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31.私の決断

 私を背負ったまま仕事をする玲央兄ちゃんではなく……アーサーさんです。


「なあ、ミオは……俺達がアメリカ行きの飛行機事故からずっと1人だったのか?」 ア-サ-は悲しそうな顔で私を見ていた。


「1人……だったよ。お父さんはずっと書斎に入り浸りで会話なんて無い、お母さんは……殆ど家に居なくて家族と呼べる関係じゃなくなってて、私がこの世界に来るまでの23年会話なんて無かったし、してもくれなかったよ。私が話しかけても『無視』 か『静かにしていろ!』 の言葉だけ……亡くなる時も同じだった。お父さんが亡くなる時に言われたよ「お前さえいなければ、産まれて来なければ良かったのに!」睨みながら息を引き取った。私ね……両親が亡くなるより、叔父さんや叔母さん玲央兄ちゃんが居なくなった方が凄く辛かった」 玲央兄ちゃんと! と言いながら、後ろからギュウッと抱きしめて……いつの間にか眠っていた。


 コンコンコンッ!

「入るぜ! ミオは……またそこか。アーサーがミオの本当の身内だったのには驚いたぜ」


「俺の方が一番ビックリしてるよ。ミオは昔から泣き虫で俺の後ばかりついて来てたよ、育った環境が悪くてな……まあ今も変わらないがな、ミオを寝かせてきてくれないか? 今日は多忙でよ……ミオを落とすなよ!」


 分かってるよ! と言って部屋のベッドに寝かされた。


 寝返りをして、眠いの……あと少しだけ寝かせて。


 夕方になり、目を覚まして欠伸をしながら下に降りると、なんか騒がしい? 何だろう? と思いギルドの外を見ると……黒いドラゴンがいた。

「わあぁっ、ドラゴンだ! カッコイイ!」 独り言を喋ってたら、2匹のドラゴンが私をスンスンと匂いを嗅いで頬を舐めてくれた。


「ドラゴンは好きかい、小さなお姫様」 「もう、貴方ったら……私の可愛いミ〜ちゃんがビックリするじゃないの」


 その呼び方……「叔父さん、叔母さん!!」私は勢いよく2人に飛び付き、号泣した。

 ここでも2人から離れなかった。

「ミオの泣き虫は健在だな」 「アーサーの婚約者になるって事は私達は本当の親になれるのね」

 叔父さんが私を抱っこしてギルドへ入ろうとした時だった。


 周りが騒つきだし「何をしに来た!」 バズさんが怖い顔で怒鳴ったが、いつもと変わらない顔で私に近づこうとしたが、ギルドの皆が前に出て私の方へ来させない様にしてくれていた。


 あのキモ悪変態2人組は、私を見て『ニヤニヤ』 と『ヘラヘラ』 して領主に続いて近づこうとしていたが……ガードが固くて押し問答だった。


 私は「……(来ないで)……」と微かな声で言った。


 領主のダルーズ・グレッグと変態2人組がギルドの前に来て「俺の娘を返せ! そいつは俺の金を持ち逃げしたんだ!」 踏ん反り返って鼻息を荒くさせていた。


 私の顔色が悪くなるのが分かった叔父さんが「ミオは『アーサー』の嫁だ! 俺達の可愛い娘なんだがな!」


 叔父さんの威圧に負けたのか「チッ! おいっ、ミオ! また来るからな!!」とだけ言い残して、逃げるように帰った。


「ミオが何をされたかは知っている。落ち着くまで王都である『レットーラ』へ来ないか? 無理にとは言わない、考えておいてくれ」私は頷き玲央兄ちゃんに抱きつきに行った。


 私はどうしたら良いんだろう?


 王都に行くと強くなれるかな? 王都に行くとなったら……皆と少しだけ離れなくちゃいけないけど、でも自分を強くするには王都での経験が修行になって良いかも。

 少しの間、皆とお別れ……かな……。

 私はアーサーさんを見て「……私……玲央兄ちゃんに会えて嬉しい、でも……あの人が、怖いの……」 アーサーさんはギュウッと抱きしめてくれた。


「大丈夫だ。親父とお袋が居れば、アイツらは何も出来ない! 王宮住まいだからな、今は行けないが……ここのギルドの後継人は決まってはいるが手続きが追いつかないんだ、それが終わったら王都のギルドでギルマスをするつもりだ。それまで、待っててくれるか?」 私は玲央兄ちゃんと見つめ合って、ギュッとした。


「おい、アーサー……ミオはお前さんの『婚約者』にまだなってないだろ? 婚約者でもないのに見つめ合いやがって!」 「そうだ、そうだ! ミオ、俺を見ろ!」 …………シーーーーン。 私はアーサーさんを見てた。

「オイ、そっちはギルマスだろう! 俺を見ろって言っただろう」 ゼクスさんはこの後、皆にいじられたみたい。


 ギルドにボブさん・リリーさん・アリアが入って来た。

「ミオ、今日は大丈夫? またギルマスさんに抱きついてるのね」 アリアに話さなきゃね。


「アリア、私ね……叔父さんと叔母さんと一緒に王都に行こうと思ってるの、いつでも遊びに飛んで来るから! それに……ここには大切な人達がいるから!」 私は皆を見た。


「叔父さん、叔母さん、私王都に行く。お兄ちゃん……アーサーさんと離れるのは寂しいけど、でも……あの変態を見るのはキツイから……」 「ミ〜ちゃん、私達が絶対に近付けさせないわ!」 「俺の可愛いお姫様、大丈夫だからね」 私は頷いた。


「ミオは王都に行っちまうのか?」 ゼクスさんが驚いた顔で聞いて来た。

 私は頷いた。


 アリアは泣きながら離れたくないって言ってたけど、ボブさんとリリーさんに説得されて「必ず、必ず遊びに来てね」と涙をポロポロ流しながら、私と抱き合った。


「アリアちゃんだったかしら? ミオと一緒に騎士達と鍛錬して強さを身に付けたいって思うなら……私達と一緒に来る? 鍛錬は、キツイわよ? あとは、御両親の許可があればだけど」 聞いたアリアはボブさんとリリーさんに振り向き「私もミオと行きたい! お願い、強くなって帰って来るから……行かせて下さい!」 ダンさんは次のギルマスで、その補佐がバズさんに決まった。ゼクスさんとルシアさんは家の事情があるから行けないけれど、アリアが行く事になった。


 アリアはボブさんとリリーさんに抱きつき「私、鍛錬がキツくても頑張るから!」と言って宣言していた。

誤字や脱字がありましたら、すみません。


読んでくださり、ありがとうございます。


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