表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/28

薬屋にて

しばらく必死に歩いて教会の人間が追ってこないか確認するために慎重に後ろを振り向いたら、なんとさっきのイケメンがいた。御令嬢の黄色い悲鳴も聞こえる。



え?もしかして私探されている?

・・・なんで!?



私は被っていた帽子をさっと取って髪をくくり、今できる精一杯の変装をしてなんとかレティさんの薬屋さんまでたどり着いた。



「レティさん!!!」


「あれ?セバスチャンのとこのひよっこじゃん。どうしたの?そんなに慌てて」


「匿って下さい!!!!」


「はい!?何したの!?」


「とりあえずすごいイケメンが来てもいないって言ってください!」



何それ?と首を傾げつつも奥に入んな!とレティさんは匿ってくれた。


レティさんのいるカウンターの足元。

店頭からは死角になるところに私は蹲った。



「で?そのイケメンに追われる理由は?」


目線を合わせずに質問をされる。


「ここに来るまでにその方の家族の犬を治癒魔法で助けました」


「失敗したの?」


「いえ、元気になりました。失敗はしてないと思うんですけど...」


「相手、貴族だった?」


「おそらく。服も馬車も高級そうでした。美形効果かもですが」


「・・・怖がらせるつもりは無いんだけど、今、治癒魔法師を貴族の家のお抱えにするのが流行ってるらしいよ。そのせいで治癒魔法師を高値で人身売買している組織があるらしい。治癒魔法師に関わる問題の再来だから魔法協会が躍起になって動いているみたい」


「その関係者だったらますますやばいじゃないですか!!」



ドアがチリンと鳴る。

レティさんが私の頭を押し込む。


もしかしてあのイケメンが来た!?



「お忙しいところ失礼いたします。こちらにベージュの髪の女性は出入りしてらっしゃいますでしょうか?背はこのくらいなんですが...」


「ベージュ?見てのとおり、私は赤毛だし、ベージュの髪の子の出入りはないよ」


「そうでしたか、失礼しました。実は助けていただいたお礼がしたくて探していまして、もし何か聞いたりお心当たりがあれば私に・・・」


「協力しない」


「・・・え?」


「私は薬屋だよ?薬の用じゃないなら帰んな。それに店の前にあんなギャラリー作られちゃ営業妨害だわ」



お店の窓にはたくさんの御令嬢が、イケメンの動向を確認しようと張りついている。


イケメンは諦めたようにため息をついた。



「・・・ご迷惑をおかけしました。失礼します」



ドアを開けるとまた御令嬢の黄色い悲鳴が響く。

顔がいいのも大変そうだ。



「ひよっこ。もう大丈夫そうよ。御令嬢達の悲鳴が遠くなったから」



あれ、大変そうだけどいるかいないのかこんなにわかりやすいなら便利ねとレティさんは笑った。



「本当に助かりました。ありがとうございました」


「ありゃ完全に貴族だね。お礼くれるって言ってたけどもらわなくて良かったの?」


「関わったら大変な事になりそうなので大丈夫です」


「まぁ、、、確かにそうね」



レティさんは治癒魔法師の売買組織の可能性より、あのレベルのイケメンじゃ御令嬢の妬み嫉みの方がやばいと感じたらしく、あまり突っ込んでこなかった。



「はい、今回依頼分の薬。帰りは馬車使ったら?もういないとは思うけど念のため、さ」


「はい、そうします」


「馬車拾ってきてあげるからちょっと待ってな」



そう言ってレティさんは店を出て馬車を手配しに行ってくれた。こういうところはブラウン主任に似ている。面倒見がいい。


レティさんが呼んできてくれた馬車に乗り、私は病院に戻った。


--------------


戻って早々にルークさんを呼び出した。



「・・・と、いうことがありました」


「何やってんだよ、お節介。で?大丈夫だったのか?」


「はい、なんとか」


ルークさんは呆れ返ったような、不機嫌そうな顔をしつつ心配してくれた。


「そのとんでもないイケメンって誰なの?馬車の家紋は?」


「治すのと逃げるのに必死すぎて見てなかったです...」


「はぁー。もう。特徴がすごいイケメン!だけじゃ警戒しようがなぁ。とりあえず明日以降のレティさんとこへのお使いは俺が行くから。サラは病院から出ないこと。いい?」


「ルークさん・・・!」


「教会に見つかった場合は【治せちゃったのは必死すぎていつも以上の力がたまたま出たから】とかで誤魔化すぞ。念のため魔道具1個増やすぞ。ちゃんと身につけておけよ!」


「わかりました!」



実はルークさんは魔道具マニアで、母の特訓で魔力制御は身に付けたが保険のつもりで研修中にネックレスを着けていたら魔力量を抑えている事が早々にバレてしまったのだ。


でも幸いにも事情を理解してくれたので、こうやって危なくなるたびに助けてくれている。



「にしても、俺がいい奴でよかったな」


「いつもありがとうございます!」


「俺が嫌なやつだったらどうしてたの?」


「ルークさんが?考えたことないですね。いつだって味方で居てくれる師匠ですから!」


サラが満面の笑みでそう答えるとルークは困ったように言った。



「その顔、反則。威力すごすぎ」



え?と首を傾げると「それもっとダメ!!!」と言われた。



「あー!いたいた!!ルークさん、大聖堂から呼び出しです!エマさんがまたです!」


「お、ちょうどよかった。サラ、教会でどんな噂が広まってるのか情報あつめてくるわ。病棟戻ってて」


ルークさんはフェリアから伝言を聞き、大聖堂に向かった。私は言われた通り、外科に戻った。

〜後日談〜

サ:サラ ル:ルーク エ:エマ


サ「ルークさん、なぜ魔道具マニアに?」

ル「いや、、、すごく不思議だなぁと・・・」

エ「身長伸ばしたかったのよね?」

ル「おい!!!!」

サ「え?」

エ「魔道具はそういうものじゃないって気付くまでに3年かかったのよ」

ル「エマ・・・・!!!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ