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124 モナ・マーテル

「常闇の君の何が気になったの?」


 元々ゲームでも『封じられた神の影』としか説明がなかったので、詳しくと言われても、私は答えを持ち合わせてはいない。


「モナと親しげにしていたから」


「ん?親しい?え?どの辺りが?はっきり言って、私と常闇の君とはあのダンジョンで初めてあったから、親しいと言われても困るのだけど?」


 いや、本当にどの辺りが親しいと思わせる要素があったのか。


「あのいるだけで畏怖をしてしまう存在は普通じゃない。その人物はモナを助けに来たのだろう?そして、傷を治して去って行った」


 え?私を助けに?えー。多分違うと思う。お礼を言いたかっただけじゃないかな。

 でもこれを説明するには異世界云々とか転生云々とかの話をしないといけないよなぁ。


 うーん?とどう説明をしようかと首を捻っていると、段々とジュウロウザの機嫌が悪くなってきた。

 えー!何で?


「えっと、私が夢の話をしたのを覚えているかな?」


 ジュウロウザは私の問に頷いてくれてはいるものの、それが今何の関係があるのかと言わんばかりの表情だ。


「何が関係するのかって思うかもしれないけど、常闇の君の事を説明するには、私じゃない私が関係することなの」


「モナじゃないモナ?それは今のモナの目が金色になっていることが関係するのか?」


 え?金色!目が金色?!

 私は思っても見ないことを言われ、洗面所にある鏡を確認しようとして、ベッドからずり落ちそうになり、ジュウロウザに抱えられる。


 そして、抱えられたままジュウロウザにベッドに戻され、ベッド脇にあった手鏡を渡された。


 こ、これはエルドラードじゃないか!いや、多少は違うが似ている。色合いが同じというだけではなく、兄妹かといわんばかりに似ている。

 いやー。こんな事実は知りたくなかった!


「金色。本当に金色だ。すごく嫌だ」


「綺麗な色だと、俺は思う。モナによく似合っている」


 ジュウロウザはそう言って私の頬を支え上に向かせた。あ、この距離間、すごく安心する。本当に一人でダンジョン内を歩くのはもう勘弁だ。ノアールがいて助かったのは助かったけど、やっぱりジュウロウザの側が良い。

 ジュウロウザの言葉に私はニコリと微笑む。ジュウロウザがいいと言うならいいか。私が鏡を見なければいいことだ。


 私は話の続きを話しだす。私とエルドラードの邂逅。創造主ルギア神と女神クレア神。そして、主神エルドラードの愚策(・・)


「世界はこの宇宙にたくさん存在するの。その中の一つに私は別の人物として生きていた。だけど、事故で死んだ時にこちらの世界の神であるエルドラードに、この世界に私の魂を連れて来られた。そこで、一人の人物になって欲しいと言われたの」


「それがモナなのか?」


「そう、モナ・マーテル。彼女は創造主の妻である女神の欠片だった。創造主は闇に支配され世界を壊し始めたと書にはあったけど、恐らく闇を取り込んだ夫である創造主を主神エルドラードに言われて封じたのだと思う。そして、彼女は傷ついた世界を修復するために殆どが世界の一部になった」


 あの『世界の書』はあまりにも不自然だった。恐らく真実ではなく、エルドラードの都合のいいように書かれていたのだと思う。そして、エルフ族の事が全く書物の中に見られなかったということは、存在そのものを排除したかったのだろう。全ての書物から排除するぐらいに。ただ、古代遺跡のことのみが残されていた。


「残った欠片の彼女は封印された創造主の居場所を探そうとしたけれど、人の身となり幼児ステータスの彼女では外の世界は脅威でしかなかった。だから、彼女には守護者が与えれ、安全な居場所を与えられた」


 エルドラードは安息の地と言っていたけれどね。


「彼女は転生を繰り返す度に、その守護者も転生を繰り返す。そして、モナとして転生した時点で転生の歪が出てきてしまったみたい」


「それが、あのリアンの姿だったと?」


「そうなんだけどね。それは、私がリアンを追い詰めてしまっただけで、それまではリアンはモナに嫉妬心を抱かせ、モナが攻撃をみせたところで、正当防衛と言わんばかりに彼女の心臓に剣を突き刺していたみたい。それが、世界の一部になった彼女に共鳴して世界の崩壊に繋がっていった。そして、時間を巻き戻すと言うことを繰り返していたのだって」


「嫉妬心?」


 え?そこ気になるの?


「それで、「嫉妬心ってどういうことだ」····」


 スルーしてよ。私には全く理解できない心情だから。何で、リアンに恋心を抱くのかさっぱりもってわからない。


「はぁ。幼い頃から共に居て、モナに何かあれば心配するように声をかければ、恋心を抱くのでしょうね」


「それはモナも同じなのか?」


 ジュウロウザは何を言っているんだ?怪訝な視線を向けるが、ジュウロウザは真剣に私に聞いてきてるようだ。


「私のリアンに対する態度を見ておいて、その言葉が何故出てくるの?」


「あ、ああ。そうだったな」


「はぁ。私はリアンの異常性に気がついていたよ。大人の精神が子供の中に入っていたのだから、こいつワザとだなってぐらいは知っていたから、好きになるはずもないのに、エルドラードは私がリアンを好きにならないようにって恋心ってモノを封じるしね。本当に巫山戯るなって言ってぶん殴りたい」


「恋心を封じる?」


 あ、そこも拾わなくていい。私がエルドラードをぶん殴りたいだけだから。


「モナは俺のことは好きか?」


 あれ?私、好きだって言わなかった?聞こえていなかったのかなぁ。



誤字脱字報告ありがとうございます

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