30.お兄ちゃんに会えた!
私はどれくらいの間寝てたんだろう?
頭がボーーーーッとして……あっ、「服!」 って思ってたら、他の服に替わってた。
私はまだ、あの気持ち悪い感触が残っていたので、掛け布団を頭から被った。
カチャッ!
私はドアが開いた音に『ビクッ!』となり、布団をぎゅっと握っていた。
「ミオ、何か食いたいもんあるか?」 この声は、ダンさん?
「……(な、なにもほしくない)」 蚊が無く小さい声で返事をしたが、布団の上から撫でられてるのが分かる。
「(あの人は……もう、いない?)」 「もう居ない」 もう居ないなら良かった。
私は布団から片手だけを出して「(あの感触が残ってて眠れないの……私が寝るまで手を握ってて)」 「あぁ、分かった」 ダンさんの手って、大きくてゴツゴツしてて……なんでだろ? お父さんみたいで落ち着く、また眠気が……「スーー、スーー」 「眠ったか」 私の手を布団に戻し、頭から被ってた布団も息が苦しくないように戻してくれた。
ダンさんは、私の頭を撫でて部屋から出た。
私は夜中に目が覚め、お腹が空いている事に気付き、果物が欲しいなっと思いアイテムボックスを見た……果物はジースアンの人達に全て渡したんだった。
果物を取りに行くだけなんだし、大丈夫だよね……窓を開け『フライ』 フラフラと飛んで木苺と林檎をアイテムボックスに入れ、部屋へ戻ると……黒い影が2つ、ヌーーーーッ! と現れ「ぎゃあっ! 【ビッグベアー】が出たーーーーっ! て、ダンさんとアーサーさんじゃん」 私はドキドキしている胸を押さえて「ビックリした」一言呟いた。
「ミオ、どこに行っていたんだ! 心配したんだぞ……」 ダンさんは私の両肩を掴んだ時……私は何故か震えだし、自分の身体を抱きしめ床に座り込んだ「ミオ? まだ……怖いよな……」アーサーさんが私を横抱きにし『ビクッ!』となった私をベッドへ運んでくれた。
「ダンさん、さっきは怖がったりしてごめんなさい。あの人にされた感触がまだあって……アーサーさん、ベッドまで運んでくれてありがとう」
アーサーさんとダンさんは「何か欲しい物があれば直ぐに言ってくれ」 ダンさん、ありがとうと頷いた。
「ミオ、養女の件だが……ミオが寝ていた7日間で手続きが順調に進んで、俺が父親になった。俺の要件はそれだけだ、怖がらせて悪かったな。……おやすみ」 ダンさんがお父さん? 私のお父さん……こっちでは『パパ』って呼ぶ事にしよう。
私は頷きながら「おやすみ……パパ」と言ったら、ダンさんの顔が真っ赤になって片手を振って部屋から出て行った。
「ぅゔぉぉぉ〜〜〜〜っ! パパと呼ばれたぞ。パパだぞ!!」
「ダン……うるさいぞ、絶対ミオに聞こえてるぞ!」
うん、その通り聞こえまくりですよ。夜中に騒ぐって……子供かよ。
ガチャ! ドアを開けて「パパうるさい! 皆に迷惑でしょ。早く下に行ってよ」とだけ言って、私は林檎を食べてから寝た。
私は目を擦り、欠伸をしながら『クリーン』身体も髪も綺麗になった。
お腹空いた……と思いながら下に降りると、ギルドの食堂の方から大きな音と共に怒鳴り声が聞こえてきた。
ダアアァァァーーーーンッ!! 「ふざけんなよ! あのゴーディめ! まだこの街に、それもダルーズ・グレッグと手を組みやがった」 あの時、少し遅く出ていたら良かったぜ!
「あのゴーディ……結構噂になってるんだが、ミオを嫁にするって言ってるらしいぜ!」 「皆でミオを守らないとな!」 「まぁ、今は頼りになる『パパ』がいるもんなぁ!」
皆、ありがとう。
あの男……気持ち悪い! ストーカーが増えてるし。
「皆、その話はやめましょう。ミオが、あの柱の所にいるわ」
あっ、見つかっちゃった。ポーラさん気付くの早い! 「ポーラさん、何で私が居るって分かったの?」
「気配を消し忘れてたでしょ? 私は気配に敏感だから分かったのよ」ポーラさんにギュッと抱かれながら「もう大丈夫だからね」と言われ、涙を溜めながら頷いた。
食堂にいた皆に、「ゴメンな」 「俺達もいるからな」 「よし、俺がミオのお兄ちゃんになってやるぞ!」
「お兄ちゃん? ……お兄……ちゃん、『玲央兄ちゃん』」 皆が慌てたようにギルマスを呼んで来い! って聞こえるけど、涙は止まらない。もう人が死ぬのは見たくない!
「ギルマス、早く!」 「分かった、分かった……ミオ、コイツらに何されたんだ?」 私は何もされてないけど、死んだ大切なお兄ちゃんの事を思い出したと話した。
「お、お兄ちゃんって名前に『れ』がつくか?」 私はバッ! とギルマス……アーサーさんを見た。
「何でそんな事? 『玲央兄ちゃん』は叔父さんの仕事がアメリカに転勤になったから数年帰れないって言われてたのに、飛行機事故で亡くなって……もう一生会えない人に……」 私はこれ以上話せなかった。
「そうか、ミオは花咲誠と鈴奈の娘の『美音』なんだな?」 「何で両親の事を知って……玲央兄ちゃん? 玲央兄ちゃんなんだよね?」 ギルマスは頷いた。嬉しくて、泣きながら抱きついた。
私は号泣で何語か分からない言葉を言っていた「……#¥@……ゔわぁぁ〜〜んっ! ……*%……」 「ミオ……泣くか話すか、どっちかにしとけ……ミオ……なあ……ミオ、そろそろ離れてくれると嬉しいんだが」 私は顔を左右に振り、ずっと抱きついて離れない。
それを見たダンさんとゼクスさんが剥がそうとして来たので「嫌だ! 離れない! 離れたら、また居なくなる、そんなのイヤ!!」 「ミオ、俺は絶対に居なくならない。親父とお袋もいるんだぜ! 会いたくないか?」
私は、嬉しさのあまり「会いたい!」 と言った。
誤字や脱字がありましたら、すみません。
読んでくださり、ありがとうございます。
『☆☆☆☆☆』にタップかクリックして頂けると、執筆の励みになります。
ブックマークと評価を宜しくお願いします。




