垣間見えるようになってきた。少し先の方にはルードが持って来てくれた荷車の姿が見える。後は、怪我人を荷車に乗せて走って森を抜けなければならない。
この怪我人の傷を付けた魔物がまだ周囲にいるとしたら危険だ。
ルードとタイミングを合わせ、怪我人を荷車に乗せる。カスステータスの私と子供のルードが乗せるのだ。多少キズが広がることもあるかもしれないが許してもらおう。
私が荷車を引き、ルードが後ろから押して行く。
薬草が血まみれにならないといいな。
両親の使われていないベッドに横たわる手当てをされた怪我人を見る。やはりこの顔はジュウロウザにしか見えない。黒髪に凹凸の少ない和国の顔立ち、眠っていても美形である姿はゲームで見た映像と変わりがない。
私もリアンも少し幼い感じはするがゲームで見た姿と変わりがないので、そうなのだろう。
しかし、ジュウロウザのステータスがここまでとは思わなかった。ゲームの時のステータスはHP、MP、ちから、ぼうぎょ、すばやさ、しか見ることができなかった。
だけど、私のスキル真眼でみるともっと詳しく見ることができる。
鬼頭 十郎左
23歳
職種:侍
Lv.58
HP 874602
MP 74839
STR 363049
VIT 59821
AGI 40928
DEX 98377
INT 120938
MND 582983
LUK -948273
これは勇者よりスペックが高いだろう。これにスキル自動回復が付いているのだ。しかし、ジュウロウザ・・・氏を持っていたんだ。てっきり名だけかと思っていた。それに侍って職種なのだろうか。