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10 光る竹の中には?

 村人。それは暮らすために必要なことは全て賄える職業でもある。薪を作るために木を伐採する。間伐のために木を伐採する。だから、私は鉈を持ち竹の前で構える。


「ルード。下で麻袋を広げておいて」


 ルードが麻袋を広げたことを確認して、私は黄金に輝く竹を斜めに切り落とす。そこからは金銀ざ····いや、宝石のような魔力を帯びた魔石が竹から溢れ出てきた。


 これはいい。大きいものは村で使えそうだ。全てを麻袋に詰め込んだルードはニコニコの笑顔だ。ルードは私のラッキーから引き起こされるレアアイテム採取が楽しいらしい。


「ルード、スコップシャベル」


 私は必要なくなった鉈の柄を差し出すと、引き取られ、スコップシャベルを渡された。

 ん?ルードはニコニコ顔で目の前にいる。横を見るとジュウロウザが先程私が手にしていた鉈を持っていた。

 ああ、ジュウロウザが渡してくれたのか。


 私は足元にスコップシャベルを突き刺す。


 ふふふ、私がここに立ったままだったのは、ここにお宝が埋まっているのだ。土を掘り起こすと、尖った頭が見えた。その周りの土を掘り起こし、出てきたのは茶色い皮で包まれた筍だ!

 下にある赤いポツポツが新鮮な筍の印だ。


「ルード!今日は筍ごはんにするよ。夕飯にトゥーリさんと食べて!」


「やったぁ!」


 この季節だけしか味わえない珍味だ。竹なんてこの辺りには見かけないし、筍なんてものは手に入れることなんてできない。ラッキー無限大様様だ。


「たけのこごはん?」


 ん?ジュウロウザが前のめりで聞いていた。いや、近いし。


「晩御飯は筍ごはんになるんだけど、嫌いでした?」


「いや、嫌いじゃないが、米があるのか?」


 ああ、そっち?


「ありますよ。麦ほどじゃないけど。今は次の苗の準備をしています」


「そ、そうなのか!こちらの方に来てから一度も見たことがなかったから、てっきりこの辺りでは存在しないと思っていた」


 米がこの村にあるのは、私が南の沼地に米を見つけて栽培を始めたからだ。今は1反程しかないが、水路を整備すればもう少し広げる予定だ。


「そうそう、これほどの魔石があれば、前からモナねぇちゃんが言っていた、水路を作って、田んぼを大きくできそうだね」


 麻袋を抱え込んだルードがニコニコしながら言っている。けど、全部は売らないよ。



 そうして、目的のローズ草を採取して、さっさと家に戻った。今日の晩御飯には時間がかかる。

 昨日はろくなことがなかったけど、今日はとても良いものが手に入った。やっぱりこの時期は筍だね。


 大鍋に湯を沸かして、筍の皮に切れ込みを切れて糠を一緒に茹でる。アク抜きは大切だ。これをしっかりとしないと食べられたものじゃない。


 筍は茹でて冷ましておく。その間にお米を研いで、水を吸わせて、出汁を作っておく。ふふふ、これを見るといい。私の力作、大豆から作った醤油と味噌だ。


 もう、これを作り上げるのには苦労の連続···いや、全く苦労もせずに作れてしまった。東の森に生えていた椿の木を灰にして、村で初めて収穫した米に振りかけて選別した麹菌を使って塩と混ぜればできてしまった。味噌ともろみ。

 こんなに簡単にできていいのだろうかというぐらい、素人の私が簡単に作れてしまったのだ。


 海から遠い村では魚介の出汁は取れないが、代わりにきのこの旨味を使って醤油と酒でだし汁を作る。大鍋に米を入れ、出し汁を入れる。その上から食べやすい大きさに切った筍を並べ、蓋をして藁に火を付ける。

 筍ご飯は真剣勝負だ。藁に火を付けると薪と違い直ぐに燃え切ってしまう。それを切らさずに燃やし続ける。


 火と戦うこと20分。出来上がった鍋のフタを開けると香ばしい醤油の匂いと筍の香りがキッチンの中に充満した。

 混ぜ返すとおこげもできている。素晴らしい!自画自賛だ!


 残った筍は小麦粉をだし汁で溶いた物で天ぷらにする。


 そして、きのこのお吸い物。


 以上が今晩の晩御飯だ。贅沢な食事だ。



 二人分の食事を別に分けてルードに渡す。それと、今回の北の森で得た魔石もつけて差し出す。


「ありがとー!モナねぇちゃんのご飯美味しいから好きだよ」


 そう言って隣の家に戻っていった。さっきまでルードはソフィーと仲良くお喋りをしていた。本当に二人は微笑ましい。


 で、ジュウロウザはと言うと、私がご飯を作っている間、庭で刀を振るっていたようだ。


 ルードが出ていった扉から代わりにジュウロウザが入ってきた。そのジュウロウザを見て私は顔をしかめる。2時間ぐらいしか離れていないのに、マイナス10万にLUKがなり腐っている。全くどういう仕様なのだこのクラッシャーは。


「キトウさん、夕飯できましたので、手を洗って来てください」


 そう言って、私はばぁちゃんとソフィーにも夕飯ができたと言うために背を向けた。


 二時間でマイナス10万って、うーん、ばらつきがある?



数ある小説の中からこの作品を読んでいただきまして、ありがとうございます。

少しでも面白かった、楽しかったと感想をいただける話があれば、下の☆☆☆☆☆で評価をお願いしたいです。

(評価をいただけるのであれば、楽しんで読んでもらえたとの指標にもなりますので···)




誤字脱字報告ありがとうございます

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