29.ダン視点
ミオが男に服を切り裂かれ何度も頬を叩かれたのか赤く腫れていた。
ニヤリと笑みを浮かべて、ミオの太ももを触ってるのを見た俺は頭に血が上ったのか、酔っ払い変態野郎を蹴り飛ばしていた!
ミオは涙を流し、まともに話せないくらいガタガタと震えていた。
俺が蹴り飛ばした後、アーサー・ゼクス・バズ・ルシアがギルドに入って来た。
ゼクスもミオを見て酔っ払い変態野郎に近づこうとしたが、アーサーが止めた、アーサー自身も怒りを抑え、ミオが部屋へ戻るのを待った。
ミオは情緒不安定になっていて、ずっと泣いていた。
気分が安定する薬湯を飲み、アイリスとルシアに部屋まで連れて行ってもらっていた。
ベッドに横になった瞬間に睡魔に勝てなくて、眠ったようだ。
アイリスが降りてきて、事の顛末を話してくれた。
アーサーがギルドに残ってた男衆に依頼を済ませて来いと言って追い出し、アーサー自身も俺たちの居る拠点へミオの事を話しに来ていたのが災いしたのか。
ギルドへ入ろうとしたエミリーは、酔っ払いもギルドへ入って行くのを見て、急いでジャスティスの拠点まで知らせに来てくれた。
酔っ払い変態野郎は、1人でギルドへ来てミオと目が合い、ギルドカードの話をしている時に近付き、アイリスとミオの肩を抱いて上から下まで値踏みをするかのように見ていたらしい。
アイリスは男の顔が近付いて来るのが気持ち悪くて男を力任せに思い切り押すとミオの方に倒れ、ミオの胸に顔を埋めていたとアイリスは言う。
その後、ミオが悲鳴をあげた時にミオの首筋を舐め、それに興奮した酔っ払い変態野郎がミオの頬を殴り、服それも胸の部分を切り裂き、床にミオの後頭部を叩きつけ流血したにもかかわらず、再び何度も何度も頬を叩きミオが動けない状態の後、太ももを。
「クソッ! 思い出しただけでイライラする!!」
ゼクスは、それを聞いて酔っ払い変態野郎に激怒した。
アーサーも、よくも俺のミオにアイツにもしもの事があったら、どう責任を取るんだ! と怒り心頭だった。
俺もそうだ、蹴り飛ばしただけでは足りないんだよ!
ミオは、それ以上に傷付いたんだよ!
酔っ払い変態野郎を椅子に縛り付け、逃げられないようにしていた。
「た、頼む助けてくれ! 俺には妻も子供もいるんだ。
俺に何かあったら、妻と子供が死んでしまう! あ、あの女が俺を誘惑したんだ!」
こいつ頭おかしいのか?
ミオが誘惑する訳ないだろう!
ミオに怪我と変態な事しといて何言ってやがるんだ!
男の胸ぐらを掴んで拳を振り上げた時に、腕を掴まれた。
横を見ると、ボブとアリア・リリーまで居た。
「ダン、何をしてるんだ? この人を縛って何があった?」
こいつがミオにした事を話すと、リリーとアリアはミオがいる部屋へ行った。
「そんな事が、殴るくらい良いんじゃないのか?
子を持つ親からしたら、殺したいくらい許せない!」
ボブさんの睨んだ顔は怖いらしいです。
「ミオの心のケアが必要になるな。
ゼクス、お前はミオに好意を寄せてるのは皆にバレバレだ!」
「俺の感情だけではどうにもならない。
ミオには他に好きな奴がいるのは分かる!
だからミオがそいつの方に行っても悔いは無いよ」
ゼクスは付け足すように、どっちみち家を継がねえとならないしさ。
あぁ、確かゼクスは伯爵家の1人息子だったな。
ゼクスだけでない、確かルシアも貴族、侯爵の末っ子で自分の結婚相手は自分で見つけると言う変わった貴族だと聞いたな。
ミオに出会う前はルシアでも、などとほざいてたがな。
ミオが来てから毎日が楽しくて忘れてたな貴族は、家に縛られてツライよな。
ルシアが降りてきたって事は、ミオの看病を交代したのか。
ルシアは男の前まで行き、胸ぐらを掴んで勢いよく!
『バシィーーーーン!!』 平手打ちをした!
「女! 俺には妻も子供もいる……」 『パァーーーーン!!』
男は往復ビンタをされ、両頬は真っ赤になった。
「ミオは往復ビンタではないくらい、貴方は叩いたのよ!
挙句に床に後頭部を叩きつけ流血までさせて!!
ミオが「止めて」と言っても止めなかったんでしょう?
だから私も止めなかったのよ!」
酔っ払い変態野郎は瞬く間に女の子に手を出したと噂が出始め、奥さんは離縁をし子供と実家へ帰ったらしい。
酔っ払い変態野郎はミオに誘惑された! と噂を広め、信じない人の方が多く、信じた人は闇商人や領主と繋がりがある人達だった。
あの事件から7日間、ミオはずっと目を覚まさない。
毎日、いろんな人達がミオの所へお見舞いに来てくれるが、ミオの元気な姿が見たい。
ミオ、起きてくれ!
ミオの笑ったり、イタズラしたりする姿が見たい。
ミオの元気な顔が見たい、ミオの親になってやりたいと心から思った!
誤字や脱字がありましたら、すみません。
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